創業150周年を迎えたピアジェから新作「アルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨン」が登場。ケースの厚みわずか2mmという薄さに、なんとトゥールビヨンを搭載した、前代未聞の超薄型複雑時計だ。同社が誇る超薄型キャリバーの伝統を象徴する最高傑作となるだろう。
1874年に創業したピアジェは、圧倒的な存在感を持つスイス高級時計の名門だ。特に、1950年代後半以降の自社製薄型ムーブメントに関しては絶対的な評価を保ち、極薄のドレスウォッチが世界中のセレブリティを魅了した。また、薄さを活かしたスマートなジュエリー使いやゴールドと多彩なカラーを駆使する洒脱なデザイン、オーナメンタルストーンの文字盤などのユニークなマテリアルの採用で、腕時計づくりの可能性を広げてきた先駆者的存在でもある。その独創性が遺憾なく発揮されたのが、今回の新作「アルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨン」である。
そもそも、薄型ムーブメントのエキスパートであるピアジェは、厚さ4.6mmの薄型トゥールビヨンキャリバー「670P」を搭載したケース厚7.3 mm の極薄トゥールビヨン「アルティプラノ」を現在もラインアップしている。今回の新作は、ピアジェの技術の確かさが次のステージに進んでいることを証明するコンセプトモデルである。
トゥールビヨンを驚異の薄さに進化させたのは、思いもかけない技術だ。ブリッジを持たないフライングトゥールビヨンは、普通は側面から固定されていて、その分の厚みは解消できない。これを、下部からではなく外周からセラミック製ボールベアリングで固定するという方法を考案したのである。
実はピアジェは、2018年に同じ2mm厚のトゥールビヨンではない「アルティプラノ アルティメート コンセプト」を発表している。あまりの薄さに実用化を疑う声すら上がったこのコンセプトモデルは2年後に商品化。そして同年、GPHG(ジュネーブ時計グランプリ)で金の針(エギーユ・ドール)賞の栄冠に輝いている。
今回の「アルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨン」は、それと同じ薄さでトゥールビヨンを搭載する、という試みなのである。これがどれだけ困難であったかは想像に難くない。部品の流用もほとんどが難しく、90%以上が再設計された。機構の最終決定までに、トゥールビヨンキャリッジが70種類以上、アンクルが15種類以上、 ケースフレームが30種類以上の改良を重ねた。
サファイアクリスタルの厚みは文字盤側で0.20mm、裏蓋側では0.16mmにまで抑えられたこの時計。テンプのリムも0.2mm厚であり。これらを製作する機械は0.002mm=約2ミクロンの精度が要求された。しかもパワーユニットの主ゼンマイをカスタムメイドし、ピボットの代わりにボールベアリングの採用で摩擦を軽減して効率を上げ、40時間以上のパワーリザーブを確保した。あらゆるマイクロエンジニアリングの粋を駆使して、この奇跡的なトゥールビヨンは完成したのである。
しかも、これだけの技術を駆使したコンセプトモデルでありながら、「アルティプラノ アルティメート コンセプト」はどこまでも美しい姿を見せる。最も優れた腕時計は、最も美しくなければならない。ピアジェ創業者が提唱し現在に至るモットー「常に必要以上に良いものをつくる」は、この時計にも生きているのである。
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