ビアギークが推薦する、クラフトビールが美味い店【オガワヤスユキ編】

  • 編集&文:岡野孝次
  • 写真:宇田川 淳、榊 水麗
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“ビアギーク”とは、英語でオタクを意味する”ギーク”の言葉通り、ディープなビール愛好家とも言える人たちだ。ビールを愛してやまない彼らは、いったいどんな店に通っているのか? 異なる視点でビールを楽しむふたりが、それぞれのお薦めを教えてくれた。

Pen最新号は『驚きと、よろこびのクラフトビール』。この数年で、クラフトビールをめぐる景色が大きく変化しつつある。ていねいにつくられたもの、多様性を包み込むもの、消費されない価値を持つもの。こうした価値観、考え方が世の中に浸透し、新しい時代の姿となっているが、クラフトビールは、まさにその流れの真ん中にあるものだ。世界を動かす驚きと、よろこびあふれるクラフトビールを体感しに行こう。

『驚きと、よろこびのクラフトビール』
Pen 2024年10月号 ¥880(税込)
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ビールや料理は美味くて当然、個性豊かな店主に会いに行く

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選者:オガワヤスユキ ●サニティー オーナー

1982年、東京都生まれ。三軒茶屋と学芸大学で人気のボトルショップ・サニティーを営む一方、バンド活動も行う。「昔バンドでアメリカツアーに行った際に、ウエストコーストIPAに衝撃を受けました」。

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同業者からの支持も厚い夫婦が営むビアパブ

もとドイツパンの職人だった夫・山田英博と、長く飲食店に勤めた妻・千恵が、2000年代に旅したヨーロッパで人々の日常にクラフトビールの文化が自然に溶け込んでいることに魅せられ、2010年に開業。ヴァイツェンやセゾンなどヨーロッパのクラシックなクラフトビールが飲めて、買える店としてビアファンから不動の人気を誇る。最近は北欧のIPAや国産ビールも常備。真っ赤な壁と天井を彩るオーナメントが醸し出す、祝祭感に満ちた店内の雰囲気を好んで通う常連や新規の客も多い。つまみの定番はデンマークホットドッグ。

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ブルワーやビアパブのスタッフ、オーナーなど、業界の多くの仲間から慕われる山田夫妻。

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縦に細長い店内は5坪くらいの広さ。天気のいい週末などは外で飲む客もいる。

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鎌倉のヨロッコビールとコラボした、モルトとホップのバランスがよいヘレス「スタムティッシュヘレス」500mL ¥1,600、特注のパンとソーセージを使った、デンマークホットドッグ¥700

ピガール トウキョウ

住所:東京都世田谷区太子堂2-15-8 1F
TEL:03-6805-2455
営業時間:15時~23時(火~土) 14時~22時(日)
定休日:月(祝日の場合は営業、翌火曜休)
Instagram@pigallebeer

― Ogawa's View ―

三軒茶屋でボトルショップを経営する僕の大先輩にあたる店。実際にヨーロッパに足を運んで、現地のブルワーたちとコミュニケーションをとるオーナーの山田夫妻ならではのエピソードや、ビールに対する姿勢に触れて、多くの感銘を受けています。

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焼肉×クラフトビールが評判を呼ぶ人気店

春から秋にかけ、通りに向かって大きく窓が開け放たれるこちらの店。軒先に腰掛け、クラフトビールを飲むのが気持ちいいと評判だ。一方で、細長い店内のカウンター席を通り抜ければ、そこに鎮座するのはダクト付きの焼肉専用テーブル。神楽坂でビストロ、四谷三丁目で焼き鳥店も経営する店主・伊藤清孝が厳選した銘柄牛のさまざまな部位を堪能できる。ハラミなど厨房でスタッフが焼く焼肉メニューもあって、それらは軒先とカウンターでも楽しめる。クラフトビールは偏りなく、さまざまなビアスタイルを取り揃えている。

 

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店の軒先に腰かけるスタッフ。中央が店長の伊藤。
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2021年に幡ヶ谷駅近くで開業。
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手前がカウンター席で、奥が焼肉専用テーブル席。

 

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ティーンエイジ ブルーイングとのコラボビール「セブン ウェイブ」¥1,700。焼肉は右奥から「香川オリーブ牛/ササミ」¥1,480、「北海道宗谷岬和牛/特上カルビ」¥1,780、「福島かみさわ牛/ブリスケ」¥1,680

肉と麦

住所:東京都渋谷区幡ヶ谷1-33-1 シティー幡ヶ谷1F
TEL:03-6407-9833
営業時間:11時30分~14時、17時~24時(火~土)  17時~24時(月、日)
定休日:不定休
Instagram@niku.to.mugi

― Ogawa's View ―

スタッフが楽しそうに働く姿に、ついついビールが進んでしまう....。そんな明るい雰囲気が魅力。お客さんとの距離感が絶妙な接客が心地よく、僕たちもお手本にさせてもらっています。店主の伊藤清孝さんを中心としたスタッフのチームワークが見事!

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ビールやコーヒーを片手に憩えるスポット

スターバックスで働いていた際に出会い、結婚した中野翔太と幸枝。ふたりとも大のクラフトビール好きでもあるため、コロナ前は毎年ビールを飲むためにアメリカを旅していた。小田急沿線の喜多見を開業の地に選んだのは、ここが周辺に複数の醸造所やビアパブを擁する‶クラフトビールな街”だったから。ビールは流行に左右されず、IPAに加えてクラシックなイギリスのビターエールを常備。ふたりとも調理専門学校卒業で、翔太がつくる中華、幸枝の焼くスイーツも評判だ。コーヒーも提供するため、さまざまな人が利用する。

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中野夫妻。実は相当な酒豪でもある。

 

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Y字路に面するガラス張りの外観。外飲み用のベンチもあり。

 

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ベルギーの伝統的なつくりのビールもボトルで取り揃える。

 

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常時オンタップしているという、イギリスのエクストラスペシャルビター「オールドスペックルドヘン」UKパイント¥1,250、キャロットケーキ¥500。スイーツは日替わり。焼菓子もある。

エンジョイ?

住所:東京都狛江市岩戸北2-20-3
営業時間:15時~23時(月、水、木) 15時~24時(金) 13時~24時(土) 13時~23時(日、祝)
定休日:火、不定休
Instagram@enjoy_c_b

― Ogawa's View ―
2021年オープン同志というまさに同期というべき存在。オーナーの中野夫妻は大のクラフトビール好きで、お互いの店を訪れ合っては、ビール談議に花を咲かせることもしばしば。翔太くんがつくるラーメンや炒飯などの中華料理も必食のおいしさです。

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湘南のクラフトビールカルチャーを盛り上げる新星

もとよりブルワリーやビアパブが多く、クラフトビールカルチャーが根付く茅ヶ崎。街の複数の飲食店が2021年開業のパシフィックブリューイングのビールを置き、タップルームのような役割を果たしているため、「逆に日本の他の醸造所、海外のビールを紹介する場所をつくりたかった」と店長の赤間希哉。タップや缶で自社の銘柄を提供しながら、国内外を問わず、日本、アメリカやヨーロッパなど世界中のビールを販売するボトルショップとしても機能する。季節の野菜のお浸しなど、和食ベースの料理とのペアリングも好評だ。

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4月よりピーポンでマネージャーを担う赤間。クラフトビアマーケット神田店で店長を務めた経験もある。 

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ポップな色彩の外観。外飲み用のテーブル席もある。

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パシフィックブリューイングのピルスナー「エーデル」¥900はモルトの香ばしさ、凛としたホップの苦味も映える。和のつまみが充実し、「トマトのお浸し 柑橘ジュレ」¥500は旬の野菜を使った皿。

ピーポン

住所:神奈川県茅ヶ崎市共恵1-6-9
営業時間:15時~23時(月~金) 12時~23時 (土、日、祝)
定休日:不定休
Instagram@pepown.chigasaki

― Ogawa's View ―

茅ヶ崎のパシフィックブリューイングが今年4月に開業したビアパブ。店長の赤間くんは業界大手のクラフトビアマーケットで仕入れを担当していたこともあり、ビールに関する知識がとにかく豊富。湘南を訪れた際には必ず立ち寄る店のひとつです。

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