ピアジェは2025年、「アンディ・ウォーホル」ウォッチをはじめとしたさまざまな新作を発表した。芸術性と革新性を融合させた新しい表現は、ラグジュアリーウォッチの領域を静かに、しかし鮮烈に塗り替える。アート、クラフツマンシップ、マニュファクチュール技術、そのすべてが極まった、ピアジェの“真価”を体感したい。
1. ピアジェ アンディ・ウォーホル

“色彩は、時をアートに変える”──そんな哲学を体現したのが、「ピアジェ アンディ・ウォーホル」ウォッチ。1970年代に一世を風靡したカラーストーンウォッチを、現代の技術と感性で再構築したものだ。アンディ・ウォーホル自身もピアジェの熱心なコレクターであり、当時7本以上も所有していたという。その中でも最も愛された1本「15102」をルーツとする本作は、ただの復刻にとどまらず、“アートとしての時計”の本質を問い直す。
今回紹介するのは4種。まず、圧倒的な存在感を放つのが、クッション型のブラックオパールを文字盤に用いたハイジュエリーモデルだ。ブルーとグリーンが幻想的に混ざり合う4.8ctのオパールを中心に、ベゼルには162石、合計4.86ctのバゲットカット・ブルーサファイアが3列にわたって配置される。ピアジェの色彩技術と宝石への深い造詣と技巧が凝縮された、まさに芸術作品と呼ぶにふさわしい1本だ。

さらに、メテオライト(隕石)文字盤を採用した2モデルも登場。ひとつはホワイトゴールド×グリーン、もうひとつはピンクゴールド×ホワイトという構成で、それぞれが異なる美学を体現している。前者は深緑のダイヤルが静謐な力強さを湛え、後者は白銀とローズの対比がどこか詩的な余韻を残す。さらに、「タイガーズアイ」の文字盤を備えたモデルも。深いオレンジとブラウンの色調を持つ、滑らかな琥珀色のオーナメンタルストーンが美しい。
4モデルすべてに共通するのは、自社製ムーブメント「Cal.501P1」の搭載。自動巻きで約40時間のパワーリザーブを誇り、精度と実用性を兼備する。素材、色彩、物語——それぞれが異なる表情を持ちながら、“時を芸術に昇華する”というピアジェの本質がすべてに宿っている。



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2. ピアジェ ポロ フライング トゥールビヨン ムーンフェイズ

ピアジェの技術力が、複雑機構の最上級を実現した。新作「ピアジェ ポロ フライング トゥールビヨン ムーンフェイズ」は、ポロのエレガンスに、フライング・トゥールビヨンと天文精度のムーンフェイズを融合させた、極めて高度なタイムピースである。
注目すべきはその“薄さ”。ケース径44㎜ながら、厚さはわずか9.8㎜。シグネチャーであるゴドロン装飾を湛えたダイヤルには、精密に開口されたムーンフェイズ表示が配され、ピアジェならではの気品を纏う。搭載されるのは自社製ムーブメント「Cal.642P」。厚さ4㎜の手巻きムーブメントに、フライング・トゥールビヨンとムーンフェイズを同居させながら、デザインと性能を見事に両立している。
月齢表示は122年に1日しか誤差が生じないという天文学的精度を誇り、時の詩情を静かに伝える。ブルーPVDのアクセント、ケースのチタン素材、付け替え可能なアリゲーター&ラバーストラップまで、細部に至るまで“軽やかな複雑機構”を体現する。宝石選びとセッティングの美学に支えられた造形と、マニュファクチュールの誇りが凝縮された、まさにピアジェの新たな金字塔だ。
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3. ピアジェ ポロ 79 ウォッチ

ゴールドでありながら、スポーティ。そんな相反する要素をひとつにした伝説の時計「ピアジェ ポロ ウォッチ」が、「ピアジェ ポロ 79 ウォッチ」として昨年蘇ったことは記憶に新しい。150周年も祝したイエローゴールドモデルに続き、今年はホワイトゴールドが新登場。ピアジェが“スポーツシック”という言葉に独自の美意識を吹き込んだ、1979年に登場したオリジナルモデルへのオマージュだ。
最大の特徴は、ブレスレットとケースが一体化した美しい曲線美。ロジウム加工された18Kホワイトゴールド製の本体に施された水平ラインのゴドロン装飾は、ダイヤルからコマの一つひとつにまで滑らかにつながり、手首を包み込むような装着感をもたらす。控えめなバーインデックスとドーフィン針のダイヤルも、あえて飾りを削ぎ落とした設計で、ゴールドの質感を引き立てる。
ムーブメントは自社製「Cal.1200P1」が搭載され、機械式時計としての完成度も申し分ない。ジュエラーであり、マニュファクチュールであるピアジェの真骨頂を凝縮した1本。「クラシックは再び、最先端となる」──そんな言葉がふさわしい復刻だ。