フォルクスワーゲン「ID.7」に装備されたChatGPTを体験、その実力は?【CES2024レポート】

  • 文:麻倉怜士

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ChatGPTを装備したフォルクスワーゲン「ID.7」の内装。

年明けにラスベガスで開催された世界最大のテクノロジー展示会CES2024。毎年現地を訪れている、本誌連載「家電コンシェルジュ」の執筆者・麻倉怜士が、注目の展示や製品をレビューする。

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近くに食料品店はないかとChatGPTに訊ねた答え。4つのオプションが提示された。

CES2024は、ドイツの自動車メーカーのフォルクスワーゲンがChatGPTを採用したことで話題だ。自動車業界では生成AIを採用するという話は多いが、実際に搭載するのはフォルクスワーゲンが初。AIが溢れていたCESだが、基本的にディープラーニングで、学習した成果を行動に移すパターンのAIの採用が多く、生成AIの採用では、フォルクスワーゲンが断然、光った。これまで搭載していた、音声技術会社Cerence(セレンス、マサチューセッツ州に本社)のデジタル音声アシスタント、「IDA(アイーダ)」にchatGPTを加えたものだ。

IDAはもともと温度設定や室内の照明やエアコン制御、ナビゲーションへの音声指示が可能で、クラウドと連携している。追加のchatGPTは、従来からのIDAでは対応できないタスクを行う。ではどんな質問なら大丈夫なのだろう。ウエストホールのセレンスブースにて、フォルクスワーゲンの電動車「ID.7」でChatGPTを体験した。

せっかく、フォルクスワーゲンに乗っているので、「Hello IDA(アイーダ)、最高のクルマメーカーは、どこですか?」と訊いてみた。まずは実装されているクラウドサービスからは、「それはフォルクスワーゲンですよ!」との明快な答が。同じ質問をChatGPTにしてみたら、「最高の車というものは、大いに個人の好みに依存するのです」という大人の答が返ってきた。さすがはChatGPTである。

こんなシナリオも披露してくれた。仕事の後に夕方に家に帰る途中で、夕食に何をしようか考え始めた。疲れているし、何を作ればよいかわからない。そこで、ChatGPTに訊いてみる。「Hello IDA、トマトとズッキーニを使ったレシピを教えてくれますか?」。すると、「試してみることができる簡単なレシピはトマトとズッキーニのサラダです」とChatGPTが答えた。良い提案だが、実際には家に必要なものがすべて揃っていないことに気付いた。そこで再度、ChatGPTに訊ねた。「ガーリックが切れたので、近くの食料品店を教えて」。すると、4つのオプションが出て、近くの食料品店と、そこへのナビゲーションが表示された。このシステムでは、こうした答の場合、カーナビと連携するように設計されている。

ChatGPTの使用は複雑な知識の質問など、文字通り心に浮かぶものは何でもOKという。子供たちとドライブしている場面。子供たちは後部座席で飽きている。そこで、ChatGPTを使い、彼らの興味を惹く物語をつくってもらう。「Hello IDA。子供たちのためにユニコーンの話をつくってくれますか?」。するとChatGPTは「昔々、魔法の国には色とりどりのユニコーンのグループがいました。彼らは幸せに暮らしていました……」という物語をその場で生成してくれた。

クルマとChatGPTという意外な取り合わせも、たいへん面白かった。

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