メーガン妃が着けた人工ダイヤのピアスが瞬く間に人気に…「本物を着けるべき」と批判も

  • 文:三條るる
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sussexroyal-Instagramより。

夫のヘンリー王子と共に王室を離脱後、イギリスのメディアを中心に“お騒がせセレブ”的な扱いを受けているメーガン妃。日本のメディアもこぞってバッシング傾向にあるけれど、どんな意味でも注目される彼女のインフルエンサーぶりがまたもや話題になっている。

ジュエリー・ブランドを立ち上げた若い女性起業家を後押し

メーガン妃の影響力に恩恵を受けたことをBBC放送のリアリティ番組『Dragon’s Den』(『¥マネーの虎』のイギリス版!)にこの1月に出演して、明らかにしたのは、ベルギーのアントワープを拠点とするアクセサリー・ブランド「Kimaï」を2019年にローンチした若き実業家シドニー・ノイハウスとジェシカ・ワーチだ。ダイヤモンド商の娘として生まれ育った二人は、ダイヤモンド取引の不透明さに不満を抱いていて、真のトレーサビリティを実現できる人工ダイヤモンドを使ったモダン・ジュエリーを作ることを決意。

ただし起業したばかりの無名のアクセサリー・デザイナーがすぐにメディアに取り上げられるわけもなく、ローンチ直後は宣伝・販売に四苦八苦。ブランドをローンチして2ヶ月過ぎる頃には、事業を株式化するための31万6000ドル(約4718万5307円)の投資が必要となっていた。そんな時、二人はブランドの信念に共感してくれそうなセレブにコールド・メールを送ることを決意する。顧客となる可能性のある人にメールを送り、事業に興味を持ってもらおうとするのはよくある営業方法で、新規ブランドをローンチした起業家なら誰でもやること。しかも幸運なことに、コールド・メールを送った二人は当時、メーガン妃がパトロンを務めるNGO団体「SMART WORKS」のチャリティにアクセサリーを出品する機会を得たのだ。イベントを訪れたメーガン妃は「 Kimaï」の18Kイエローゴールド製フェリシティ・クローラー・イヤリングを気に入り、その場で購入したという。

メーガン妃が二人がデザインしたアクセサリーを身につけたことでブランドの注目度が急上昇。さほど苦労することもなく、120万ドル(約1億8088万6300円)の投資を集めることに成功したという。番組中でワーチは「王族が人工ダイヤモンドを身につけたのを初めて見た」とコメントすると同時に、悪意ある「Daily Mail」紙の「メーガンが2019年に1990ポンド(約36万7837円)相当のダイヤモンド・イヤリングを受け取った」という記事がフェイクと明らかに。メーガン妃自身が購入したのだし、そもそも本物のダイヤモンドではないのだから。

すでに注目のブランドとなった「Kimaï」だが、『Dragon’s Den』のドラゴン(投資家)のひとりであるスティーブン・バートレットは、ノイハウスとワーチがメーガン妃にアプローチした正攻法を高く評価。結果的に彼自身も「Kimaï」に31万6000ドル(約4718万5300円)を投資すると公表したのだった。これもまた、メーガン・エフェクトのひとつだ。

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サステイナビリティの選択は伝統の軽視なのか?

サステイナブルで環境に優しい、いわゆるエシカルな「kimei」アクセサリーの着用は先進的な考えを持ったメーガン妃らしい選択だ。しかし、この選択を批判する人間もいる。例えば公務で着用した2019年には宝石商たちがこぞって批判。ロンドンを本拠地とするジュエリー・デザイナー、トゥイラ・ピッチーニは、「人工ダイヤモンドは天然ダイヤモンドの持つ希少性やユニークな個性がない。メーガン・マークルの人工ダイヤモンド選択は、天然ダイヤモンドの重要性と、それらを美しく加工する職人たちの技術を貶める可能性がある」と憤った。15世紀創業の、チョコレート・ダイヤモンドで有名な「ル・ヴィアン」CEOエディ・ル・ヴィアンは「メーガンは、人工ダイヤモンドと天然ダイヤモンドが同じと人々に勘違いさせる」とカンカン!

しかし、人工ダイヤモンドを贔屓にするのはメーガン妃が初めてというわけでもない。エマ・ワトソンは2018年のバニティ・フェア・オスカー・パーティで人工ダイヤモンドを使ったネックレスを着用。30歳を迎えたリアーナが誕生日パーティーで身につけた16カラットの人工ダイヤモンドを使ったアクセサリーも話題となった。また環境保護に熱心なレオナルド・ディカプリオは2015年から人工ダイヤモンドの会社ダイヤモンド・ファウンドリーへの投資を続けている。

レッドカーペットではもちろん、老舗ジュエラーが提供する本物を身につけるセレブが多いが、プライベートではエシカルなジュエリーを愛用するセレブも増えているのだ。ダイヤモンドのエキスパートとして、多くのセレブへジュエリーの貸し出しを行っているピッチーニとル・ヴィアならば、セレブの間で人工ダイヤモンドを使ったエシカルなアクセサリーの需要が増えているのは承知のはず。

それにもかかわらず二人がメーガン妃だけを非難するのは、王族の一員なのだから伝統に裏打ちされた本物を身につけるべし、という固定観念があるのかもしれない。しかし、実際は彼女の影響力の大きさを危惧しての批判だろう。人工ダイヤモンドを身につけるセレブが増えることが、希少性の高いダイヤモンドを取引するダイヤモンド市場に影響を与える(=ダイヤモンドの価値が下がる)と危惧する宝石商は少なくないという。人口ダイヤモンドと天然ダイヤモンドはそもそもが別物。つまり人工ダイヤモンドの人気が上がっても、希少な天然ダイヤモンドの価値が下がることは絶対ないのだから、この懸念自体がバカらしいのだが、宝石商にそういう不安を抱かせるのもメーガン妃のパワーなのだろう。

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2023のインビクタスゲームでメーガン妃が身につけた Kimaïのフープ・イヤリング(ピアス)。 Kimaïの公式Instagramより。

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サステイナブルで環境に優しい、いわゆるエシカルな Kimaïのアクセサリーの着用は先進的な考えを持ったメーガン妃らしい選択だ。 Kimaïの公式Instagramより。