街の風景を映し出す、原宿の新しいランドマーク「ハラカド」【今月の建築ARCHITECTURE FILE #23】

  • 文:佐藤季代
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かつて気鋭のクリエイターが集った「原宿セントラルアパート」跡地に立つ。ガラスで覆われたオブジェのような建築に庭園が浮かぶ。 photo: SS / Shingo Nakashima

クリエイターが集い、先鋭的なカルチャーを生み出してきた原宿。表参道と明治通りが交わる交差点に、東急プラザ原宿「ハラカド」が今年4月に開業した。交差点の対面には、NAP建築設計事務所(主宰・中村拓志)による東急プラザ表参道「オモカド」(旧東急プラザ表参道原宿)が立つ。

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屋上テラスの造園はランドスケープデザインなどを手掛けるDAISHIZENが担当。ヤシの木をはじめ、多様な草木を取り入れている。 photo: SS / Shingo Nakashima

地下3階・地上9階建ての建物には、飲食店や物販、銭湯など75店舗が入居するほか、雑誌の図書館、クリエイター支援・共創を促すラウンジなど、従来の商業施設にはないクリエイティブな参加型施設も備える。場所の記憶を引き継ぎ、新たなカルチャーを発信する“創造施設”を目指している。

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反射ガラスを用いた凹凸部が「umi」、内部が透けて見えるフラット部が「shima」と呼ばれる。見え方の変化で豊かな表情をつくり出した。 photo: SS / Shingo Nakashima

 

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2階は約3000冊を収蔵する雑誌の図書館「COVER」が入る。3階にかけて広がる吹き抜けからは、交差点の対面にある「オモカド」が見える。 photo: SS / Shingo Nakashima

ファサードデザインと屋上テラスの設計を担当したのが平田晃久建築設計事務所。“まちを編む”をコンセプトに、織物を思わせる多面体ガラスとフラットガラスを組み合わせた印象的なファサードを提案。ガラスを纏った建築そのものが、街並みや交差点を行き交う人々を映し、季節や時間によって刻々と表情を変える。

また、5〜7階にかけて大階段でつながる屋上テラスは多様な植栽で彩られ、眼下に広がる並木や都心のビル群が一望できる開放的な都市の居場所になっている。

早くも多くの人で賑わいを見せている「ハラカド」。「オモカド」と連携して生まれる新しい原宿の姿に注目したい。

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4階の「ハラッパ」は300㎡以上のフロア全体がパブリックな空間。自然やサステイナブルをテーマにしたアートやコンテンツを楽しめる。 photo: SS / Shingo Nakashima

東急プラザ原宿「ハラカド」

住所:東京都渋谷区神宮前6-31-21
TEL:店舗によって異なる
開店時間:店舗によって異なる
定休日:店舗によって異なる
https://harakado.tokyu-plaza.com
【設計者】平田晃久建築設計事務所
代表の平田晃久が、京都大学大学院を修了後、伊東豊雄建築設計事務所を経て設立。家具や住宅、公共施設、商業施設、都市再開発まで多様なプロジェクトを手掛ける。今回、外装と屋上テラスを担当した。