太田和彦さんの名著を手に、日本の居酒屋遺産を巡る

  • 写真・文:鈴木修司

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ビームスジャパンの鈴木修司です。2024年最初の話は日本各地の“居酒屋”についてです。いつもは旅先のアレコレを紹介させて頂くのですが、私が日本各地を旅する時の大切な楽しみが“居酒屋巡り”なので、そのことをお話しさせてください。 

各地を訪れた際は、その土地を知る近道として地元に根差した居酒屋に行くべきと考えています。もちろん地の酒や地の食物を頂けるのですが、郷土料理の内容や味付け、お店の方々や地元のお客さんの話、場合によってはお店の造りから、その地の文化や風土など様々なことを知ることができるからです。

ただ居酒屋で食事をするのが好きなだけかもですが、そんな以前から漠然と考えていことを決定的に裏付けることができたのが、書籍『日本居酒屋遺産』でした。私が敬愛する“居酒屋探訪家”の太田和彦さんが昨年に執筆されたものですが、素晴らしい内容の書籍で、居酒屋ファンのみならず一人でも多くの方に読んで頂きたい名著です。

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ここで書籍の内容を紹介し切るのは野暮ですが(私程度が説明できる訳もないので)、日本各地に続く名居酒屋を“日本の大切な遺産”として選び、その店の歴史や建物や調度品、そしてお店の方々のことまで、様々な視点で細部に至り紹介されています。

私が太田和彦さんのことを知ったのは、故郷である三重県は伊勢の名店“一月家”のことを紹介されていた記事を読んだことでした。呑兵衛の親に連れられて若い頃から行っていたお店ですが、そこの看板メニューである“湯豆腐”を“日本三大居酒屋湯豆腐”として認定され、なんとも面白い方がいるものだなあと若いながらに興味をもった記憶です。まさか、その太田さんとご一緒出来る日が来るとは思いもよらなかったのですが、とあるご縁で東京の名店に連れてくださる夢の日が来たのです。

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1. 秋葉原の名店、赤津加

『日本居酒屋遺産』にも取り上げられている名店二軒ですが、まずは秋葉原の“赤津加”さんに伺いました。そもそも太田さんとの初めての席で緊張しますが、太田さんの大らかな人柄とお酒の力も借りて、すぐにリラックスです。そもそも居心地の良いお店を選ばれているので当然ですが、それは素晴らしい時間を過ごせました。秋葉原のど真ん中にあるので、周りの喧騒と古風な佇まいとのギャップにも萌えます。

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2. 根岸の名店、鍵屋

次に伺ったのは、日本最古の居酒屋と言われる根岸の“鍵屋”さん。こちらも噂に違わぬ名店で、素晴らしい空間の中で頂いた名物“にこごり”や“うなぎくりからやき”、そして熱燗が想い出に残る美味さでした。その後も書籍を参考にいくつかの名店へお邪魔しているのですが。どこもそれぞれの良さがあり、都度に「日本に居酒屋あり!」と心の中で叫んでおります。

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3. 八重洲の一軒、ふくべ

東京のお店でもう一軒ですが、八重洲の“ふくべ”さんも素敵なお店でした。芳しい杉樽を目の前にしたカウンター席で頂く熱燗が最高で、これぞ酒の肴と言うべき“たらこ”や“くさや”のお陰で酒が進む進む。

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最後に宣伝になってしまうのですが、1/10(水)より新宿“ビームスジャパン”にて書籍『日本居酒屋遺産』の出版を記念したイベントを企画しています。後継者や建物の心配、とくに日本人の日本酒離れ、若い方の食生活の変化など、居酒屋を取り巻く状況は甘いものではないので、少しでも応援したいなと考えたのが事の発端です。

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 太田和彦さん直筆のイラストをデザインした限定の手ぬぐいを販売したり、太田さんの秘蔵の酒器コレクションを展示したり、居酒屋ファンには堪らないノベルティーのマッチをプレゼントしたり、これから継続的に企画を考えています。年末年始のお酒が冷めやらぬなか、またまたほろ酔い気分でお越し頂ければと考えています。

BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター鈴木修司が日本の魅力を紹介! 

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鈴木修司

BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター

1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。

鈴木修司

BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター

1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。