南米屈指のアートの殿堂に、構想10年を経た新館がついにオープン

  • 写真 & 文:仁尾帯刀
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SÃO PAULO サンパウロ/ブラジル

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数々の公共施設を手掛けている、ブラジルのMETRO建築事務所の設計によるエントランスホール。左手の窓からは、以前は見えなかった新たな角度から本館を望める。  photo: Leonardo Finotti

南米を代表する美術館のひとつ、サンパウロ美術館(MASP)の新館が、構想から10年を経た3月末に開館した。1947年創立のMASP本館は、建築家リナ・ボ・バルディの名を世界に広めた建築で、赤い4本の支柱で吊られた高床式構造になっている。

MASP初代館長にしてリナの夫であったピエトロ・マリア・バルディの名がつけられた14階建ての新館は、通りを挟んで隣に位置し、地下には両館を結ぶ通路を建設中。本館の建築美を損なわないマットな黒で、モノリス的な外観に仕上げられている。5つの展示室や多目的ホールを備え、展示面積は倍以上になった。柿落としにはアイザック・ジュリアンなどの作品が展示されている。

www.masp.com.br

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外装には、射光による室温上昇を抑えるために、角度を変えられる縦長のパネルが設置され全体を覆っている。左手前の赤い建物が、リナ・ボ・バルディが手掛けた本館だ。

※この記事はPen 2025年6月号より再編集した記事です。