サロモンのシューズ大特集!定番、人気の理由、店、愛用私物まで【着る/知る Vol.169】

  • 写真・文:一史

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ファッション界隈の人の足元が、いつの間にかサロモンに変わっている光景をよく見かけるようになった。ハイテクスニーカーを日頃履かない人までも愛用している。「形が美しい。驚くほど歩きやすい。いちど履いたら夢中になる」というのが共通認識のようだ。メゾン マルジェラ(MM6)やコム デ ギャルソンといったエッジーなモードブランドがコラボする感性のお墨付きも、ハイセンスな印象を高めている。そこで今回の「着る/知る」は、いまだ謎多きサロモンのエッセンスを大解剖。定番モデル、カテゴリー、直営店、ファッションシーンでブレイクした理由、愛用者の着こなしスタイルまで盛りだくさんの独自取材でお届けする。

基本をおさえたい定番&最新4選

XT-6 GTX

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防水ゴアテックス搭載で悪天候もOKなデイリーシューズ。2013年に誕生したランナー向けモデルを、色や素材を変えてアップデート。靴紐をタンに収納できる機能、紐と連動させたアッパーのホールドなどサロモンの基本が詰まっている。2足ともに¥31,900(税込)。

スキー用品をルーツに持つフランスのサロモンのシューズは、本格トレイルランシューズ用やハイキング用。タウンユースでよく履かれるのは、ファッション感度の高い「スポーツスタイル」カテゴリーである。ここに掲載する4型はすべて同カテゴリーのものだ。
公式オンラインストアでのくくりには「スポーツ」と「スポーツスタイル」の2種類ある(詳細は後述)。この“スポーツ”のカタカナ言葉の解釈が少々難しい。サロモンのいう「スポーツ」は現代的なアウトドアアクティビティのためのモデル。一方で「スポーツスタイル」は、歴史的なアーカイブの復刻モデルが中心だ。タウンユース用にはこちらから選ぶ人が多いだろうが、「スポーツスタイル」も「スポーツ」に限りなく近い高性能。復刻モデルの大半は2000年代以降のハイキングシューズやトレイルランシューズだ。ライトユーザーが運動目的で「スポーツスタイル」を選んでも十分に役立つだろう。最新と復刻に大きな見た目の違いがないから、ファッションとして履きたい人もカテゴリーを気にせず好みで選ぶのが吉だ。

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XA PRO 3D

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全方向グリップのラグパターンのアウトソールを有する大人気シューズ(ゴアテックス非搭載バージョン)。アッパーが通気性のいいメッシュで夏でも快適に過ごせる。前へと足を進める踏み出し力の高さも特筆モノ。¥19,800(税込)。

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ACS PRO

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2004年誕生のトレイルラン用「GCS」を進化させたモデル。2021年に復刻されたのち人気の高さにより22年に本格展開がはじまった。レトロ発想のモードシューズや往年のランニングシューズに近いデザインで、色も控えめだからベーシックな服と合わせやすい。¥33,000(税込)。

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XT-SLATE

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「スポーツスタイル」の独自企画で生まれた、復刻ではないレアな新作。3Dエンボスのワッフル生地が実に現代的だ。超軽量でアッパーが柔らかく、足の感触が優しいのが大きな特徴。モダンなモードウエアと相性がいいサロモン流ミニマルデザイン。¥37,400(税込)

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サロモン ジャパンが解説する、ブレイクのきっかけ、カテゴリーの役割

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右が「スポーツ(パフォーマンス)」カテゴリーの「SPEEDCROSS」。左は「スポーツスタイル」カテゴリーの同名モデル。右は最新の第6世代で、左は旧型となる第3世代。「パフォーマンス」と「スポーツスタイル」の分類は、最新技術搭載モデルか復刻モデルかの違いだ。

今回話しを伺ったのはサロモン ジャパンでマーケティングを担当する石田道寛。まずはファッションシーンで大ブレイクした理由について尋ねた。
「サロモンのシューズが世界的に人気になったきっかけは、パリのセレクトショップ『ザ・ブロークン・アーム』です。来たお客さんが偶然にサロモンを履いていて、そこに着目した店からサロモンにお声がけいただき2015年に別注モデルをつくったのがはじまり。その後コム デ ギャルソンの川久保玲さんやラルフ・ローレンさんらが履いてくださり知名度が上がっていきました」
別注品から注目されたとはユニークなエピソードである。石田さんによるとフランスのサロモンの基本姿勢は変わらずにアクティブなシーンにあるらしい。
「本社はスイスの山々にほど近い地域にあります。スキーができる冬山がベースであり、都会ではないのです」
会社がファッションの中心地パリから離れていても、自国の関係者同士でコミュニケートしやすかったことがモードとの結びつきを深めた理由のひとつかもしれない。

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右が「XA PRO 3D」の最新モデルで、左は旧型(ともに現行品)。見た目はわずかな違いだが、アスリートは最新版を選ぶ人が多いようだ。

もうひとつ、やや複雑なカテゴリーわけについても解説してもらった。
「カテゴリーは『パフォーマンス』と『スポーツスタイル』に大別されます。パフォーマンス(日本の公式オンラインストアでの記載は『スポーツ』)はアウトドアアクティビティを楽しんでいただくためにつくられたシューズのカテゴリー。もう一方のスポーツスタイルは、『インターセクション』『アドヴァンスド』『スニーカーズ』の3つにわかれます。インターセクションはファッションブランドなどとのコラボモデル。『アドヴァンスド』は国内での卸先もかなり限定されるコンセプチュアルなモデル。『スニーカーズ』はそれ以外のモデルです」
サロモンの直営店で購入できるのは、「パフォーマンス」カテゴリーと、「スポーツスタイル」カテゴリーの「スニーカーズ」である。

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ファッションのプロが愛用するサロモン、着こなしの技

絶妙な色合わせによる大人の冬の装い
/BLANDET Tokyo 宮本哲明

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コート裏地の蛍光色をチラ見せしてシューズの色とリンクさせた上級者コーデ。立ったり座ったりの生活シーンを思い描ける人ならではの動きのある着こなしだ。コートはなんとヨーロッパの路上作業員のユニフォーム(古着)でリバーシブル仕様。安全確保の目的の蛍光色面を内側にして、洒落着に活用した。
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「実用性もデザインも文句なしです」と宮本さんが語る私物の「XT-6 GTX」。「足に当たるゴツゴツした感触がなく痛くならないのもよく履く理由のひとつ」。

イタリアンクラシックからカジュアル古着まで自在に着こなす宮本哲明。服を中心とするショールーム&ストアを個人で運営するファッションのプロである。彼のノンジャンルな感性にサロモンがヒットした。愛用モデルは渋谷の直営店で購入した「XT-6 GTX」。記事冒頭に掲載したものと同型色違いだ。
「スタイリストなどがよく履いてて気になっていたサロモンを自分で試そうと思い、22年に購入しました。それがこのゴアテックス搭載の『XT-6』。すごくよくて、天候に左右されず履き心地がよく。ついこればかり愛用してますが、さすがにもう一足手に入れようかと考え中です」
選んだ決め手はなんだろうか。
「まず配色でしょうか。フレンチなカラーリングを感じませんか?あとは整ったシャープな形です。今回履いた姿を撮影していただき客観的にシルエットを眺めて、改めて美しさを実感しました」
サロモンは同型でも別モデルかのように色で表情が変わる。宮本さんのように一足一足をじっくり見て決めるのがベストな購入方法だろう。

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丸い爪先のシューズが全盛のいま、すっきりとした見た目は希少な存在。ダッドシューズのネクストモデルとしても新鮮に映る。

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女子だってサロモン!ブーツでフェミニン&クールに
ビームス ウィメン 原宿 井上あおい

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エアリーなシアー素材ブラウスと膝下スカートに、サロモンのブーツを合わせたコーデ。服のフェミニンな甘さに辛口をプラス。トップをブルー系に、ボトムを黒に揃えて落ち着かせた色彩センスもさすが。
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幾何学タイツで女性らしさを格上げしつつ、スニーカーで軽快にドレスダウン。シューズと色を揃えたソックスでブーツ丈を長く見せた脚長効果も。「ロゴの色が気にいってサロモンのソックスも買っちゃいました」と井上さん。

レイ ビームスの路面店、ビームス ウィメン 原宿に勤務する井上あおい。3足持つサロモンのうち今冬によく履くのがこの「SNOWCROSS」だ。
「23年11月ごろに自分の店で買ったブーツです。ファスナーを閉めて紐を覆えるディテールが珍しく、サロモンのハイカットを初めて入手しました。雨や雪の日でも問題なく履けますし、なによりシュッとしたデザインがお気に入り」
着こなしポイントは?
「今日もそうですがフェミニンな服に合わせることが多いですね。服はチュールやシアーなどのフェミニンなものが好みなので、足元で動きをつけたいときこれがぴったりです。スピードクロスをベースにしたこのスノークロスはアウトソールもアウトドア仕様。跳ね返りもよく反発力にも優れています。スタイリングの一部として見た目で選んだシューズながら快適さにも気づき、よく歩くわたしに合う一足と感じています」

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全身の色数を絞ると、ソックスの赤ワンポイントが効いてくる。シンプルなブーツの形もスタイリッシュだ。「足首がしっかりホールドされつつ圧迫感がないシューズです。全体が柔らかく馴染むのも快適です」。

「サロモンシューズを最初に購入したのが約5年前」という、時代に先駆けた感性を持つ井上さん。いま接客の現場で知名度が上がったことを実感するようだ。
「シューズを見て『あ、このブランドね。気になってたの』とおっしゃるお客さまが近ごろ増えました。こちらがお薦めする必要がないほどに」
低価格でないから高級な服と組ませるのに品格が合うと思えるのも、大人心を掴む要因かもしれない。男女で感覚をシェアする現代社会らしいシューズでもある。

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幅広いカテゴリーを扱う、SALOMON STORE TOKYO SHIBUYA

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地下は「スポーツスタイル」カテゴリーの専用フロア。
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洗練されたスニーカーショップに相当する落ち着いた内装。

「サロモンストア 東京 渋谷」はコロナ禍の20年3月にできた路面店で、世界の直営店で初めて「スポーツスタイル」カテゴリーを取り扱った店でもある。原宿から渋谷に掛けての中間地点にあり、スニーカーカルチャーに根ざすファッション感度の高い層が行き交う街ならではの方向性が息づく。

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1階フロアには創業者ジョージズ・サロモンの写真が飾られている。彼が手に取るのはスキー板のビンディング。
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トレイルランからハイキングまで、アクティブシーン向けの最新モデルがずらりと揃った1階フロア。

ファッション狙いの人は迷わず地下フロアへ直行しよう。「スポーツスタイル」が揃っているからだ。入口のある1階は本来のサロモンの主戦場である「パフォーマンス」を主に扱う。「とにかく高機能がほしい」という人はこちらのフロアへ。「街履き用でも、すべてのモデルを自分の目と足で確かめたい」と望む人は店の隅々まで見て回るべき。広すぎない店内なので全部見るのにさほど時間は掛からないはずだ。今回の「着る/知る」で特集したサロモンをまず体感するのに最高の店である。

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インバウンド客を含め新たな人の流れを生んだ商業施設、「MIYASHITA PARK」の反対側にあたる明治通り沿いの店。

サロモンストア 東京 渋谷

東京都渋谷区神宮前6-18-14 J.S神宮前プロパティ1F、B1F
営業:11時〜20時
不定休
TEL:03-6712-5720

サロモン

https://salomon.jp/

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【画像】サロモンシューズ大特集!定番、人気の理由、店、愛用私物まで【着る/知る Vol.169】

XT-6 GTX

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防水ゴアテックス搭載で悪天候もOKなデイリーシューズ。2013年に誕生したランナー向けモデルを、色や素材を変えてアップデート。靴紐をタンに収納できる機能、紐と連動させたアッパーのホールドなどサロモンの基本が詰まっている。2足ともに¥31,900(税込)。

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XA PRO 3D

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全方向グリップのラグパターンのアウトソールを有する大人気シューズ(ゴアテックス非搭載バージョン)。アッパーが通気性のいいメッシュで夏でも快適に過ごせる。前へと足を進める踏み出し力の高さも特筆モノ。¥19,800(税込)。

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ACS PRO

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2004年誕生のトレイルラン用「GCS」を進化させたモデル。2021年に復刻されたのち人気の高さにより22年に本格展開がはじまった。レトロ発想のモードシューズや往年のランニングシューズに近いデザインで、色も控えめだからベーシックな服と合わせやすい。¥33,000(税込)。

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XT-SLATE

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「スポーツスタイル」の独自企画で生まれた、復刻ではないレアな新作。3Dエンボスのワッフル生地が実に現代的だ。超軽量でアッパーが柔らかく、足の感触が優しいのが大きな特徴。モダンなモードウエアと相性がいいサロモン流ミニマルデザイン。¥37,400(税込)

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サロモン ジャパンが解説する、ブレイクのきっかけ、カテゴリーの役割

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右が「スポーツ(パフォーマンス)」カテゴリーの「SPEEDCROSS」。左は「スポーツスタイル」カテゴリーの同名モデル。右は最新の第6世代で、左は旧型となる第3世代。「パフォーマンス」と「スポーツスタイル」の分類は、最新技術搭載モデルか復刻モデルかの違いだ。
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右が「XA PRO 3D」の最新モデルで、左は旧型(ともに現行品)。見た目はわずかな違いだが、アスリートは最新版を選ぶ人が多いようだ。

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ファッションのプロが愛用するサロモン、着こなしの技

絶妙な色合わせによる大人の冬の装い
/BLANDET Tokyo 宮本哲明

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コート裏地の蛍光色をチラ見せしてシューズの色とリンクさせた上級者コーデ。立ったり座ったりの生活シーンを思い描ける人ならではの動きのある着こなしだ。コートはなんとヨーロッパの路上作業員のユニフォーム(古着)でリバーシブル仕様。安全確保の目的の蛍光色面を内側にして、洒落着に活用した。
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「実用性もデザインも文句なしです」と宮本さんが語る私物の「XT-6 GTX」。「足に当たるゴツゴツした感触がなく痛くならないのもよく履く理由のひとつ」。

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丸い爪先のシューズが全盛のいま、すっきりとした見た目は希少な存在。ダッドシューズのネクストモデルとしても新鮮に映る。

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女子だってサロモン!ブーツでフェミニン&クールに
ビームス ウィメン 原宿 井上あおい

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エアリーなシアー素材ブラウスと膝下スカートに、サロモンのブーツを合わせたコーデ。服のフェミニンな甘さに辛口をプラス。トップをブルー系に、ボトムを黒に揃えて落ち着かせた色彩センスもさすが。
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幾何学タイツで女性らしさを格上げしつつ、スニーカーで軽快にドレスダウン。シューズと色を揃えたソックスでブーツ丈を長く見せた脚長効果も。「ロゴの色が気にいってサロモンのソックスも買っちゃいました」と井上さん。

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全身の色数を絞ると、ソックスの赤ワンポイントが効いてくる。シンプルなブーツの形もスタイリッシュだ。「足首がしっかりホールドされつつ圧迫感がないシューズです。全体が柔らかく馴染むのも快適です」。

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幅広いカテゴリーを扱う、SALOMON STORE TOKYO SHIBUYA

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地下は「スポーツスタイル」カテゴリーの専用フロア。
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洗練されたスニーカーショップに相当する落ち着いた内装。

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1階フロアには創業者ジョージズ・サロモンの写真が飾られている。彼が手に取るのはスキー板のビンディング。
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トレイルランからハイキングまで、アクティブシーン向けの最新モデルがずらりと揃った1階フロア。

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インバウンド客を含め新たな人の流れを生んだ商業施設、「MIYASHITA PARK」の反対側にあたる明治通り沿いの店。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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