「つくる」ことはいつだってワクワクする。ゲームのレベルを設計することも、名建築の裏側を読み解くことも、アートの視点で世界を切り開くことも……。そんな大人の好奇心を刺激し、デザインにおける「考える力」を育ててくれる新刊3冊をピックアップ。
①『レベルデザインの教科書』

名作ゲームには必ず気づかれない工夫がある。『レベルデザインの教科書』は、ゲーム空間の設計を「レベルデザイン」という観点から体系的に学ぶ実践書だ。視線誘導、光と影、空間のリズムといった要素を、建築の理論に照らしながら解説している。
本書では、大手スタジオからインディーズゲーム、アカデミック分野まで、専門家たちによる寄稿も収録されており、現場の知恵が詰まっている。章末には図解や設計演習も加わり、読んで学ぶだけでなく、自ら手を動かして試せるのも面白い。空間設計は、ゲームを支える“沈黙の語り手”とも言える存在。この一冊は、時代や技術が変わっても通用する、普遍的な空間設計の原理を教えてくれる。
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②『有名建築事典 イラスト&解説500』

世界中の名建築をイラストと解説で網羅した同書は、建築好きにとってまさに手元に置いておきたい一冊。古代から現代まで、地域を跨ぎながら、宗教建築から公共施設、住居まで、ありとあらゆる建築を一望できる構成となっている。
その特徴は、正確でありながらユーモラスさもあるイラストと、建築ごとに200字前後で凝縮された的確なテキスト。建築家のスタイルを比較したり、国ごとの文化的背景を読み解いたり、あるいは旅行の下調べとして眺めたり……。知識を得るだけでなく、ページをめくるだけでも空想旅行に出かけられるなどその使い方は自由自在。アート、デザイン、都市計画などの領域に関心がある人にもおすすめしたい永久保存版だ。
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③『アート×リサーチ×アーカイヴ――調査するアートと創造的人文学』

「アートは表現だけではない」。そんな新たな視点を教えてくれるのがこの一冊。アーティストが創作の過程で行うリサーチや、歴史資料・文献を読み解きながら構築するという知的な営みに注目し、美術と人文学の間に広がる“調査するアート”の実践例を紹介している。
収録されているのは、アーティストや研究者による論考・対話・プロジェクト紹介などの全16章。作品の背後にあるリサーチの方法論、制作のモチベーション、そしてそれを共有することの意味について、さまざまな視点から語られている。リサーチを単なる情報収集や裏付けにとどめず、それ自体を創造的行為として読み替えていくアプローチが貫かれている。アートに関心のある人にとっては、新たな方法論を考えるヒントに満ちた内容だ。