
世界最大の無料オンライン百科事典が「ストリートウェアに!?」そんな驚きのコラボレーションがローンチし、話題となっている。

ドイツ・ケルン発のサステナブルファッションブランド「Armedangels(アルメドエンジェルス)」が、Wikipediaの運営母体であるWikimedia Foundation(WMF)と提携し、衣料品の限定コレクション「Armedangels x Wikipedia」を発表した。2026年1月に控えるWikipedia創設25周年を記念したこの取り組みは、単なるロゴの使用ではなく、「For Fact’s Sake(事実のために)」「Knowledge Inspires Action(知識は行動を促す)」といったWikipediaの価値観を視覚的に表現する試みだ。

見慣れた文言や色を落とし込んだデザイン
本コレクションには、Wikipediaのシンボルである地球儀がデザインされたTシャツやパーカーに加え、「ハイパーリンクブルー」などネット界隈でお馴染みのカラーも取り入れられている。衣類の随所には「Yes I know」や「Eternal Source of Information(永遠の情報源)」などのメッセージがプリントや刺繍で表示されており、遊び心と理念が共存する。



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ArmedangelsとWikipediaが目指したもの
Armedangelsの創業者であるマーティン・ヘーフェラーとクリエイティブディレクターのクリスティアーネ・ボードナーは、単にブランドロゴをあしらうのではなく、Wikipediaの精神そのものをデザインに落とし込むことを目指したという。その言葉通り、コレクションの各アイテムには、「自由な情報アクセス」や「持続可能性」といったWikipediaが掲げる理念とArmedangelsのブランド哲学が深く反映されている。
素材にもこだわりが見られる。使用されたのは、繊維リサイクル技術に定評のあるSäntis Textilesが提供する最大100%再生綿の糸。化学薬品や水を使わない環境配慮型製造プロセスを通じて、ファッション業界における脱炭素化とサーキュラリティを体現している。さらに、商品にはQRコードが組み込まれており、消費者を気候変動やサステナビリティに関するオープンソース情報へと誘導する仕掛けも施されている。

コレクションの売上の一部は、世界中のボランティアによって支えられているWikipediaの運営資金として還元される。
ウィキメディア財団のブランドディレクター、ザック・マッキューンは「Wikipediaはインターネット上の知識のバックボーンとして25年間存在し続けてきました。今回のコレクションを通じて、より多くの人々にその重要性を実感してもらいたい」と述べている。
ArmedangelsとWikipediaのコラボは、消費者に「知ることの意味」「選択の重み」を問いかける挑戦的な試みだ。情報への自由なアクセスを守るだけでなく、フェイク情報の拡散が問題視される現代において、「知識を手に取る力を再認識してほしい」というメッセージを放っている。
Wikipediaが歩んできた四半世紀の歩みを祝福しながら、次の25年への一歩を踏み出す象徴的なコレクションと言えるだろう。
【次ページ:動画あり】動画で確認、「Armedangels x Wikipedia」コラボ商品
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