ヘラルボニー初の国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024」を開催!

  • 写真・文:中島良平

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左より、ヘラルボニー代表取締役Co-CEOの松田文登、松田崇弥、審査員を務める黒澤浩美(金沢21世美術館チーフ・キュレーター/ヘラルボニー アドバイザー)、盛岡笑奈(LVMH メティエダール ジャパン ディレクター)、日比野克彦(アーティスト/東京藝術大学長) 。

「異彩を、放て。」をミッションに、アートを起点に新たな価値や文化の創造を目指す福祉実験カンパニー、ヘラルボニー。主に知的障害のあるアーティストの作品データのライセンスを管理し、商品やパブリックアートをはじめとするさまざまな形でビジネスを展開する彼らが、数多くの才能ある作家のキャリアを後押しするアール・ブリュットに特化した芸術賞「HERALBONY Art Prize」を創設した。公募制のコンペティションとすることで作家に創造力を披露する場を提供し、キュレーターやコレクター、批評家、ギャラリストをはじめ、集まった作品がより多くの観客の目に触れる機会が生まれる。

審査員を務めるのは、金沢21世紀美術館チーフ・キュレーター/ヘラルボニー アドバイザーの黒澤浩美、東京藝術大学長でアーティストの日比野克彦、LVMHメティエ ダール ジャパン ディレクターの盛岡笑奈、2005年にフランス・パリで設立されたアール・ブリュットに特化したギャラリー クリスチャン・バーストの創設者であるクリスチャン・バーストの4名。「異彩の日」である1月31日から3月15日まで募集が行われ、画像による一次審査、実作品による二次審査を経て、8月上旬に展覧会と授賞式が開催される。

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「HERALBONY」のHと「ART」のAを組み合わせたシンボルマークは、ヘラルボニー・アート・プライズの主役となる作家を照らすスポットライトをイメージしてデザインされた。
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異なる背景や習慣を持った人々が関わり合い、様々な「個」の出会いを生み出すアートプロジェクト「TURN」に監修として携わる日比野克彦。「今回のコンペティションが、アール・ブリュットが広く認識されていく『気づき』のきっかけになればと考えています。時間をかけ、やがて当たり前のアートのひとつになっていくはずです」

「ヘラルボニーが旗印となることで、公募に参加するイメージが湧かなかった障害のある人(や親族など)が作品を応募するきっかけになる」という動機が、ヘラルボニーが国際アートアワードを立ち上げた背景にある。ヘラルボニー代表取締役Co-CEOの松田崇弥はこう話す。

「これまでに日本の作家に目を向け、契約してキャリアを後押ししてきましたが、世界の作家と出会いたいという思いが強くなっています。本当の意味で社会が障害に対してどのような印象をもっているか、そして、社会がどう変わっていけるのかにアクセスできる会社でありたいという思いから、国際アートアワードを立ち上げることになりました。まだ第1回なので、手弁当で海外の施設にアクセスして募集している段階ですが、これから継続し、2030年には本当の意味で『国際アートアワード』と呼べるように世界の作家や施設の関係者と連携していきたいと思います」

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(左)LVMH メティエダール ジャパン ディレクターの盛岡笑奈は、「たくさんの異彩が開花する機会になれば、社会が変わり、明るい未来が見えてくるはずです」と話す。(右)「障害があるかないかという境目は、明確に存在するわけではないと思っています。どのような表現者がどのような思いで作品を作っているのかと誰もが愛のある眼差しで見つめ、アートに触れられるプラットフォームを開いていきたいと思っています」と話すのは、金沢21世美術館チーフ・キュレーターの黒澤浩美。
 
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審査員のひとりでギャラリストのクリスチャン・バーストは、「アール・ブリュットはより広い観客に届くべきであり、ヘラルボニーのイニシアチブが、その目標達成に大いに貢献するはず」とビデオメッセージを寄せた。実作品を前にした二次審査の際には来日を予定している。

HERALBONY Art Prize 2024

2024年3月15日23:59を応募期限とし、特設サイトからエントリーが可能。
https://artprize.heralbony.jp