渋谷パルコ3FのMARC JACOBS EVENT SPACEにて、俳優で写真家の安藤政信さんの写真展が開催中だ。タイトルは「MARC JACOBS THE FUTURE FLORAL 憂鬱な楽園」。
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この写真展は、MARC JACOBSのTHE FUTURE FLORALコレクションの立ち上がりに合わせて開催されたもので、コレクションのアイテムを身に纏ったモデルを、安藤さんにとってなじみの深い桜の名所で撮影した作品と、花をモチーフにしたコレクションに合わせて、安藤さんが日頃から作品づくりのテーマに据えている死生観を込めた花の写真が展示されている。いずれも今回の写真展のために撮り下ろしたものだ。
今回の写真展について、監督の求めるものや脚本に合わせて自分の感情を表現する役者とは違い、自分の中から湧き出る衝動を作品にしたものだと話す安藤さん。その根源にあるのが死生観だ。
「人はどうやって生きて、どうやって死んで、どうやって再生していくのか? 生きている時はこの繰り返しだと僕は思っていて、こうした死生観を表現した作品が、今回の花の写真になります」
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中でもそれを象徴するのが、特殊メイクアップ・アーティストであり、特殊メイクデザイナーである藤原カクセイさんとの協働作品だ。これは美しい女性の遺体が朽ち果てていく様を九つの段階ごとに描いた九相図と呼ばれる仏教絵画をテーマにしたもの。
特殊メイクによって生み出された女性の遺体の顔がうっすらと写し出され、その周りに多数の花の写真を記憶のレイヤーとしてコラージュすることで、九相図のひとつの段階を表現している。いずれはこれをきっかけに9つの段階すべてを作品で表現したいと話す安藤さん。
作品の下には生花が横たわり、これが九相図を体現するかのように会期中に少しずつ枯れていく様子もインスタレーションとして鑑賞できる。
写真家、表現者としての安藤政信の魅力が詰まった今回の写真展。その見どころについてMARC JACOBS EVENT SPACEを主催するBOOKMARCのマネージャー、持田剛さんはこう話す。
「展示された作品は、安藤さんが花を通してこの世界のものの見方、捉え方を表したものです。花々は一見、煌びやかに見えるかもしれませんが、その裏側には朽ちていく予兆、死の兆候が潜んでいるのかもしれません。作品を鑑賞する際は、撮影者である彼の目線を意識しながら、その内面的な世界に思いを馳せてみてください」
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「MARC JACOBS THE FUTURE FLORAL 憂鬱な楽園」の会期は、6月2日(日)まで。写真家、安藤政信が思い描く世界観を、会場でじっくりと味わいたい。
安藤政信写真展「MARC JACOBS THE FUTURE FLORAL 憂鬱な楽園」
会期:〜6月2日(日)
会場:MARC JACOBS EVENT SPACE
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ3F
電話:080-7313-5083
https://shibuya.parco.jp/event/detail/?id=7297
5月25日(土)17時〜18時にはINQUIRINGデザイナーの岡沢高宏さんとのトークイベントを開催予定。