103年前にスーパーで6ポンド(約1000円)で購入された「世界で最も質素なクリスマスツリー」が、オークションで60倍の約3,400ポンド(約60万円)で落札された。この驚きの落札額には、背景にある、ひとりの女性の心温まるストーリーが理由となったのだ。
彼女の生涯のクリスマスツリー「25本の枝に12個の実」
この質素な“人工のモミの木”の持ち主はドロシー・グラントさん。地元紙によると、このツリーは第一次世界大戦後の1920年に当時8歳のドロシーさんの母親が、イギリスのスーパーマーケット「ウールワース」で購入したものだという。
高さ31インチのツリーは、たった25本の枝に12個の実、6個のミニ・キャンドル・ホルダーが備え付けられており、人々が想像する豪華なクリスマスツリーとはほど遠いとても地味なものだ。しかし、ドロシーさんは亡くなる101歳までツリーを飾りつけ、彼女の生涯のクリスマスツリーとして活躍したという。
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「ドロシーの物語は人々の心に響いた...」
2014年にドロシーさんが亡くなった後、このクリスマスのツリーは、娘のシャーリー・ホールさんに引き継がれた。しかし、彼女は今年、このツリーをオークションに出品することを決意。当初は、1万円前後で落札されると予想されていたが、12月上旬にハンソンズ・オークションでなんと3,411ポンドで落札。
ハンソンズのオーナー、チャールズ・ハンソンさんは「世界で最も地味なクリスマスツリーに新しい家が決まり、買い手も売り手も喜んでいます…元々は小銭で買われていたものが、数十万円で売れたのですから驚きです。ノスタルジアの力だと思います。ドロシーの物語は人々の心に響いたのです」と語っている。
また、あるバーゲンハンターは「クリスマスの精神を表現するのに、豪華さや過剰さは必要ないということを思い出させてくれました。現代の私たちには疎らに見えるかもしれませんが、彼女にとっては特別なものなのだと思います」と付け加えた。
ハンソンさんによると、ドロシーさんの母親が購入したとされる1920年は、世界中で“人工ツリー”が大量生産され始めたころ。そのため、ドロシーさんのツリーは、最も初期のクリスマスツリーのひとつだと考えられるという。モノが多く溢れる現代だからこそ、この物語はシンプルなものを長く大事に使い続けることの大切さを私たちに教えてくれた。
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