ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンのシェーズロングをはじめ、誰しもが一度は目にしたことのある名作椅子を現代に蘇らせ、生産・販売している「カッシーナ イ・マエストリコレクション」。その50周年を記念し、2023年のミラノデザインウィーク期間中に、アートディレクターのパトリシア・ウルキオラとフェデリカ・サーラによってキュレーションされた展⽰『Echoes, 50 years of iMaestri』が開催。大きな話題を呼んだことは記憶に新しい。そして今年3月、その書籍『Echoes, Cassina. 50 Years of iMaestri』が発売された。
この本はカッシーナ イ・マエストリコレクションの歴史を辿る構成で、スケッチ、ドローイング、手紙、当時の写真などの貴重な資料で14人の巨匠の生涯とキャリアを振り返っている。ル・コルビュジエにはじまり、ヘーリット・トーマス・リートフェルトやチャールズ・レニー・マッキントッシュ、シャルロット・ペリアンなどのデザイナーが登場。未発表の資料も含まれている。
カッシーナの職人技術やデザインの知識を知るだけでなく、有名写真家によるコレクションのアイコニックな撮り下ろし写真も見どころ。マスターピースの新たな解釈にも注目したい。本書の構成を少し紹介しよう。
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第1章:イ・マエストリの直感
カッシーナ イ・マエストリコレクションの起源から始まる章。1964年にル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンのモデルを製造する権利の取得を指導したチェーザレ・カッシーナから始まり、チャールズ・レニー・マッキントッシュやへーリット・T・リートフェルトなどコレクションの拡大の経緯が語られている。
第2章:継続的研究
このコレクションが生まれた時代は、職人による生産から工業的生産への移行していった頃。デザイン史家のドミティッラ・ダルディは、デザインの開発を可能にした実験の役割について語っている。また、1969年に設立されたカッシーナ研究開発センターについてのトピックも。
第3章:文化の構築
第3章では、時代を超えた芸術的価値観の普及者としてのカッシーナの役割と、巨匠たちの文化的プロモーターとしての役割に焦点を当てている。カッシーナが単に家具を生産するだけでなく、いかに近代建築の理論的推進に関与してきたかを強調している。デルフィーノ・シスト・レニャーニ(DSLスタジオ)による美術館で撮影された名作椅子たちの写真もみどころだ。
第4章:昨日、今日、そして明日
第4章では、カッシーナ製品の不朽のアイコンを紹介。ポンピドゥー・センターのキュレーターであるセリーヌ・サライヴァが、カッシーナ イ・マエストリコレクションの作品がいかに流行や時代を超え、今日に至っているかを語る。また、アムステルダムとパリを拠点に活躍する写真家、サラ・ヴァン・ライ&デイヴィッド・ヴァン・デル・リューによる、フランコ・アルビニのアームチェア「Tre Pezzi」にも注目したい。
第5章:変化を予測する
最終章では、カッシーナが過去に根ざしながら未来を見据えることのできるコレクションを創造し、現在の課題にどのように向き合っているかが語られる。パリ在住のスイス人フォトグラファー、トンマーゾ・サルトーリは、巨匠たちの作品を称え、大自然の中で撮影を行った。
Echoes, Cassina. 50 Years of iMaestri