105歳でスタンフォード大の修士号を取得した女性が話題に…卒業式で拍手喝采

  • 文:大村朱里
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Shutterstock-Creativewave2021 ※写真はイメージです

第二次世界大戦中に大学を退学した105歳の女性が、米名門・スタンフォード大学の学位授与式で修士号を取得。83年越しとなった卒業の理由に大きな反響が集まっている。

83年越しの卒業の理由は「戦争」

この時を長い間待っていたんですーー。カルフォルニア州・パロアルト出身のバージニア・ヒスロップさんは6月18日、卒業証書を受け取るために壇上に上がった。105歳の彼女は、今年の名門・スタンフォード大学の卒業生だ。彼女が卒業までにこれほどの年月を費やした理由は、今から83年前の1941年。バージニアさんが大学の修士課程を修了したときに事件が起こった。

彼女はスタンフォード大学教育大学院にて教育学の学士号を取得後、教師を目指すために修士号を取得しようとしていた。ところが、世界は第二次世界大戦に突入し、バージニアさんの当時の交際相手だった、ジョージ・ヒスロップさんが戦争に召集されることになった。そのため、二人は結婚を決意。彼女は卒業するまで残り修士論文のみだったにもかかわらず、スタンフォードを去ることを余儀なくされたという。

「必要であれば、いつでも手に入れられるもののひとつだと思ったし、私はいつも勉強を楽しんでいたので、私にとって(卒業することは)大きな関心ごとではありませんでした」と、バージニアさんはKTVUのインタビューに語っている。

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「『転がる石に苔は生えない』。まさに彼女のことです」と学部長

卒業式の様子を捉えた動画には、現役の学生たちに混じり式典に出席するバージニアさんの姿があった。ヒスロップさんが壇上に上がると、観客からの盛大な拍手が送られ、彼女は満面の笑顔を見せている。この時、周囲からはスタンディングオベーションが起こったそうだ。式典でスタンフォード大学教育学部のダニエル・シュワルツ学部長はスピーチで、彼女について語った。

「彼女から学んだ最大の教訓は、学ぶことを決して止めないということです」

さらに「彼女は貪欲な読書家であり、105歳になった今でも活発に体を動かし続けている。『転がる石に苔は生えない』ということわざがありますが、まさに彼女のことです」と続けた。

教育に生涯を捧げた人生「学びには決して終わりがない」

83年後とはいえ、バージニアさんのこれまでの歩みは間違いなく彼女の学位に値しているだろう。彼女は彼女の子供たちがまだ幼い頃、「生徒たちが何を教えられているか」ということに発言権を持ちたいとワシントン州・ヤキマ教育委員会に加入。

またヘリテージ大学の創設にも携わり、20年間理事を務めるなど、市、州の政治にも関わってきた。現在では、4人の孫と9人のひ孫たちに囲まれ幸せに暮らしているそうだ。バージニアさんは83年越しの修士号取得に喜びのコメントを述べた。

「私が義母から受け取った一番の教えは、『学びには決して終わりがない』ということでした」

「私は長年にわたって、地元の学校制度のために貢献してきました。私の仕事が、この学位で認められたのは嬉しいです」と続けて語っている。

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【動画】105歳でスタンフォード大学を卒業したヒスロップさんの学位授与式

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105歳でスタンフォード大学を卒業したヒスロップさんによるスピーチは話題に。

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105歳でスタンフォード大学を卒業したヒスロップさん。