Teslaのサイバートラックが水上を走る!? イーロンマスクが「改造パッケージ」提供計画を表明

  • 文:青葉やまと
Share:

スクリーンショット 2023-12-26 16.22.35.png
Teslaのサイバートラック。。teslamotors-Instagram

防弾性能が話題のTeslaのサイバートラックに、またひとつ新たな個性が加わるだろうか。イーロン・マスクCEOが、水上をボートのように走行可能にする野心的な計画を明らかにした。

マスク氏は日本時間12月19日、X(旧Twitter)のポストで、「サイバートラックがボートとして少なくとも100mの水域を横断できるよう、われわれは改造パッケージを提供するつもりだ」と発表。

さらに、「おおまかに言って、キャビンのドアの密封性を改善するだけだ」とも述べ、実現への課題が比較的少ないとの認識を示した。

発言を受けて海外のソーシャルメディアでは、実現への期待半分、疑問半分といった反応がみられる。オフロード車に位置づけられるサイバートラックだけに、船としての機能は理にかなっているとの分析もあるようだ。

---fadeinPager---

「イーロンはボートにしたがっている」Tesla副社長が明かす

突如飛び出したサイバートラックのボート化発言だが、発端となったのは米リアリティ番組で繰り広げられた何気ない会話だった。『Jay Leno's Garage(ジェイ・レノのガレージ)』に招かれ、Teslaの車両エンジニアリング担当副社長のラース・モラビー氏が出演した。

車の浮力をめぐり会話が盛りあがるなか、モラビー副社長は番組ホストのジェイ・レノ氏に対し、「イーロンは確かに(サイバートラックを)ボートにしたかったんです。浮力を少し増やす必要があるかもしれませんが、車体はほとんど水に浮きます」と、Tesla社内で浮力の活用が議論されていることを明かした。

モラビー副社長はまた、サイバートラックが水に浮くだけでなく、動力を追加すればボートになるとのアイデアを披露した。「もしあなたが創造的で、そして望むならば、船外機を設置する方法を編み出せるかもしれませんね。電源に接続して、スクリーンから(船外のモーターを)オンにし、ボートとして使うんです」

この番組に反応したのが、Tesla投資家のソーヤー・メリット氏だ。日本時間12月19日、自身のXでモラビー副社長の発言を再掲。番組のワンシーンを引用し、Teslaのボート化への期待を示した。このポストへのリプライとして、マスク氏が冒頭のように「改造パッケージを提供」の計画を明かした形だ。

---fadeinPager---

水に浮かせたい意向、数年前から一貫

マスク氏のポストは、海外のテスラ愛好家とメディアのあいだで大きな話題を呼んでいる。斬新なアイディアが実現すれば、サイバートラックは道路だけでなく、水上でも新たな可能性を切り開くことになるだろう。

これまでにもマスク氏は何度か、機密性の高いサイバートラックは一時的に水に浮くと主張してきた。2020年以来、サイバートラックの水陸両用の運用について度々ツイートしている。

あるポストでは、サイバートラックが「一時的にボートとして機能するのに十分な防水性があり、川や湖、波がさほど高くない海を渡ることができる」と説明。多くのフォロワーとメディアの注目を集めた。

---fadeinPager---

実現可能性は?

改造パッケージの発売に至る可能性は、実際のところ高いのか。世間の見方は分かれている。多くのテック愛好家やTeslaファンはこれまで、サイバートラックとボートのハイブリッド画像をAI生成などで製作し、その可能性を夢見てきた。期待が高いことは確かだ。

米自動車メディアのジャロプニクは、「実現するのだろうか? 誰にもわからない。だが、イーロンが繰り返し公言しているのだから、いつかは間違いなく実現するだろう。おそらく」と期待を寄せる。

一方で、懐疑的な声も少なくない。とくに、水上走行には技術的課題が多い。現実的な車両設計の制約と厳格な安全基準を満たしつつ、ボートの機能を盛り込むのは難しいのではないかとの見方だ。

 

ジャロプニクの記事の読者コメント欄では、「ふつうの人の考えでは、『ほとんど水に浮く』は、『沈む』という意味だ」との厳しい指摘が賛同を集めている。

---fadeinPager---

浅瀬対応はすでに実現済み

だが、浅瀬をゆく機能であればすでに存在する。正式公開されていない「ウェイドモード」と呼ばれる機能がサイバートラックに実装されていることが先日判明し、話題を呼んだ。

このモードでは、グラウンドクリアランス(地上高)が通常より高い位置に移行する。さらに、エアサスペンション用として搭載する空気タンクを流用してバッテリー周りを与圧し、バッテリー水没によるダメージを防止する。投資家のメリット氏は、サイバートラックのユーザーマニュアルをもとに、エアサス用タンクとバッテリールームをつなぐパイプの存在を指摘している。

また、社外製の改造キットとしてすでに、サイバートラックの水上走行を可能にする「サイバーキャット」が考案されている。水中および水上のフロートと支柱を付加し、高速フェリーのように水面上に突き出して進むコンセプトで、目下開発中だ。

異色の強固さを秘めたサイバートラックに、水上走行の柔軟性が加われば、活躍のシーンは格段に広がりそうだ。

---fadeinPager---

マスク氏によるXのポスト。サイバートラックの水上利用に積極姿勢をみせた。

---fadeinPager---

---fadeinPager---

---fadeinPager---