“ピンクのベンツ”が話題。グスタフ・ウェストマンが手がけた最新モデル「CLA」がお披露目

  • 文:宮田華子
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スウェーデン人プロダクトデザイナーでクリエイターのグスタフ・ウェストマンが、メルセデス・ベンツの最新モデル「CLA」を独自のアート作品として再解釈した。今回発表されたCLAは、実際に走行する車ではなく、ウェストマンの世界観を凝縮したコンセプチュアルアートである。

ロンドンで行われたイベントでは、キャンディピンクに染められたユニークなビジュアルが来場者の注目を集めた。

ポップな色合いとフォルム。ウェストマンの美学がつまった一台

本プロジェクトは、メルセデス・ベンツが展開する「Class of Creators」シリーズの一環。この取り組みは、世界各地から選ばれた5人のクリエイターが、新型CLAを自らの表現手法で再構築するというもの。ウェストマンはその第2弾として抜擢された。

 


メルセデス・ベンツ「Class of Creators」シリーズ公式PV。

家具やインテリアオブジェで知られるウェストマンは、チャンキーで丸みのある造形、そしてポップな色使いを特徴とする作風で知られており、その美学が今回のCLAにも存分に生かされている。

テント付きCLAは「ピクニックのための車」

このCLAは、走行機能を持たない展示用モデルであるが、表現としての自由度を最大限に活かした構造となっている。

屋根にドーム型テント、後部に引き出し式のピクニックテーブルを備えている。寝泊まりができて、食事も楽しめ、自然の中で一日を過ごすための要素が盛り込まれている。

ほかにも、滑らかな曲線のサイドミラーや、車体から飛び出すワインホルダー、実用性を兼ね備えた大きなバックミラーなど、細部までウェストマンらしいユーモアとこだわりが詰まっている。

 


サイドミラーを持つグスタフ・ウェストマン。

ピクニック用品のカプセルコレクションも発表

CLAと連動したピクニックアクセサリーのカプセルコレクションの存在も要注目だ。プレート、ピクニックブランケット、ホットドッグトレイ、鏡などがセットになっている。CLAの外装ラインからインスピレーションを得たふっくらしたフォルムやピンクの色合いは、ポップアートそのものだ。

なかでもメルセデス・ベンツのロゴをかたどった「スタープレート」は、遊び心が感じられ、見るだけで思わず「にやり」としてしまう。カプセルコレクションの一部アイテムは、オンラインで購入可能だ。

車とライフスタイルを結ぶアート表現

今回のコラボレーションは、車という工業製品をライフスタイルの一部へと昇華させる試みでもある。走る道具ではなく、自然の中でくつろぎ、仲間と過ごすための「場」として解釈したウェストマン版CLAは、従来の自動車観を軽やかに飛び越えている。

 「どんな形でもデザインは可能だ」と語るウェストマン。彼が生み出したこの「走らないCLA」は、実用性ではなく創造性を走らせる、ユーモアと美しさに満ちた一台だ。

グスタフ・ウェストマン公式サイト


https://www.gustafwestman.com