身体を共有して生まれた結合双生児姉妹、分離手術を受ける「これまでで最も複雑な手術」

  • 文:吉井いつき
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Shutterstock ※画像はイメージです

今年5月10日、ブラジル中部ゴイアス州で、胸から骨盤にかけて体を共有して生まれた結合双生児の姉妹が分離手術を受けた。極めて難しい手術に関わった医療スタッフは60人近く、19時間に及ぶ大手術により2人は分離された。

「これまでで最も複雑な手術」


ゴイアス州に住むキラズちゃんとアルナちゃん(1歳)は、体の一部を共有して生まれた結合双生児だ。英デイリーメールの記事によれば、結合双生児は出産20万件につき1件程度の頻度で生まれるという。一つの受精卵が二つに分裂して一卵性の双子になるのだが、結合双生児はこの分裂が遅すぎて、完全に分離しないまま成長してしまったと考えられている。結合双生児の40〜60%は死産で、35%はわずか一日しか生きられないという。


姉妹は結合双生児の中でも特に稀な三脚性坐骨結合体で、骨盤で結合した状態で生まれ、いくつかの重要な臓器を共有していた。この分離手術は極めて難しいもので、小児科や泌尿器科、整形外科医など16人の医師が関わり、手術の6カ月前から皮膚を伸ばすインプラントを埋め込むなど、綿密な準備が必要だった。その総費用は、日本円にしておよそ6000万円にも上るという。


分離手術を受けた双子の死亡率は、二つの体がどのように結合しているかによって大きく異なる。主治医で小児科医のザカリアス・カリル医師は、結合双生児の分離手術経験が豊富な医師であるが、「これまで行った手術の中でも最も複雑な複雑な手術になるだろう」と手術前に語っていた。


そして5月10日、姉妹の手術が行われた。病院関係者によれば、手術は16人の医師からなるチームが4時間交替で行ったという。姉妹への負担と深刻な合併症のリスクを軽減するため、手術はできるだけ短時間で終わらせなければならないからだ。手術は19時間にも及んだが、二人の体は無事分離され、集中治療室で引き続き治療を受けることとなった。


手術後、キラズちゃんとアルナちゃんの容体は安定していると伝えられていたが、5月21日、病院はキラズちゃんが亡くなったと明らかにした。残るアルナちゃんの無事を多くの人々が祈っている。

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キラズちゃんとアルナちゃん

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【動画】分離手術の様子

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