シグマがミラノデザインウィークに初出展。GREEN WISEとのコラボによって明かされた、孤高の存在感を放つ秘密とは?

  • 文:石川博也
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会場には70点以上のシグマ製品が展示された。photo:@CROPE

世界最大規模のインテリアとデザインの祭典として知られるミラノデザインウィーク。今年、このイベントに初めての出展を果たしたのが、日本のカメラ・レンズメーカーであるSigma(シグマ)だ。

緑化事業を営むGREEN WISEとともに、日本を拠点とするこの2つのブランドがミラノデザインウィークを舞台にコラボレーションを行ったのだ。

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日本の会津のメーカーであることを明確にした展示となった。photo:@CROPE

シグマはご存じの通り、カメラ、レンズ、アクセサリーの製造販売を行う、日本の光学機器メーカーだ。1961年に山木道広が創業し、現在は息子の山木和人が代表をつとめる。生産拠点はただひとつ。1973年に設立された会津工場であり、サプライチェーンを含めたすべての生産活動を日本国内で完結することに重きを置いている。これは生産体制を東北地方に集約することで、部門や企業間の緊密な連携と厳格な品質管理を実現し、その結果として高品質な製品の製造を可能にする。会津の冷涼で澄んだ空気と水、雪深い自然の中で育まれた実直で研鑽を怠らない会津人の気質も、シグマの本質を形づくっていると言えよう。

日本のものづくりを象徴するかのようなシグマがGREEN WISEとコラボして行った今回の展示。いったいどのような内容だったのだろうか?

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単なる機材だったものが信念を持った道具へ

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場所はミラノ・ブレラ地区にあるGREEN WISEのイタリアショールーム。photo:@CROPE

実はシグマの全製品はイタリアのArperの家具やスペインのVibiaの照明などを手掛ける岩崎一郎 (IWASAKI  DESIGN STUDIO)が2012年から一貫してデザインを担当。会場ではこの約10年で発表された製品からセレクトした、シグマが誇る70点以上のカメラ、レンズ、アクセサリー製品で構成されるラインアップ展示が公開された。

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会場に展示された最新ミラーレスカメラ「シグマ BF」。photo:@CROPE

さらに、この春発売されたシグマの最新ミラーレスカメラ「シグマ BF」を実際に操作し撮影できるコーナーや、製品の分解部品の展示も来場者の注目を集めた。

カメラやレンズをじっくりと見て触るという体験を通して、単なる機材だったものは信念を持った道具へと変化。会津の豊かな自然から着想を得たGREEN WISEによるインスタレーション体験を伴うことで、工業製品の背後にある、人々の手と技、そしてそれらを育む自然との深い繋がりが感じられる展示となった。

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最新ミラーレスカメラ「シグマ BF」の背面。photo:@CROPE

最新のミラーレスカメラ「シグマ BF」からも感じられるように、シグマはこれまでも独自の機能や先鋭的なデザインの製品を数多く発表し、カメラ業界では孤高の存在とも言えるメーカーだ。展示から感じたそのモノづくりの秘密は、ノイズをも飲み込む豊かな自然に囲まれた会津の風土にあるのかもしれない。

シグマ

https://www.sigma-global.com/jp/