アストロスケールが“世界初”の挑戦、大型デブリを調査する実証衛星「アドラスジェイ」が打ち上げへ

  • 文:柳澤奈々

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民間企業アストロスケールが開発した世界初の商業デブリ除去実証衛星「アドラスジェイ」。日本時間2月18日(日)、ニュージーランドにあるRocket Labの第1発射施設にて打ち上げ予定。

活発化する宇宙開発の一方で、近年問題視されている宇宙ゴミ=スペースデブリ。アストロスケールは、2月18日(日)に大型デブリを除去する世界初の実証衛星「アドラスジェイ(ADRAS-J)」の打ち上げを予定していると発表した。

日本国内を拠点とするアストロスケールは、宇宙機の安全航行の確保と持続可能な宇宙環境を目指し、軌道上サービス事業に取り組む民間企業。今回打ち上げられるアドラスジェイは、JAXAの商業デブリ除去実証フェーズⅠの契約相手方として選定されたアストロスケールが開発した人工衛星だ。

このミッションでは、全長11メートル、重量約3トンの大型デブリへの接近・近傍運用を実証し、長期放置されたデブリの運動や損傷、劣化状況の撮影を行う。デブリに安全に接近し、状況を明確に調査するのは世界初(同社調べ)の試みとなり、宇宙活動の安全を確保するうえで非常に大きな一歩となるだろう。

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アドラスジェイのサイズは約830×810×1200mm。重量は約150kg。ターゲットとなる大型デブリの位置は地上局からおおよその観測データをもとに判断するため、限られた情報で距離を縮めなければならない。

アストロスケール・アドラスジェイのプロジェクトマネージャー・新 栄次朗氏は「今後、何世代にもわたって持続可能な軌道環境を実現するための新たな一歩です。このミッションにチャレンジするチームを誇りに思います。いよいよ打ち上げを迎えますが、軌道上におけるRPO技術実証を成功させるべく、チーム一丸となり取り組む所存です」と意気込みを語る。現在、アドラスジェイはニュージーランドにあるRocket Labの施設にて、打ち上げの最終準備中。 

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日本を拠点として、英国や米国など世界各国に事業を展開するアストロスケール。加速する宇宙開発の上で、安全な宇宙環境の維持に取り組む。

アストロスケール

astroscale.com