ワインの楽しみを広げてくれる、驚くべき味わいのヴァンナチュール【プロの自腹酒 vol.32】

  • 文:西田嘉孝
  • 写真:榊 水麗
  • イラスト:阿部伸二
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ドメーヌ・グラン・クレレ/ノファサ・ブラン

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すべての畑でビオロジック栽培を行うなど、自然と共生したワインづくりで知られるフランソワ・ブランシャールが醸す「ノファサ・ブラン」。ブドウ品種はゲヴェルツトラミネール(90%)とシャルドネ(10%)を使い、木製の垂直圧搾機でプレス。その後オーク樽で12カ月熟成させ、冬前にパトナージュする。酢や果実感、軽いブレッドのニュアンスなどが混ざり合う、個性的かつクセになる味わい。750mL ¥4,620/日仏商事東京事業所 ワイン課 TEL:03-5778-2494

圧巻の品揃えとセレクト力で、多くのワイン好きから酒や食のプロまでをも虜にするワインショップ「ウィルトス」。フランスワインのインポーターとしてキャリアを重ねたオーナーの中尾有さんは、日本ワインやナチュラルワインの造詣も深く、その魅力をワインファンに広める先駆的な役割も果たしてきた。神宮前と自由が丘の店舗に加え、2024年には渋谷に蕎麦とワインのペアリングが楽しめる「VS ブイエス」も開店。店に立ちながら、国内外のつくり手のもとへと足を運ぶ。そんな多忙な日々を送る中尾さんにとって、癒やしのひと時の相棒となるのはやはりワインだ。

「仕事ではあれこれ考えながらワインを飲むので、家ではなにも考えず、好きなワインと料理を“ざっくりと”楽しみたくなりますね」

そう話す中尾さんが、「なにも考えずに飲んでも満足度の高い一本」と推す自腹酒が、ロワールの自然派ワインのつくりであるフランソワ・ブランシャールが手掛けるドメーヌ・グラン・クレレの「ノファサ・ブラン」。

「一般的なワイン生産者には好まれない酢酸系のフレーバーがこのつくり手の特徴で、甘めのガリを思わせる味わいは唯一無二。『これがワイン?』と驚くほどの個性がありながら、飲み飽きないところも気に入っています」

豊かな甘みと旨味、そして特徴的な強い酸味が感じられる白ワインは、“晩酌ワイン”としても万能。食後はそんなワインを片手に、妻とアニメを観るのが中尾家の定番だとか。

「1話が短いアニメは、ふたりで1本のワインを飲みながら観るのにちょうどいい。世界で評価される日本のアニメもまた、なにも考えずに“ざっくりと”観ても楽しめますからね(笑)」

ボーダーレスな取り組みでワイン好きの裾野を広げる、中尾さんらしい組み合わせだ。

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お気に入りの一本と、世界が認める名作を

好きなワインとアニメで心身ともにリラックス。最近は『サカモトデイズ』にハマり中。世界が評価する日本のアニメは、海外から来店する客との共通の話題になることも多い。

中尾 有

1977年、大阪府生まれ。2015年にウィルトスを設立。自然派、日本ワインを含め、幅広いワインを扱う。ワインのレコメンドサービス「ワイブラリ」も提供中。

ウィルトスワイン神宮前

住所:東京都渋谷区神宮前2-11-19 1F 
TEL:080-9323-0180

※この記事はPen 2025年7月号より再編集した記事です。