片目で4Kという高精細で圧倒的なリアルさを実現! ソニーのXRヘッドマウントディスプレイ【CES2024レポート】

  • 文:麻倉怜士

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目前に3Dで物体を投影し、あらゆる角度から細部まで観察することができる。(画像提供:ソニー)

年明けにラスベガスで開催された世界最大のテクノロジー展示会CES2024。毎年現地を訪れている、本誌連載「家電コンシェルジュ」の執筆者・麻倉怜士が、注目の展示や製品をレビューする。

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実際に指で動かして角度を変えることもできる。シーメンスのSiemens Xceleratorのインダストリーソフトウェアとソニーの新たな空間コンテンツ制作システムを統合した新ソリューション。 (画像提供:ソニー)

ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は絶対的に高画質でなければならない。解像力、コントラスト、色再現で現実的なリアリティを持たなければ存在価値は、ない。なぜならば、両眼視により、立体的な映場(音場に対応した言葉で、空間性を指す)はとても現実的なのだが、画質が現実とまるで違うので、脳が混乱するのである。その意味で、ソニーが開発中の、4Kヘッドマウントディスプレイは素晴らしい。脳がとても快適に立体映像を受け容れ、インタラクション性もとても良好だ。

私は、そのプロトタイプを以前に体験している。2021年にソニーが開催した技術展示会「Sony Technology Day 2021」で、見たのだが、素晴らしい映像だった。解像感が高く、とてもすっきりとしていた。その当時は、低解像度のHMDばかりだったから、よけいに良さが目立った。今回は、2年以上経過し、商品化に進んだ。ドイツのシーメンスのソフトウエア子会社の空間コンテンツ制作用ソフト「NX Immersive Designer」と協業で展開する。デザイン、CAD、VR制作などの用途に徹底した操作性も、仕事に使うために磨かれている。

ソニーセミコンダクタソリューションズが開発した4KのマイクロOLEDを片目1基ずつ搭載し、片側4K、両方で8Kという不思議な計算をするのがこの業界の習わしだが、数字はともかく、画質は試作機以上に素晴らしい。今回のチェックでは、「XR」でなく、現実が見えないVRで見たが、とても精細で、クリヤーだった。操作性(インタラクション)もとても、リジッドだ。用途がBtoBなので、細かな操作感が仕込まれている。左手用のリング型デバイスと右手用ポインティングデバイス(右手効きの場合)を使い、、仮想空間でのオブジェクトをつかみ、動かし、写真を撮ることも可能。

今回は、VRヘッドセットとしての視聴だったが、次回はカメラを使ったシースルービューを体験したい。

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4Kヘッドマウントディスプレイを体験する筆者。目前に浮かぶ物体を手で動かしている。

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モニターでの両眼画像。バーチャル空間でカメラマークを推すと、写真が撮れる。