「意外すぎるヒット商品」米コストコで“金の延べ棒”が飛ぶように売れている!? …数時間で売り切れ

  • 文:山川真智子
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Tada Images-Shutterstock

徹底してコストを抑えることで顧客に低価格を提供する、会員制の倉庫型小売りチェーン「コストコ」。さまざまな商品を販売し、なかでも超低価格が売りの食品など、客を虜にして離さない定番アイテムも存在している。そんなコストコの商品ラインナップに “金の延べ棒”が仲間入り。定番商品もびっくりの完売に次ぐ完売で、今年最も意外なヒット商品となっている。

コストコで定番の超人気商品とは?

コストコの定番として、まず挙げられるのがホットドッグだ。店内の飲食スペースで売られるホットドッグと炭酸飲料のコンボミールは、なんと1.5ドル(約214円)。1984年以来値上げをしておらず、インフレ時代における驚異的な価格設定となっている。販売されるコンボは年間1億5100万個。投資系サイト、モトリー・フールによれば、この数字はメジャー・リーグ全体のホットドッグの売り上げを上回るもので、金額にすると約2億2600万ドル(約322億円)になる。

ホットドッグと並ぶ人気定番商品が、鶏1羽を丸ごとローストしたロティサリーチキンだ。2022年には1億1700万羽が販売されており、今年はおそらくそれ以上になると見られるという。お値段は4.99ドル(約711円)で、こちらも2009年以来価格は据え置き。金融系サイト、GOバンキング・レーツによれば、毎年4000万ドル(約57億円)を売り上げるが、実際には赤字だという。

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数時間で売り切れる、新たな目玉商品 

そんな定番商品に加えて顧客が熱い視線を注ぐのが、9月から販売を開始した“金の延べ棒”だ。取り扱っているのは、スイスPAMP社製と、南アフリカのランド・リファイナリー社製の1オンスのインゴット(金地金)。コストコの発表では、2023年度第1四半期(11月26日までの12週間)に1億ドル(約143億円)の金を販売しており、食品販売を主とする小売業としては異例のセールスとなっている。

インゴットの販売は、会員限定でオンラインのみで行われており、1人2つまでの制限付き。出せば数時間以内に売り切れる人気ということだ。米CBSニュースによれば、価格はスポット価格よりも高いが、他の小売店よりは安いという声もある。コストコのクレジットカードとエグゼクティブ・メンバーシップを持っていれば購入時に4%のキャッシュバックを受けられるという指摘もあり、お得感があるようだ。

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利益度外視の訳 目的は別にあり!

モトリー・フールによれば、コストコの商品粗利益率は2023年度で11%と非常に低く、営業経費を加えると損益分岐点のビジネスだという。しかし、穴埋めをするのが7200万世帯、更新率90%越えという会員の支払う会費だ。重要なのは、会員が満足する価値を提供することでより多くの会員を維持・獲得し、キャッシュフローを増やすこと。だからこそ、インフレ無視のホットドッグや赤字のロティサリーチキンが成立するのだという。

顧客を引き付けるという意味では、今回の金販売もその役割を果たしていると言える。アメリカでの試みが成功すれば、日本のコストコで金を買える日も来るかもしれない。

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PAMP社のインゴット。

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ランド・リファイナリー社のインゴット。

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並べた2種類のインゴット。

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オンライン販売のページ。

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https://x.com/tenetdragon/status/1737372667509153998?s=61&t=tmFyvArnf1rljItuVYg0oQ

人気のホットドッグ。

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生産フル回転のロティサリーチキン。