過去と現在の細野晴臣の対話を巡る、展覧会『細野さんと晴臣くん』

  • 文:Pen編集部
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幼少期から書き溜められ、大切に保存されてきた細野晴臣の直筆ノートやスケッチブックと思い入れがあるコレクションの数々を軸に展示が構成される。

細野晴臣の過去を訪ね、奥深い人物像とクリエイションの源泉に迫る企画展が開かれている。
舞台は立教大学池袋キャンパスにある「ライフスナイダー館」。
立教高校を経て、立教大学を卒業した細野の母校の一角に佇む瀟洒な洋館だ。

展覧会では、幼少期から青春時代の「晴臣くん」が夢中で書いたノートや落書き帳を紐解き、77歳を迎えたいまの「細野さん」が言葉を添えていく。
足を踏み入れると、映画館で夢中になった西部劇の落書きや子どもの頃に遊んだ拳銃、ボブ・ディランのレコード、名作映画『5つの銅貨』のビデオテープ、杉浦茂のマンガ――。細野の“好き”が込められたコレクションの数々が「ようこそ」と言わんばかりに穏やかに迎えてくれる。

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学生時代に演奏した、幻の音源も世界初公開

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会場となったライフスナイダー館は、外国人教職者向けに1920年代に建てられた西洋式住居。立教大学のキャンパスの一角に保存され、レセプションルームなどとして活用されている。

展覧会の企画編集・デザインを手掛けたのは日本デザインセンター三澤デザイン研究室を主宰する三澤遥。
展示什器にも工夫が凝らされ、耳をすますと、どこか遠くから細野の歌声が聴こえてくる。
窓辺から射し込む光、細野の記憶、そして歌声。鑑賞者はそれらに優しく包まれ、「晴臣くん」「細野さん」との対話を楽しむようにひと時が過ぎていく。

さらに、館内の一室では、高校時代に細野が結成したフォークバンド、オックス・ドライヴァーズの曲を聴くことができる。
これは世界初公開となる貴重な音源で、やがて世界を熱狂させる彼の才能の萌芽が垣間見える。

本展は細野のデビュー55周年を記念して始まったプロジェクト「HOSONO MANDALA」の第1弾企画。
今後もプロジェクトでは、細野の軌跡と現在進めている音楽活動をさまざまなかたちで伝えていく。
日本の音楽史を更新し続ける巨人・細野晴臣。彼が紡ぐ未来に注目したい。

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会場では展覧会を一冊の本として編み直した本『細野さんと晴臣くん』も販売。ブックデザインは三澤デザイン研究室の三澤遥と鈴木正樹。開きがよいコデックス装で製本されているので、収録されたノートや落書き帳を見開きで楽しめる。

「HOSONO MANDALA」企画展『細野さんと晴臣くん』

開催期間:開催中~2025年6月30日(月)
開催場所:立教大学 池袋キャンパス ライフスナイダー館
豊島区西池袋3-34-1
開館時間:11時~20時(月〜金)、11時〜18時(土、日)
入場料:無料 ※要事前予約
www.rikkyo.ac.jp/news/2025/05/mknpps0000036yac.html

事前予約はこちらから
https://littleharuomiandmrhosono.peatix.com

「HOSONO MANDALA」公式サイト
https://hosonoharuomi.jp