初公開の大作から、あの教会を体感できる空間も! 『マティス 自由なフォルム』が開催中

  • 文:Pen編集部

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現在、国立新美術館で、『マティス 自由なフォルム』が開催中。マティスが晩年、精力的に取り組んだ切り紙絵に焦点を当てた展覧会としては、日本では初の試みだ。

会場には、ニース市マティス美術館の所蔵作品を中心に、絵画、彫刻、版画、テキスタイルにまつわるものまで、マティスの集大成とも言える作品が並ぶ。切り紙絵からは代表作『ブルー・ヌード』も来日、なかでも日本初公開の4.1×8.7mの大作『花と果実』は必見だ。5枚のキャンバスが繋がって構成され、壁面の一面を覆う広大な画面は、鮮やかな色彩によって装飾的豊かさが加わっている。

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ニース市マティス美術館展示風景 2022年 ©Succession H. Matisse pour l’œuvre de Matisse Photo: François Fernandez

マティスはパリの国立美術学校でギュスターヴ・モローに師事した後、1898年、南フランスのトゥールーズやコルシカ島に滞在。光の表現を探求するスタイルに初めて取り組んだ。この地の光や気候をきっかけに、解放された色彩を備える一連の絵画が生まれることとなった。

その後、1917年のニース滞在をきっかけに、マティスはアトリエを点々とすることとなる。1938年にオテル・レジナへ引っ越してアトリエを構えたマティスだが、「アトリエ」は、彼の絵画の中心的な主題のひとつ。室内に飾られた、花瓶、テキスタイル、家具調度……本展覧会では、そんなアトリエを主題とするさまざまな作品も楽しむことができる。

さらに本展では、衣装デザイン、壁画、テキスタイルの領域における仕事も紹介。1920年、パリのオペラ座で公開された舞台「ナイチンゲールの歌」の舞台装置と衣装デザインを手掛け、1930年にはアメリカのバーンズ財団からの依頼で約13mの装飾壁画を制作。ダンスを主題としてダイナミックな作品に仕上げた。

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アンリ・マティス『マティス夫人の肖像』1905年 油彩/カンヴァス 46×38cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo: François Fernandez

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アンリ・マティス『赤い小箱のあるオダリスク』1927年 油彩/カンヴァス 50×65cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo: François Fernandez

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最晩年、マティスが建築の室内装飾や司祭服をデザインした「ヴァンスのロザリオ礼拝堂」にまつわる作品や資料も展示されている。礼拝堂内部の壁面装飾は、青、黄、緑の3色からなる生命の木をモチーフとしたステンドグラスと、十字架の道行、聖ドミニクス、聖母子が描かれた3つの陶板壁画で構成され、それぞれの図案には多数の習作が残されている。

ヴァンスのロザリオ礼拝堂は、ヴァンスのドミニコ修道会とマティス家の許可を得て内部を原寸大で再現。ステンドグラスを通じて差し込む鮮やかな光も表現され、1日の光の移り変わりを約3分で体験することができる。実際にニース郊外にあるヴァンスのロザリオ礼拝堂に立ち寄ったことがあるという、本展アンバサダーの安藤サクラも来場し、「現地で感じた心がほぐれるような感覚が再現展示でも感じることができて、東京でこの体験ができるのは素晴らしいと思った」と語った。

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ヴァンスのロザリオ礼拝堂(内観) ©Succession H. Matisse Photo: François Fernandez

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制作中のマティス 1952年頃 ©photo Archives Matisse / D. R. Photo: Lydia Delectorskaya

マティスは芸術家人生を通して、色彩とデッサンの関係を模索してきた。20世紀初頭のフォーヴィスム(野獣派)と呼ばれた時代からニースを拠点に制作し、流れるような線で人物を描写するデッサンや版画でも知られていった。晩年に大病を患ってからは、新たな表現技法として精力的に取り組んだ切り紙絵を通し、色彩とデッサンの関係を刷新した。筆とキャンバスに代えて、紙とハサミを主な道具とし、芸術家人生の集大成というべき境地にまで達した。

マティスの芸術の集大成とも言える数々の作品が並ぶ貴重な機会、存分に堪能してほしい。

『マティス 自由なフォルム』

開催期間:2024年2月14日(水)〜5月27日(月)毎週火曜休み、ただし4/30(火)は開館
開催時間:10時〜18時 毎週金曜・土曜は20時まで(入館は開館の30分前まで)
開催場所:国立新美術館 企画展示室2F
東京都港区六本木7-22-2

https://matisse2024.jp