『週末フィンランド ちょっと疲れたら一番近いヨーロッパへ』という本を書いているのに、コロナ禍もあり、さらにはロシアの情勢もあり、またさらには円安もあり、「ちょっと今週末、フィンランド行ってくるわ!」なんて軽い感じでフィンランドへ行けなくなって早5年。しかしついに行ってきました、久々のフィンランド。
足が遠のいていたフィンランドに行くきっかけをくれたのは、タンペレ観光局で働くマリさん。マリさんから「6月8日は『フィンランドサウナの日』で、それに合わせてタンペレでSoul of Saunaっていうイベントがあるんだけど来ない?」と誘われました。ずっとフィンランドへ行くことを決められなかったのは、実はこうしてフィンランドのほうから呼ばれるのを待っていたからかもしれません。
サウナに出会って、フィンランドの幸福に生きるヒントを知って、わたしの人生観みたいなものがだいぶ変わったわけですが、久々のフィンランドと自分をどう感じるのか、それを確認できるのも楽しみでした。
というわけで、タンペレ行くぞ!と慌てて準備をして行くことに。
フィンランドへはフィンエアーがとても便利。というのも、成田便が23:05発で到着が翌朝5:55。羽田便が21:50発で翌4:40着。お気づきでしょうか。そうなんです、飛行機に乗っていつも通りの時間に寝て、朝起きたら到着しているので、時差ぼけゼロでそのままの活動ができてしまうので、体も楽で、さらに無駄なく予定が組めるんです。
ちなみにですがフィンエアーで便利だなと思うことは、機内食の説明。日本語でこれから出てくるメニューの内容が確認できます。「BEEF or CHICKEN?」とざっくりすぎる材料だけでチョイスを迫られるのってドギマギしますけど、これならしっかり自分の好きな方を決めて「BEEF or CHICKEN?」に挑めますよね。
そしてこちらがタイムスケジュール表。あと何時間飛ぶかというのがわかるだけでなく、日本時間に合わせて現地時間が表記してあり、食事の時間、機内が暗くなるおやすみの時間なども表記してあるので、ここからここまでは寝ようなど、自分で計画が立てられます。
そして、目的地タンペレについても説明を少し。タンペレは首都ヘルシンキから電車で2時間弱。フィンランド第二の都市で、日本で言うなら大阪のような感じでしょうか。タンペレには日本人観光客も多く訪れる「ムーミン美術館」があり、さらにはフィンランド国内で一番公衆サウナの数が多いことから、2018年に「Sauna Captal(サウナ首都)」宣言をしています。
そしてフィンランドでは6月8日が「International Sauna Day(フィンランドサウナの日)」ということで、6月3日から9日の約1週間はタンペレが「Soul of Sauna」というお祝いをしている期間なのです。
滞在中は新しくできたサウナや、前に行って好きだったサウナなどいろいろとサウナを巡ったのですが(また別途書きます)、やはり公衆サウナ界のボスであり、今回のSoul of Saunaの中核となるのが「Rajaportin Sauna(ラヤポルティサウナ)」です。こちらは1906年開業のフィンランドで現存する最古の公衆サウナ。今年で118年目!
8日のサウナの日にはこちらで、サウナ平和宣言のイベントが開催されるとのことで、5年ぶりに向かってみると、いつものように地元の人たちが外気浴をしていました。5年前にもいた大阪弁で「もうかりまっか?」と聞いてくる名物おじいさんもしっかり健在でした。
イベントということで、地元の人たちかな?というブラスバンド隊も来ていて、小さい敷地ですが盛り上がっています。
サウナでは誰しも平等であることを謳うサウナ平和宣言は15ヶ国語で準備されていて、その言葉が話せる人が前へ出て宣言を読み上げます。
フィンランド語、英語、ドイツ語、ノルウェー語に続いて、日本語はなんと同行していた友人でフリーキャスターの桑原りささんが読み上げることに。プロのアナウンサーの宣言に、日本語がわからないみなさんも「なんか声がいいぞ?」とざわついてました。
そして5年ぶりのラヤポルティはというと、いやぁやっぱりいいですね。熱さ、湿度、そして原始的でミニマルな感じが完璧に相まっていて、創業118年のサウナに来てるんだと改めて思い出させてくれます。
ここは男女別々ですが、ひとつのストーブを真ん中で仕切って共有しているので、例えば男性側がロウリュすると女性側も一緒に熱くなります。そのサプライズ熱がこれまたおもしろい。中の構造は、ロフトのような感じになっていて、階段で上に上がると座る場所があり、階段で下へ降りると蛇口にホースがついた水貯め場があるだけ。
この水貯めで体を流したりするのですが、、水貯めも男女で半分になっているので、女性が男性側に対して「すいません〜!男性側! 蛇口の水、止めてくれる? こっちは水が溢れ出してるの!」と声がけをしていて、男性側から「あーごめんごめん、止めました。どう?」と返事が。こういうやりとりも地元に根付く公衆サウナらしさがあって、ほっこりしました。
これからもずっと地元の人たち、そしてフィンランド最古の公衆サウナに入りたい!と日本を含め世界中から来るサウナ好きたちを受け入れて温めていってほしいと思います。
ラヤポルティ、また来るね!
次回は、Soul of Saunaで日本の作曲家の音楽を使ったイベントがおこなわれていたので、そちらをレポートしたいと思います。
文筆家、イラストレーター
コロラド大学大学院東アジア言語文明学科卒。2009年から外務省専門調査員として在シアトル総領事館勤務。在米中に出版した『COFFEE GIVES ME SUPERPOWERS』がベストセラーとなり世界5ヵ国で翻訳出版されている。サウナ愛好家でもあり、フィンランド政府観光局サウナアンバサダーに任命されている。著書に『週末フィンランド』、『エンジョイ!クラフトビール』、『コーヒーがないと生きていけない!』、『HAVE A GOOD SAUNA!』がある。
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コロラド大学大学院東アジア言語文明学科卒。2009年から外務省専門調査員として在シアトル総領事館勤務。在米中に出版した『COFFEE GIVES ME SUPERPOWERS』がベストセラーとなり世界5ヵ国で翻訳出版されている。サウナ愛好家でもあり、フィンランド政府観光局サウナアンバサダーに任命されている。著書に『週末フィンランド』、『エンジョイ!クラフトビール』、『コーヒーがないと生きていけない!』、『HAVE A GOOD SAUNA!』がある。
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