気球に乗って宇宙で楽しむ、世界で最も高額な食事が登場

  • 文:山川真智子

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宇宙船ネプチューン。気球に吊られたカプセルが宇宙へ。

ミシュラン2つ星を獲得しているレストランのシェフを起用し、宇宙空間でディナーをいただくという、超豪華なツアーが計画されている。高度10万フィート(約3万メートル)の高さから、地球の日の出を眺めることができるお楽しみ付きで、一味違うグルメツアーとなっている。

人気シェフを起用 宇宙で美食体験

ライフスタイルマガジン、ロブ・レポートによれば、この計画はスペースVIP社が手配する豪華宇宙旅行で、デンマークのコペンハーゲンを拠点とするレストラン、アルケミストのシェフ、ラスムス・ムンク氏が料理を担当する。

イタリアのグルメサイト、レポーター・グルメによれば、ムンク氏は、わずか24歳でコペンハーゲンにアルケミストを設立。非常に斬新で大胆な料理で、驚くべき成功を収めた。その後一度店を閉め、古い造船所を改装してバージョンアップした新店舗をオープン。芸術からインスピレーションを得た多層的な美食で、世界で最も野心的な話題のシェフとなった。アルケミストは、2020年以降ミシュランの2つ星を獲得しており、持続可能な美食学を持つレストランに贈られる、ミシュラングリーンスターも獲得している。

気球で成層圏へ…日の出と料理を満喫!

デイリー・メール紙によれば、この宇宙旅行には、スペース・パースペクティブ社の宇宙船ネプチューンが利用される。宇宙船といっても、ネプチューンは巨大なガス気球の下に吊るされた与圧カプセルだ。世界発のカーボンニュートラル宇宙船を謳っており、ロケットもジェットエンジンもなく、訓練なしで誰でも参加できる穏やかな飛行になるはずだという。

気球はフロリダから出発し、フロリダ半島を眺めながら時速約19kmで高度約3万メートルの成層圏まで上昇する。ロブ・レポートによれば、食事はカプセルラウンジの中で、地球の湾曲の上に太陽が昇るときに提供されることになっている。船内にはWi-Fiがあり、ゲストは旅の様子をライブで報告することができる。

料理のほうだが、ロブ・レポートによれば、ムンク氏は宇宙探査にインスパイアされた一連の料理を用意するということだ。過去のアルケミストのメニューには、アリを閉じ込めたキャンディ、タラ(鱈)の目から作ったゼリー、シリコンの頭に入ったデザートなどかなり冒険的なものもあり、好き嫌いは分かれそうだ。

収益は財団に寄付

ツアーは乗客6人で催行される。気になるお値段だが、1人なんと49万5000ドル(約7500万円)。ちなみに、ネプチューンの一般的な座席の値段は150万ドル(約2300万円)ということだ。出発は2025年の予定で、収益は宇宙に興味を持つ若い女性たちのための教育に取り組む財団に寄付される。心の広い、そして懐の深い食通の方は、ぜひ参加していただきたい。

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 ムンク氏の奇抜な料理の数々。

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 プラネタリウムスタイルの、アルケミストの店内。

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 シリコンの頭に入ったデザート。

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ジョージ・オーウェルの小説『1984』にインスパイアされた料理。瞳の部分にはクリームコーン、ロブスターのタルタル、キャビア、鱈の目のゼリーを使用)。