2025大阪・関西万博の開催を前に、変貌しつつある大阪の街を縦断し、アートやデザインとの出合いを楽しむ周遊型イベント『大阪アート&デザイン2024』。2回目となる今年は「Resonance 共鳴の拡張」をテーマに6月25日まで開催中だ。そこで、大阪で過去最大級のアート&デザインの祭典をエリアごとに紹介。必見のアート作品を、立ち寄りたい最新グルメスポットとともに紹介する。
『大阪アート&デザイン2024』とは
古来から商人の街として栄えた大阪は、多様なものをミックスする“ごちゃまぜ文化”の魅力を持つ街。特にキタとミナミの愛称で親しまれる二大繁華街を一直線に繋ぐ長さ約4kmの御堂筋を歩けば、繁華街からオフィス街へと街並みは変わり、堂島川と土佐堀川に挟まれた中之島の水辺の風景や寺社仏閣など多様な顔を見せてくれる。そうした大阪の街の多様性に呼応するように、2023年から始まった『大阪アート&デザイン』は、昨年より規模を拡大して今年も開催。5月29日から6月25日までの4週間にわたり、百貨店やギャラリーやショップなど、キタとミナミ、その中央エリアを含めた55カ所、約200のコンテンツに及ぶ多種多様なアートやデザインが街を彩る。大阪最大級のアートの祭典だ。
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1.キタエリア
梅田 / 堂島 / 中之島 / 北新地 / 天満 など
みどころ① うめだ阪急
西日本最大のターミナル駅であるJR大阪・梅田駅前にある阪急百貨店うめだ本店、阪神梅田本店、大丸梅田店の3大老舗百貨店も同イベントに参画している。阪急うめだ本店では、日本を代表する現代美術家・椿昇がディレクターを務める大規模なコンテンポラリーアートフェア『HANKYU ART FAIR 2024』を開催。「アートと暮らすことが、当たり前」というライフスタイルを目指したプラットフォームになるべく、名和晃平、大庭大介、ヤノベケンジ、品川美香ら総勢80名のアーティストたちの作品が展示され、その一部を除きアート作品を購入することができる。同じフロア9階にある祝祭広場では『プレイフル・デザイン・マーケット』と銘打って刺激に満ちたデザイン家具などを販売。世界的デザイナーとして知られる倉俣史朗の代表作『ミス・ブランチ』の特別展示も必見だ。
みどころ② 大丸梅田店
大丸梅田店では、グラフィティ・アートの先駆者として80年代より活躍し、かのバンクシーに影響を与えたニック・ウォーカーとイギリスのストリートアートの先駆者シーワンが今年3月に来日し、日本初となるコラボライブペイントを行った。2mを超す作品が大丸梅田店1階に展示され、間近で鑑賞することができる。15階の大丸ミュージアムでは、週替わりで12のギャラリーが集結し、ノルウェーの人気ストリートアーティストのドルク、彫刻家の田島享央己、ペインティングアーティストの轟友宏などの魅力的な作品を購入することも可能だ。
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立ち寄りグルメ「肉料理PINE」
梅田駅東側に位置する堂山エリアには、多くの飲食店や飲み屋がひしめく。なかでもいま注目なのが、昨年9月にオープンした立ち飲み屋「肉料理PINE」。細い路地裏を進むと見えてくる、見事な枝ぶりの松の盆栽が目印だ。腰の高さの小さな襖から潜るように入ると、カウンター前に大勢の客で賑わっている。この店では、肉割烹や焼肉店で修業した松下聖輝さんが提供する、A5ランクの和牛や上質な肉をを使ったメニューの数々をワンコイン前後とリーズナブルな価格で堪能できる。
ほとんどの客が注文するのが「名物 味噌カツサンド」。赤身の柔らかい希少部位を使ったボリューム満点のカツサンドに八丁味噌ソースと刻んだ高菜のタルタルソースがアクセントになっている。国内外のクラフトジンも30種類と充実の品揃え。いつも満席状態の人気ぶりなので、開店直後の17時前後が狙い目。阪急百貨店うめだ本店からも徒歩圏内なので、梅田界隈のアートホッピングの最後に立ち寄りたい。
肉料理PINE
大阪府大阪市北区堂山町7-16
TEL:080-9605-5158
営業時間:17時~1時
定休日:月
Instagram:@nikuryouri_pine_
みどころ③ 『HIZO Market』
京阪電車なにわ橋駅地下1階の「アートエリアB1」では、関西にゆかりのある33組のクリエイターたちによる未だ市場に出回ってない秘蔵の作品を展示する『HIZO Market』が開催中だ。作品として完成するまでのクリエイターたちの思考を辿るプロトタイプやさまざまな理由でお蔵入りした作品を実際に見て購入することができる。プロダクトデザイナーのルイペレイラと福定良佑が、伝統的な京瓦を作る京都唯一の職人である浅田製瓦工場3代目の浅田晶久さんと出会い、デザインを手掛けた燻し銀の瓦テーブルランプや、プロダクトデザイナー中井詩乃と越前和紙の長田製紙所のコラボによるマグネットでA3ポスターを飾れる和紙の額の希少なプロトタイプなど、日本の卓越した伝統工芸や技術を新たな視点で捉え直した作品も見どころのひとつだ。
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立ち寄りグルメ 「café KITONARI」
中之島界隈で一休みするなら、今春リニューアルオープンした大阪市立東洋陶磁美術館の隣に新たに誕生した「café KITONARI」へ。「アートエリアB1」からも徒歩2分だ。全面ガラス張りで、目の前には国指定重要文化財の大阪市中央公会堂を臨む眺望抜群な空間でいただけるのは、美術館が所蔵する国宝や重要文化財などの希少な館蔵品を再現したユニークなドリンクやスイーツだ。
中国の名窯・鈞窯(きんよう)でつくられた青色と紫色のグラデーションが美しい「紫紅釉盆」を、バタフライピーティーとレモンシロップ、パイナップルとライチジュースで再現した見目麗しいドリンクや11世紀の北宋時代に定窯でつくられた「白磁刻花牡丹文瓶」の曲線を食用フレーバーバブルで表現したパンナコッタは、球体が弾ける様子も楽しめる。大阪市立東洋陶磁美術館のリニューアルオープン記念特別展『シン・東洋陶磁―MOCOコレクション』で珠玉のコレクションを鑑賞した後に、館蔵品を模したスイーツを味わうのも乙なものだ。
大阪市立東洋陶磁美術館
「café KITONARI」
大阪府大阪市北区中之島1丁目1-26TEL:070-3316-7416
営業時間: 9時30分〜17時(L.O.16時30分)
定休日:美術館に準ずる
Instagram:
@moco_museumshop_cafekitonari
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