「究極の贅沢!」ジェット機に泊まるバリ島のヴィラ、果てない海を望むジャグジーをコックピットで

  • 文:青葉やまと

Share:

 

shutterstock_2409321735.jpg
Coby Wayne-Shutterstock ※画像はイメージです

バリ島南部・ウルワツのビーチを見下ろす絶景の地に、ジェット機を改造した贅沢な「プライベートジェット・ヴィラ」が誕生した。建設前から話題だったが、満を持して昨年12月にオープン。稀に見る豪華でユニークな宿泊施設として、インフルエンサーをはじめソーシャルメディアの注目を集めている。

ヴィラはかつて、実際に空を飛んでいたボーイング737を改造したものだ。クタから南方に20kmほど離れたニャンニャン(Nyang-nyang)の地に設置され、海抜150メートルの崖の上からビーチを見下ろす。

翼に上り、自分だけのヴィラにチェックイン

ゲートをくぐった宿泊ゲストたちは、ていねいに芝生の刈り込まれた屋外のガーデンから純白の階段を昇り、翼の上へとアプローチ。左翼に設けられたポーチから胴体に入ると、そこには胴体と右翼とが一体化した絶景のダイニングエリアが広がる。

かつてフライトデッキ(コックピット)だった先端部には、ジャグジーを完備。かつてパイロットたちが座っていた位置から、周囲の大自然をパノラマで満喫する。窓は瞬時に曇るスマートガラスとし、プライバシーにも配慮した。

ヴィラ内は隅々までホワイトとウッド調で統一され、特別感がありながらもリラックスできる上品なデザインに仕上がっている。

---fadeinPager---

ヴィラの紹介ツアーに出発「シートベルトをお締めください」

バリ島でヴィラ開発を手がけるバリテクチャーはYouTubeチャンネルで、本ヴィラを紹介している。ガイド役の女性は冒頭、「シートベルトをしっかりとお締めください。このプライベートジェット・ヴィラに、きっと衝撃を受けますので」とユーモアを交えながら語りかける。

動画ではリビングのほか、機体外部のスペースに設けられた専用プール、ガーデン、サンテラス、そしてファイヤーピット(暖炉)を囲む屋外のソファエリアなどを紹介。機体前方のドアを開けるとハンモック状の展望スペースが姿を現すなど、ゲストを驚かせるしくみが随所にひそむ。

施設はユニークさで高い評価を得ているようだ。米CNNは、「豪華なヴィラと化したこのプライベートジェットは、航空機を改造したものとしては現時点で最も美しい部類に入るかもしれない」と取り上げている。

自身のプライベートジェットをあきらめ、ユニークな施設に

飛行機にゲストを迎えて泊まってもらうという斬新なコンセプトは、本プライベートジェット・ヴィラのオーナーであるフェリックス・デミン氏が考案した。デミン氏はロシアの起業家であり、世界を旅する熱心な旅人でもある。

開業前の2023年2月、CNNのインタビューに応じたデミン氏は、当初は機体を自身のプライベートジェットにする予定だったと明かしている。だが、何かユニークなものに活用できないかと思い立ち、ヴィラに改装するアイデアに至ったという。

インドネシアで実際に使用されていた航空機を購入したデミン氏は、ホテルの開業に打ってつけだと唯一確信できた理想的な場所、すなわちバリ島の中心街・クタからやや離れたニャンニャン・ビーチの断崖の頂上に機体を移設した。

優雅な施設に隠された、開業までの苦心

だが、プロジェクトは移設作業は容易ではなかった。デミン氏はオーストラリアのニュースサイト「News.com.au」に対し、飛行機の分解・移送・再組み立ては、起業家としてこれまで経験したなかでも「最も複雑なプロジェクト」だったと語る。

断崖から美しい海原を見下ろすニャンニャン・ビーチは、バリ島の中心街であり空港を擁するクタの街から20kmほど離れている。デミン氏はCNNに、「ボーイング社のチームと打ち合わせを行い、実際に飛行機を分解しました。緩めたボルトの数は5万個になります」と語る。

計画には約2カ月を要した。市街には電線が低く垂れ、大型機の輸送を阻む。実際の輸送にあたっては、2台のクレーン車と牽引用の巨大な台座が用意された。航空の専門家と警察がエスコートしながら、合計5日間をかけて運んだという。

---fadeinPager---

宿泊者は興奮「最高にクール!」

苦労して完成したヴィラは、大きな注目を集めている。TikTokのコメント欄には、視聴した人々から感想が寄せられている。

「なんて素晴らしいヴィラなんだ!」

「実は先週ここに泊まったばかり。最高にクールな体験だった!」

ユニークなホテルを紹介するインフルエンサーたちの注目も集めている。あるTikTokerは「私のバケットリスト(やりたいことリスト)に間違いなく入っている」と断言する。

バリテクチャーのYouTube動画のコメント欄にも、興味を惹かれた視聴者から多くのコメントが寄せられた。

 「まったくもって度肝を抜かれる! 豪華さと航空要素のコンビネーションは、まさに天才的」

「ユニークだし、息をのむように美しい。荷物をまとめて、この飛行機にチェックインしたい」

「バリでも最高のコンセプト・ヴィラだ」

---fadeinPager---

お値段も超一流?

施設はベッドルームの数を2つに抑え、最大収容人数は4人までというぜいたくな造りだ。日本からも、宿泊予約サイトのBooking.comやAirbnbを通じて予約可能となっている。

開業に1500万豪ドル(約15億円)をかけたといわれるこのヴィラは、宿泊料も相応に高額だ。大人2名、朝食付きで3月末の週末に1泊する条件で検索すると、Booking.comの掲載価格は約63万円となっている。

宿泊価格がTikTokでシェアされると、「高すぎる」と反応する人々が相次いだ。「同感だ。ユニークだけれど、(物価が比較的手ごろな)バリの値段としては高すぎる」と応じる人もいる。

一方、飛行機と絶景を楽しめる価格としては「適切」と感じる人もいるようだ。「飛行機の家というものは見たことがないので、その体験とユニークさの対価ということだろう」と同調するコメントもみられる。

気軽に宿泊することは難しいにせよ、インスピレーションに満ちた特別なヴィラであることに間違いはなさそうだ。

---fadeinPager---

 

翼の上から自分だけのヴィラにチェックイン。ここだけの趣向が満載だ。