波のない日も海原を爽快に駆ける!サーフィン体験を劇的に変える電動サーフボードが発表

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    flite.lab-Instagram

    春先になれば、いよいよサーフィンシーズンの開幕だ。オーストラリアのフライトボード社が、波のない海でも爽快に乗れる電動サーフボードを発表した。

    AMPボードの名で呼ばれるこの新製品は、ボード内部に電動モーターを搭載。ノーズ(ボード先端)に取り付けられた操作部のランチパッドからモーターを制御する。波に乗る前に必要なパドリング(水かき)動作を強力にサポートし、ほぼ波のない海での走行を実現する。

    AMPボードが対応するのは、通常のサーフィンとは異なる「プローンフォイル」のスタイルだ。海面から数十センチほど浮いた状態で走行することから、魔法のじゅうたんにも例えられる爽快な浮遊感をもたらす。

    加速から生まれた心地よいロングライド

    フライトボード社が公開している動画では、実際にサーファーたちが静かな海面を快走している。ボードに腹ばいになったユーザーたちは、わずかなうねりの上を数回手でパドリングし、軽やかにテイクオフ。ボードの上に立つと同時に、ほぼ瞬時に空中へと持ち上がる。

    海面上数十センチ、通常よりも高い視界を楽しみながら、サーファーたちは右へ左へとターンを決める。思い思いのラインを取りながら、海面上に白い軌跡を描いてゆく。

    大波を捉えるのも醍醐味のひとつだが、電動サーフボードは従来では乗れなかったような繊細なうねりを捉え、どこまでも長く続くライドを実現してくれる。人気のマリンスポーツに、新たな楽しみ方が加わりそうだ。

    水中翼船の原理で海面から持ち上がる

    プローンフォイルのサーフボード自体は、これまでにも存在した。抵抗を減らし高速で駆ける、水中翼船の原理を応用したものだ。

    一般的なサーフィンでは、サーフボードに腹ばいになり、手で海を掻くパドリングの動作で加速する。十分に高い波の到来に合わせ、ボードに立ってテイクオフとなる。

    一方、AMPボードなどのプローンフォイルでは、ボードにモーターを搭載。電動で加速し、通常であれば適さない凪の海原やわずかな波でも爽快に乗りこなすことが可能となる。

    こうしたボードは一般的なサーフィンで使われるショートボードに似た形状だが、マストと呼ばれる支持軸が直下に伸びている。その先の水面下では、飛行機の翼のようなウイングが水平に広がる。

    加速するに従ってウイングに対して水中で揚力が働き、ボード本体が海面から持ち上がるしくみだ。ボード全体が水面に接する一般的なサーフィンと比べると、水との接触が少ない。

    海面に突き出したジェットフォイル船が揺れにくいのと同じように、プローンフォイルも波の影響を受けにくい。このため、スムーズな独特の走行感を楽しむことができるとして人気を集めている。

    動力部をボードと一体化で、抵抗が消えた

    プローンフォイルの世界では、水中のマスト(支持軸)にモーターとスクリューを付けたものが主流だ。だが、水中部分に部品を増やしたことで、ボード本体の浮遊により本来軽減できていたはずの水の抵抗がかえって増えてしまう問題があった。

    そこでAMPボードは、動力部を小型化したうえでボード本体に内蔵した。取り込んだ水をボード後部から高速で排出し、加速を得る。フライトボード社は、AMPボードが「マスト部にモーターがなく、つまり水の抵抗を生じることがない」と利点をアピール。「割れていない波(比較的低く、長いライドを楽しめる波)や穏やかなうねりを捉えることを、ハンズフリーでサポート」すると述べている。

    米エレクトレックは、「つまり、目に見えないだけでなく、抵抗を減らしながら軽量化されているのだ」と評価している。

    小型バッテリーでも長いライド

    米テックメディアのテックタイムズは、状況に応じてAMPシステムが自動的に推力を調整することから、従来のプローンフォイル用の電動サーフボードよりもバッテリーが長く持続する可能性があると分析している。

    AMPボードの構造上、テイクオフ後にボードが空中に突き出た状態では、電動の加速を得ることができない。すなわち、テイクオフまでのサポートが本機の主な効果となる。

    もちろんテイクオフ後は、通常のサーフィンと同様、ボードを強く踏み込むことで波の力を利用して加速を得ることが可能だ。また、走行中もボードによる加速を得たい場合には、マスト部に電動スクリューを取り付けることも可能となっている。

    ボードのノーズ部に据えられたランチパッドを通じ、ユーザーはパワーの強さやブーストのタイミングをカスタマイズすることができる。ランチパッドはまた、ライダーの姿勢を常時モニタリングしており、転倒時に自動的に動力をカットするインテリジェント機能を搭載する。

    AMPボードは、フライトボード社の新たなサブブランド「FLITElab*(*まで含めブランド名)」の第1号製品としてデビューする予定だ。具体的な発売日や価格は未発表となっており、続報を待ちたい。

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    わずかなうねりを捉え、浮遊感たっぷりに走行するAMPボード。

     

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    自在に軽やかに、空中を駆ける。