パテック フィリップ「希少なハンドクラフト2025」展が開催。二度と見られないかもしれないユニークピース78点が勢揃い!

  • 文:Pen編集部
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スイス・ジュネーブのローヌ通りに位置するパテック フィリップ・サロン。元々は1853年に本社として開業し、現在も本店であり、パテック フィリップの魂が宿るホームとして親しまれている。

そんな歴史ある特別な場所で4月5日から26日まで開催されたのが、総勢78点ものパテック フィリップによる新しいユニークピースを展示する「希少なハンドクラフト2025」だ。展示されたのはドーム型や小型のテーブルクロック、懐中時計、そして腕時計などで、いずれも極めて精緻な工芸技法が施されている。

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開催場所となったジュネーブの「パテック フィリップ サロン」。

 

「カラトラバ」「ゴールデン・エリプス」など44本の腕時計

腕時計は44点展示された。パテック フィリップの人気コレクション「カラトラバ」や昨年チェーン・ブレスレットモデルが話題となった「ゴールデン・エリプス」などをベースに、伝統工芸と現代美術の融合によって唯一無二の世界観が表現されている。

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左:カラトラバをベースにした「気球に乗って五週間」。19世紀フランスのSF文学の巨匠、ジュール・ヴェルヌの作品がモチーフ。右:乙女座を七宝と彫金の高度な技法で表現した「黄道宮-乙女座」。

特に注目を集めたのは、黄道十二宮をテーマにした12本の「カラトラバ」のユニークピースだ。各星座の象徴を、クロワゾネ七宝、グリザイユ七宝、パイヨネ七宝など異なる技法で表現し、さらにギヨシェ装飾によるクルー・ド・パリ ベゼルがエレガントさを演出。展示会場においては各星座ごとに「火・水・風・地」の四元素に分類され、たとえば射手座は火、魚座は水といったように、芸術性だけでなく哲学的な奥行きも感じさせる構成にて展示された。

文学作品から着想を得たシリーズも見逃せない。稀代のSF作家、ジュール・ヴェルヌの『気球に乗って五週間』(1863年)や『海底二万里』(1869年)を題材にしたカラトラバやドーム・テーブルクロックでは、クロワゾネ七宝による空や大地の描写を通して物語を表現した。

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左:「黄色い冠羽のキバタン」。江戸時代の画家・伊藤若冲(1716–1800年)の絹本画にインスパイアされ、松の枝にとまるキバタンの姿をグラン・フーのクロワゾネ七宝で描く。 右:ブランド名「PATEK」の文字をあしらった「時計の歯車」。

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"ノーチラス"と名付けられたテーブルクロックも

さらに、23点のドーム・テーブルクロック、1点のデスククロックを含む計24点の置き時計が展示。注目を集めたのは、クロワゾネ七宝を中心に、ファイヤンス焼きや七宝細密画、木象嵌、彫金などを複合的に用いた装飾技法の豊かさだ。これらの技法はそれぞれの工程で高度な職人技を要し、1点の完成に数百時間を要するものもあるという。

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ジュール・ヴェルヌの冒険小説『海底二万里』をモチーフとしたドームテーブルクロック「ノーチラス」。

「ノーチラス」といえばパテック フィリップを代表するラグジュアリー・スポーツウォッチだが、テーブルクロックにも同名のユニークピースが登場。ジュール・ヴェルヌの冒険小説『海底二万里』に登場する潜水艦ノーチラス号からその名をとった。グリザイユエナメルと七宝細密画を組み合わせて幻想的な深海世界を表現した。

また、「過ぎ去りし日々のスキー」は、スイス・アルプスの冬の情景とグラフィックデザインの黄金時代をオマージュしたノスタルジックな一作だ。

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20世紀初頭のスイス観光黄金期を描き出す「過ぎ去りし日々のスキー」。

さらに計10点の懐中時計が展示。こちらも七宝や彫金、木象嵌、ジェムセッティングといった多彩な技法が駆使された作品群が並んだ。南フランス・プロヴァンスのラベンダー畑とオレンジ色の夕景を描いた「プロヴァンス」や、“自然界の王者”である鷲と狼が精緻に描かれた「鷲と狼」など、雄大な自然や生き物、街の情景を描いた多彩な作品に目を奪われた。

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英国の双子の画家エドワード・ジュリアス&チャールズ・モーリス・デトモルド兄弟による動物画に着想を得た「鷲と狼」。

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フランス・プロヴァンス地方のラベンダー畑にインスピレーションを得た芸術作品。ホワイトゴールド製のケースに、七宝、七宝細密画、ギヨシェ、彫金の技術を結集し、南仏の風光明媚な情景を文字盤と裏蓋に表現する。

世界中のプライベート・コレクションへと旅立つ前の作品群を一堂に鑑賞できる、非常に稀少で特別な機会となった「希少なハンドクラフト2025」。来年の開催も心待ちにしたい。

パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター

03-3255-8109
www.patek.com