韓国大統領選の「イカゲーム」をテーマにした”インパクト強すぎ”の開票速報動画にネット驚愕

  • 文:Rikako Takahashi
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SBSの大統領選挙速報の一幕。SBSの公式Youtubeチャンネルより

韓国大統領選で、革新(進歩)系「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補が保守系の「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)候補を破り、6月4日、第21代大統領に就任した。投開票の放送にあわせ、地元テレビ局が仕込んだエンタメ性あふれる映像が国内外で話題になっている。

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大統領選の「風物詩」、今年のテーマは『イカゲーム』

6月3日に行われた投開票。今回の投票率は79.4%と、日本の国政選挙の投票率(2024年10月の第50回衆議院議員総選挙で53.85%)よりも高かったが、若者の選挙離れは、韓国でも議論となっている。そこで、投票率や話題性向上のため、韓国メディアが力を入れている取り組みがある。

それは、テレビの投開票速報だ。近年話題になったエンタメと政治を融合させ、両候補を精巧に再現したCGIアニメーションで、ポップかつコミカルに得票率の変動を報じている。民間放送局であるSBSの選挙特番『国民の選択(국민의 선택)』では、少なくとも2012年の大統領選挙から始めており、いまや選挙時の「風物詩」となっている。

今年のテーマは、Netflixシリーズ『イカゲーム』。お馴染みのBGMに合わせ、青いジャージを着た李と、赤いジャージを着た金氏が、さまざまなミニゲームに挑戦する。だるまさんが転んだ、めんこ、綱引き、などなど。楽しそうにまで見えるが、ミニゲームを終えるたびそれぞれの得票率が表示されるのがなんともシュールだ。

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過去には『ハリー・ポッター』で速報を盛り上げ

李氏の最終得票率は49.42%と、金氏を8.27%上回る結果で勝利。3年ぶりに保守系から革新系に政権が交代した。尹錫烈(ユン・ソンニョル)前大統領が昨年12月に「非常戒厳」を宣言したことで弾劾され、急遽実施された大統領選だったため、制作チームは異例のスピードで準備を進めたという。

「とてもプレッシャーがかかるんです」と、グラフィックチームの放送記者、ソン・ヒョンアン氏はAFP通信に語る。「『次は何にするの?』と皆から聞かれます」

「大統領になるかもしれない人たちに、ここまでやらせていいのだろうかと考えさせられますね」と、放送記者のキム・ドクヒョン氏もコメントした。

制作チームはこれまで、『ハリー・ポッター』や『ゲーム・オブ・スローン』など、世界的にファンが多い作品を採用してきた。

「人目を引くグラフィックは、わが国の政治的関心を高めるのに役立ちます。ビジュアルだけでなく、(選挙戦や得票率など)実質的な内容に注目を集める役割を果たすなら、価値のある取り組みです」と、聖公会大学のキム・ソジュン教授はAFP通信に語った。

もしかすると、日本における選挙への若者離れは、こうやってエンタメにも昇華できない風潮のせいかもしれない。

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2025年の大統領選挙のテーマは『イカゲーム』。6月27日より配信されるファイナルシーズンに先駆けて、熾烈な戦いを繰り広げた。

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2022年の大統領選挙は『マッドマックス』で、他にも2018年に開催された平昌オリンピックをモチーフにスピードスケートをする展開も。

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2018年の統一地方選挙のテーマは『ハリーポッター』。なお、今回の大統領選挙を争った李と金は、京畿道とソウル市の首長候補として立候補しており、李は当選している。

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2017年の大統領選挙は『ゲーム・オブ・スローン』。韓国らしく、最後の城が韓国の大統領府である青瓦台となっている。

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2012年の大統領選挙は『インディ・ジョーンズ』。2008年公開の映画だが、どうやら前の選挙の間までに流行ったものをテーマにする傾向があるようだ。