古くは文士が集い、のちに音楽や演劇の街として若者が夢を紡いできた下北沢。変貌を遂げる街へ出かけよう。
Pen最新号は『東京がおもしろい!』。都市は新陳代謝を繰り返し、常に変化し続ける。世界屈指のメガシティ、東京はなおさらだ。アフターコロナのいま、気がつけばあちこちで新しい動きが起きていた。世界中の人々を惹きつける新旧混じり合うこの都市で、いまどこへ行くべきか? 2020年以降オープンのショップからクリエイターたちのお気に入りまで、東京の“ いま”がここにある。
『東京がおもしろい!』
Pen 2024年3月号 ¥880(税込)
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下北カルチャーに新風を起こす、南西エリア
くつろぎと文化の複合施設
「TEFU LOUNGE SHIMOKITAZAWA」
オフィス <暮らしと仕事と遊びが交差する街のラウンジ>
南西口を出てすぐの場所にあるテフラウンジ。3〜4階のシェアオフィスは仕事や勉強、読書、語らいの場など多彩な使い方が可能だ。各フロアはリラックスのためのラウンジエリアと作業に集中できるブースエリアに分かれており、こだわりの家具や音楽とともに心地よく過ごせる。個人事業主向け、企業向けと、働き方のスタイルに合わせたプランを用意。この地域で、暮らし働き遊ぶ人々がともに空間を分かち合う「街のラウンジ」を目指す。
ベルヴィル <フランス発のスペシャルティコーヒー>
焙煎の世界コンテストで優勝したフランスのスペシャルティコーヒーが日本初上陸。下北沢店ではサイフォニストの世界チャンピオンが、併設の焙煎所でコーヒーに関するワークショップを開催している。浅煎りのコーヒーには「南仏のミストラル(季節風)に髪をなびかせながら」、中煎りの豆には「赤ワインのように熟した果実の香り」と書かれた洒落たカードが添えられている。世界最高峰のコーヒーを、気分に合わせて選べる贅沢な場所だ。
シネマ <文化発信基地としてのミニシアター>
テフラウンジ2階のカフェの奥では、ミニシアターK2による選りすぐりの映画が上映されている。さまざまな文化や人が集まるこの場所で、下北沢がロケ地になっている作品、音楽や演劇、エンタメ的な要素をもつ作品を中心に上映。代表の大高健志は「自分たちの映画館だと思ってもらえるような作品を選んでいます。作家と観客が出会う場になればうれしい」と話す。街がつくり上げていく現在進行形の映画館は、文化の発信基地でもある。
個性的な店が集結
「BONUS TRACK」
B&B <偶然の出合いを楽しむ本屋>
「本との偶然の出合いを生み出す街の本屋」がコンセプト。下北沢らしい遊び心にあふれたセレクトを眺めていると、ジャンルを横断しながら本の海に溺れてしまう。カウンターではコーヒーやビールを提供しており、ゆったりした空気が流れている。夜はほぼ毎日トークイベントを開催。過去にはジェーン・スーや小泉今日子、吉本ばなななど多彩な顔ぶれが登場した。不定期で開催されるセミナーではひとつの作品を3カ月かけて読む、といった試みにも挑戦。
フヅクエ <読書好きのための隠れ家的空間>
無類の本好きとして知られる店主の阿久津隆が、読書のためだけにつくった空間。初台店に次いで2店舗目となる下北沢店はわずか7席、落ち着いて本と向き合えるシェルターのような居心地のよさだ。コーヒーや定食、お酒もあるので朝から晩まで過ごすことも可能。疲れたらクッションスペースでちょっと寝転んで、PCも勉強も禁止ゆえひたすら読書に没頭できる。B&Bで本を購入し、ここで読む人も多いそうだ。
タンペントン <VHSで鑑賞するショートフィルムが新鮮!>
映画レーベルがショートフィルムの発信拠点としてオープンしたVHS喫茶。普段なかなか目にする機会のないインディペンデントな映像作家たちの作品を、ブラウン管テレビで楽しんでもらおうという趣向だ。自宅のリビングのような空間でポップコーン片手にVHSテープをデッキに入れる行為は若者にとっては新鮮に、40代以上は懐かしく楽しめるだろう。旬な作家の才能を発掘してみては?
発酵デパートメント <発酵食品を通じた文化交流の場>
発酵デザイナーの小倉ヒラクが日本全国、世界各国を訪ねて集めた発酵食品約400点を販売。ずらり並んだ醤油や味噌、酢など各種調味料は、何世代にもわたって培われてきた食文化の多様性を物語る。隣の飲食スペースでは、店で扱っている製品を使った発酵食や、全国から選りすぐった酒やワインが楽しめる。国内外から食の求道者が訪れ、話題のイベントも開催される、発酵文化の発信基地だ。
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拡大を続ける東口でチルアウト
高感度なセンスが光る
「RELOAD」
小川珈琲ラボラトリー下北沢 <体験型のビーンズサロンでスキルアップ>
京都の老舗コーヒーロースターが展開する体験型ビーンズサロン。豆は21種類以上、器具は約40種類の中から好みのものを選び、カウンターでバリスタの指導のもと抽出、その場で味わうことができる。取り扱う13種類のシングルオリジン、9種類のブレンドはすべて試飲可能。初めて使う道具でもプロのアドバイスで的確に淹れることができ、自宅でのコーヒーライフがアップすること間違いなしだ。店内では器具やカップも販売。
シーシャカフェ“チョット” <人生を半歩踏み出したい人の出会いの場所に>
自分の好きなことを表現したい人たちがちょっと立ち寄ってコミュニケーションできる場を提供するカフェ。スタッフは役者やダンサーらが日替わりで担当。企画を提案し採用されれば音楽やお笑いライブ、ポップアップイベントが開催されるほか、ギャラリーとしても利用できる。「やってみたいけど場所がない人を応援したい。シーシャを楽しみながらスタッフに気軽に相談してください」とオーナーの小澤さん。
APFR東京 <日本人の感覚にフィットする、繊細で豊かな香り>
ブランドディレクターの菅澤圭太が世界中の伝統的な香料や生薬文化、自然哲学、食、音楽、芸術に影響を受けながら、ほぼ独学で生み出した日本のフレグランスブランド。すべて自社工場でつくられた製品は、お香やディフューザー、キャンドル、スプレー、オイルなどバリエーションも豊富。五感を研ぎ澄ましてくれる繊細な香りを暮らしに取り入れることで、なにげない毎日に豊かな彩りが生まれるだろう。
コトパクシ東京 <ポップでエコフレンドリーなアウトドアブランド>
アメリカのアップサイクルビジネスの成功例として注目を集めるアウトドアギアブランド、コトパクシが関東初上陸。カラフルなバックパックやウエアはすべてリサイクル素材を使用。端材からつくったバックパックはひとつとして同じ配色のないシリーズも。「DO GOOD〜楽しく社会貢献」をモットーに、デザインから生産、販売までエコフレンドリーな方法を実践している。軽量で機能的、心躍るデザインを備えたバッグに荷物を詰めて、冒険の旅に出たくなる。
セカイクラス <世界中の暮らしのアイデアが満載>
神奈川県大和市を拠点とするセカイクラスは、世界中を回ってセレクトした新概念のホームセンターだ。ヨーロッパを中心としたヴィンテージ家具や雑貨、話題の国内作家による食器、オリジナルのアウトドアギアなど既成概念にとらわれず、自由な発想で暮らしのアイデアを提案する。特に充実しているのは収納ケースで、飛行機で使用するアルミ製の輸送用コンテナや映画のフィルムケース、木製のツールボックスなど、屋内外で使える汎用性の高さが人気。ハイエンドになりすぎず、独自の視点で選んだアイテムに注目したい。
マスタードホテル下北沢 <シモキタの住人になれるホテル>
リロードのいちばん奥、東北沢駅に近い閑静な場所に立地。宿泊客はフロントでアナログレコードを借りて自室のプレーヤーで楽しんだり、レンタサイクルで街を散策したり、下北沢の住人気分で過ごせる。遊歩道に面した入口の大階段とテラスには、ローカルと外国人観光客がともにくつろぐ光景も。館内では東京を訪れたクリエイターやアーティストとのコラボ作品を展示したり、リロードの店舗と共同でイベントを開催するなど、ここを起点に人と街、文化が有機的につながりつつある。
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