糀文化の起源を探し求めて、アジアの辺境を旅してみれば

  • 文:瀧 晴巳(フリーライター)
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【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『アジア発酵紀行』

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小倉ヒラク 著 文藝春秋 ¥1,760

近年の発酵ブームの仕掛け人でもある著者が、甘酒や味噌、日本酒などいかにも日本らしい食材を醸す「糀」文化の起源を求めて旅をした。チベット高地と中国雲南省を結ぶ「茶のシルクロード」茶馬古道では、高山病の洗礼を受けることに。そもそも発酵は外界から隔絶された人々が生き抜くためのサバイバル術でもあるので、辺境から辺境を渡り歩く過酷な旅になる。どぶろくや納豆は日本以外にも存在していた。微生物の働きを追いかけ、前人未踏の地図が浮かび上がる。フィールドワークの醍醐味が詰まった1冊。

※この記事はPen 2024年3月号より再編集した記事です。