まだ見ぬオーストラリア──西オーストラリア州パースへの旅へ【パース紀行・後編】

  • 文:佐々木ケイ
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オーストラリア最大の面積を誇る西オーストラリア州の州都。主要な都市が国土の東南部に連なる同国だが、西オーストラリア州の州都で西部最大の都市であるパースは「世界でもっとも美しい」と称される街のひとつだ。旅の味を知り尽くした大人ほど心奪われるという街の魅力をさまざまな角度から見てみよう。最後は滞在の時間を豊かにするグルメ&ホテル、その他役立つ情報を。

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「サンダルフォード・ワインズ」のレストラン。

いまのパースを代表するグルメスポットへ

新鮮かつ上質な食材がふんだんにあり、多彩な食文化やレストランのスタイルが共存するパースは、美食の楽しみも尽きない。市内の最先端エリアからビーチフロント、郊外まで、シーンやロケーションに応じたチョイスが充実していて、決めるのが悩ましい、となるだろう。今回も短い滞在の中で、パースのグルメシティとしての魅力を堪能することができた。

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カラフルにライトアップされた夜の「ヤガンスクエア」の様子。

パースのグルメスポットとして今、もっとも注目をされているのが、パース駅北側のノースブリッジエリアと中心市街地を結ぶ再開発エリア「ヤガンスクエア」。昨年4月にオープンした複合商業施設「ストーリーズ」内には、ルーフトップバーを含む9つのバーや3つのレストラン、プライベ ートダイニングスペース、市内最大級のビアガーデンといった飲食店が集結していて、どの店もパースのトレンドに敏感な若者たちであふれんばかりに賑わっている。モダン・イタリアンレストラン「アルバ」では、店名のアルバ(北イタリア、ピエモンテ州の町)周辺にこだわらず、イタリア各地の郷土料理をユニークなアレンジで提供している。西オーストラリア州産はもちろん、イタリア各地のものも揃うワインリストも秀逸だ。

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羊肉のオレキエッテ。生地にも野菜が練り込んである。「アルバ」の一品。

Alba/Stories
www.stories.au/alba

 

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「ペティション」のエントランス。

開業から10年を迎えてなお、ゆるぎない人気を誇る5つ星ホテル「コモ・ザ・トレジャリー」を有する歴史的建造物「ステート・ビルディング」では、「ペティション」でのランチを楽しんだ。シンプルだけれどひと捻り、ヘッドシェフのジェーン・コリンズの創意を感じる料理は、どの皿も洗練されていて、かつ食材とその生産者へのリスペクトが感じられるもの。空間もゆったりと贅沢でインテリアもハイセンス。こんな素敵レストランが終日営業とは、パースの人たちが羨ましくなる。

エネルギッシュでバブリーな印象の「ヤガンスクエア」に対して、知的かつファッショナブルな「ステート・ビルディング」。この2カ所を訪れなければ、パースの食のいまは語れない。

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エシャロットとヴィネグレットを添えたオイスター。「ペティション」にて。
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タコのグリル 柑橘のアイヨリとチリオイルを添えて。「ペティション」コリンズシェフの創意が光る一品。

Petition
https://petitionperth.com



フリーマントルを散策した夜の、「ベイザーズ・ビーチ・ハウス」でのディナーも忘れがたい。美しい砂浜のビーチはすぐ目の前、聞けばオーストラリア国内でも歴史あるビーチフロントのバー&レストランなのだとか。サンセットビーチの美しさは西オーストラリアならではで、その意味でも最高のロケーションレストランといえる。300席の大箱が賑わう様子も日本ではなかなか見られない圧巻の景色で、豪快なシェアプレートを肩肘張らずにシェアできるスタイルまで、すべてがこの場所にフィットしている。

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「べイザーズ・ビーチ・ハウス」のアペタイザー。これとワインだけでも満足。

bathers beach house
www.bathersbeachhouse.com.au



西オーストラリア州が、オーストラリアのプレミアムなワインの産地であることはよく知られているが、パースから30分ほど車を走らせれば、ワイナリーの訪問が叶うのも覚えておきたい。その筆頭が「サンダルフォード・ワインズ」。創業1840年と、西オーストラリアでも最も長い歴史を有し、家族経営のワイナリーとして最大の規模を誇る。滞在中、多くのレストランでリストに「サンダルフォード」の名を見かけたことからも、このワイナリーがどれほど地域で愛されているかを知ることができた。プレミアムワインもテイスティングできるセラードアに加え、高評価のレストランも備えていて、名物の窯焼きのピッツァやプレミアムビーフのプレート目当てのゲストでいつも賑わっている。予約はマストだ。

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「サンダルフォード・ワインズ」のシャルドネ。ワインのペアリングコースも。
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オーストラリア産プレミアムビーフ(テンダーロイン)。「サンダルフォード」のレストランにて。

Sandalford
www.sandalford.com

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シティからリゾートまで、心地よいラグジュアリーステイ

ホテルも外資のラグジュアリーチェーンからローカルブランドまで、さまざまなスタイルがある。今回は、タイプの異なる2軒でのステイを楽しんだ。

1軒目は「ダクストン・ホテル・パース」。パースの中心地に位置するインディペンデント系の5つ星ホテルで2024年にデラックスルーム、スイートルーム、クラブルーム、イベントスペースが大規模改修を終えてリニューアルしている。受賞歴のあるレストランや経験豊かなバーテンダーがカウンターに立つロビーバー、屋外プール、24時間利用可能なフィットネスジムにサウナと、5つ星が求める要素がすべてハイレベルなかたちで揃っていて、快適、かつ心も満たされる。

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「ダクストン・ホテル・パース」のバスタブ付き54㎡のクラブルーム。

Duxton hotels
www.perth.duxtonhotels.com



もう1軒がCBD(中央ビジネス地区)のヘイ・ストリートとミリガン・ストリートの角に立つ「メルボルン・ホテル」だ。こちらは2018年創業。クラシカルな外観と、インダストリアルな内装が独特の存在感を放つ、モダンなブティックホテルだ。パブからルーフトップバーまで、レストラン&バーも雰囲気があり、ロケーションもあいまって、常にローカルで賑わっていた。

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左:「メルボルン・ホテル」のシティビューのプレミアムルーム 右:クラシックモダンな外観は界隈のランドマークに。

The Melbourune Hotel
www.melbournehotel.com.au



今回、日帰りで旅したロットネスト島だが、島内にはもちろん、いくつかの宿泊施設がある。次回訪問時にぜひ泊まってみたいと思ったのが、「ディスカバリー・ロットネスト・アイランド」。2019年に開業した島唯一のグランピングリゾートで、島を象徴するピンキー・ビーチやザ・ベイスンへも好アクセスというロケーションだ。グランピングテントの素材選びから環境への配慮が徹底されていて、風通しのよい設計、自然由来の材質でしつらえられた室内が心地よい。レストランやバー、プールを併設するなど高級リゾートホテルのスペックだが、バーベキュー用のグリルやキッチンも完備されていて、滞在のスタイルを気ままにアレンジできるのも魅力だ。ロットネスト島は、パース行きの船の最終便が出ると、深い静寂に包まれ、自然との一体感をより親密に感じられると聞いた。ぜひ一度、体験してみたい。

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Discovery Resort Rottnest Island
www.discoveryholidayparks.com.au/resorts/rottnest-island

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東京からの直行便が再開、快適で充実した旅を

パースへのアクセスは、ANAの直行便が便利だ。2024年10月末から週3(月、木、土)、成田・パース間の往復運航が再開している。成田空港を11時20分に発つと、パースに到着するのは20時30分。ホテルのバーでフライトの疲れを癒してぐっすり眠れば、翌朝から充実の旅を始められる。帰国日は夕方まで滞在をめいっぱい楽しみ、21時55分にパースを発てば、翌朝8時30分に成田空港に到着する。国内エアラインでのフライトは快適で、約10時間のフライトもあっという間だ。

最後に、ガイドツアーに関するメモを。パースでは、訪れる場所や体験目的に合わせた多種多様なガイドツアーが充実している。市内観光は、歴史解説からナイトスポット案内までを網羅したシティガイドが頼れるし、「キングスパーク」やフリーマントルもガイド付きウォーキングプログラムに参加すると、それぞれの初級編的知識をコンパクトにインプットできる。

パース市内からフリーマントル、スワンバレー、ピナクルズ、そしてロットネスト島を巡った今回の旅では「オーストラリアン・ピナクル・ツアーズ」が頼れる案内役となってくれた。現地の知識はもちろん、日本語で対応してくれるスタッフがいるので安心。自由な散策と組み合わせて有効活用すれば、旅の満足度が確実にアップする。

Australian Pinnacle Tours
https://www.australianpinnacletours.com.au

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バサースト灯台と「ディスカバリー・ロットネスト・アイランド」の全景。

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西オーストラリア政府観光局

Instagram@westernaustralia