ウクライナから“疎開”してきた名画が、ベルリン絵画館の収蔵作品と出合う

  • 文:河内秀子
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BERLIN ベルリン/ドイツ

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一昨年の秋にオデーサから届いた作品群。額もない状態で届いたため、保存修復師たちが慎重に開封し、調査を進めた。 © Sabine Lata

ウクライナへの軍事侵攻開始から約2年。絵画館で、ウクライナから疎開してきた名画展『オデーサからベルリンへ』が始まった。

1924年にウクライナ南部に設立されたオデーサ西洋東洋美術館は、2023年に世界文化遺産と同時に「危機遺産」にも登録された歴史地区にある。軍事侵攻が始まると名画は急遽倉庫に保全されたが、同年9月ベルリンに74作品が疎開することになった。今回の展示ではそのうちドイツ初公開となる60点、あわせて絵画館収蔵の25点をセレクト。同じ画家やモチーフの作品を並べ、対話を試みる。想像以上にベルリンとオデーサの美術館の所蔵品には類似性が多く、親近感を覚えるとともに、一刻も早い停戦を願うばかりだ。

www.smb.museum/en/exhibitions/detail/from-odesa-to-berlin

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使徒ペテロの姿を描いたグエルチーノの作品など、イタリアのキリスト教絵画を集めた展示室の一角。苦悩の姿にウクライナのいまが重なって見える。会期は6月22日まで。 © Staatliche Museen zu Berlin / David von Becker

※この記事はPen 2025年4月号より再編集した記事です。