グラフィック・空間・映像・アートピースなど、さまざまなアプローチで制作活動を行うアーティストYOSHIROTTEN。
この連載は「TRIP」と題して、自身の作品、アート、音楽、妄想、プライベートなことなどを織り交ぜながら、過去から現在そしてこれからを行ったり来たり、いろんな場所を“トリップ”しながら対談します。
10月8日に鹿児島県霧島アートの森にて「FUTURE NATURE Ⅱ in Kagoshima」の開催を控えるYOSHIROTTEN。今日は、YARのオフィスではなく、オフィスから徒歩圏内のとある場所で集合。ドアを開けると広がるビューイングスペースに、絶賛スペースを工事中のKINPONくんと喜多さんを迎えて連載インタビューをスタート。締めは、渋谷にあるレコードバー「BLOODY ANGLE」にて。
──YARからほど近い場所に今日は来ましたが、一体ここはなんのスペースですか?
YOSHIROTTEN:まだオープン日は決めていないのですが、自分の作品を展示するビューイングスペースとして使う予定です。いま絶賛工事を進めてくれている、KINPONくんと喜多さんに今日は来てもらいました。
KINPON、喜多:よろしくお願いします。
YOSHIROTTEN:KINPONくんはそれこそBLOODY ANGLEの設計・施工にも関わっていたり、gggでの展示の光る床も つくってくれました。ふたりはどうやって出会ったの?
KINPON:具体的には覚えていないんですけど、大阪で出会ったんですよ。喜多さんは普段デザイナーをやっているのですが、僕が無茶言って工務店的な立ち位置で一緒にやってもらっている感じですね。喜多さんはもともとデンマークとドイツで修行されてて、日本に帰国してから独立して設計の仕事をしつつ、喜界島で農業をやったりしてる面白い人です。
YOSHIROTTEN:スペースの窓際にある、この壁は実は可動して…
喜多:あ、動かしますよ。窓枠にピッタリおさまる設計で、いま最終調節中です。照明も専用のコントローラーで明るさや色が変えられるようになる予定です。
──ビューイングスペースをオープンしようと思ったきっかけは?
YOSHIROTTEN:もともとそういうスペースをいつか持ちたいなと思ってたんですよね。展示を開催してもいつも数週間で終わっちゃったら、もうその作品を見せる機会は他で出展する時くらいになってしまって。あと鹿児島の霧島アートの森美術館の展示を控えるなかでもそうですけど、色々制作のテストができる場所としても使ってます。このビルは事務所からも近いし、駐車場が不思議な入り口なのでずっと空き物件が出ないかチェックしてました。今日はもうひとつ見せたい場所があるので、みんなで移動しましょう。
──渋谷・レコードバー「BLOODY ANGLE」につきました。こんばんは〜
BLOODY ANGLEスタッフ:こんばんは。なにのまれますか?
KINPON:ジントニックで。
他一同:炭酸水で。
YOSHIROTTEN:もともと「BLOODY ANGLE」は宮益坂の方で営業していたのですが、数年前に渋谷の再開発によってやむなく場所を移転することになり、今年7月に神泉よりの場所に移転オープンしました。
KINPON:前のお店で残していたドアや、バーカウンターに使われている大理石の天板を引き継いで使ってます。
──YOSHIROTTENが空間デザインをはじめて手がけた場所でもありますが、どのようなコンセプトで空間づくりをしたのでしょうか?
YOSHIROTTEN:DOMICILEやmitsuki、MADAM WOOでもコンセプターをしてる友人から店名のアイデアをもらって。ニューヨークのチャイナタウンの一角に「ブラッディアングル」という一帯があることから中国の骨董品屋がダイナーになったような店をネオ東京的なイメージに落とし込みました。オープンした頃から、いろんなクリエイターやミュージシャンたちがゆるく集っていて、ビル閉館になる最後の最後まで唯一残って営業してました。最終日は24時間パーティーをやってたりと、いろんな人に愛される場所が復活したのは嬉しいです。先週のオープニングはもう深夜音楽仲間同窓会って感じで楽しかったです。
KINPON:ここにストックされているレコードは、この場で買えるんですが、バイヤーのセレクトが良質。並んでいる歌謡曲のルーツがわかるようなラインナップになっていて、聴いていて面白いです。いま絶賛9月末のオープンに向けて、下の階のスナック「TOKIOアンナ」を準備中です。
YOSHIROTTEN:そこの空間デザインもやっていて、特殊パネルをテーブルに、床にはオリジナルのグラフィックの絨毯をひきます。
KINPON:スナックとバーでは椅子と天井の高さが違っていて、人々の滞在時間にも関わってくるんです。スナックでは意図的に天高を低くして、椅子もどっしりと座れるものを用意しています。例えば、割烹料理屋さんも天高はわざと低くしてあるんですよね。で、カウンター裏の亭主が一段低くなっていることで、お客さんとも目が合って、空間よりも料理に集中できる。一方で、バーはハイチェアにすることでいつでも人々が気軽に席を変えて話せるようにしてあります。あ、もう一杯ジントニック!
YOSHIROTTEN:僕も飲みたいからここで取材は終わりとして、事務所に車置きに行ったら、また戻ってくるね。
BLOODY ANGLEスタッフ:お待ちしてまーす!
アーティストYOSHIROTTENの「TRIP」
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グラフィックアーティスト、アートディレクター
1983年生まれ。デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、領域を往来するアーティスト。2015年にクリエイティブスタジオ「YAR」を設立。銀色の太陽を描いた365枚のデジタルイメージを軸に、さまざまな媒体で表現した「SUN」シリーズを発表し話題に。24年秋に鹿児島県霧島アートの森にて自身初となる美術館での個展が決定。
Official Site / YAR
1983年生まれ。デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、領域を往来するアーティスト。2015年にクリエイティブスタジオ「YAR」を設立。銀色の太陽を描いた365枚のデジタルイメージを軸に、さまざまな媒体で表現した「SUN」シリーズを発表し話題に。24年秋に鹿児島県霧島アートの森にて自身初となる美術館での個展が決定。
Official Site / YAR