パンツ選びが着こなしの鍵!プロ3名が指南する今どきパンツ事情【着る/知る Vol.168】

  • 写真・文:一史
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スタイルアップの要になるパンツは、着こなしを左右する重要アイテム。洒落者はアウターやインナーよりパンツ選びに気を遣うほどだ。アジア人は欧米人と比べ頭が大きく、下半身が貧相に見えやすい体型。洋服栄えしにくいからこそ、パンツが全身を整えるキモになる。さらに股上の深さ、シルエットなどに時代感が明確に出るのもパンツを特徴のひとつ。流行中の全身ダボダボファッションの次が気になるいま、大人が穿くべき旬のパンツを探りたい。
そこで今回の「着る/知る」は、ファッションの達人3名にパンツ選びのコツを伝授してもらった。それぞれパンツデザイナー、ショップ店長などメンズスタイルのプロばかり。彼ら自身が着た2通りのコーデに加え、冬から春まで使えるお薦めモデルも紹介。当連載のテーマである旬のラインナップをスクロールして最後まで眺め、“今どきパンツ事情”を頭に叩き込もう!

スポーツウエアの格上げ&着崩しの異素材コーデ/ニートデザイナー 西野大士 

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パンツは西野さん自身がデザインしたニートのウール素材ドレスパンツ。ブルゾン、シューズ、ニットキャップをスポーティに揃え、パンツの力で大人ムードに格上げしたコーデ。跳ね上げ式サングラスの洒落た小物使いも効いている。
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分厚いウールサージで余計なシワも出ずすっきり穿けるドレスパンツ。ハリがある太めシルエットは日本人男性に合うバランスだ。ボトムにボリュームを出せるので、頭の大きな人の視覚的体型カバーにも役立つ。写真の品は西野さんがこの冬愛用する私物。¥110,000(税込)。

「今回お見せしたいのは、化繊のスポーツウエアの着こなしです。アウター×パンツのずらしを狙い、天然素材と化繊の異素材で全身にメリハリをつけました」
そう語る西野大士(にしの・だいし)さんは東京大人シーンで尊敬されるファッションセンスの持主。トラッドもビンテージも通過した自由な発想に定評がある。古着マニアな彼が披露した2通りの装いは、スポーツアウター×ドレッシーパンツ、クラシックジャケット×スポーツパンツの組み合わせ。時代もテイストもミックスさせたモダンな着方だ。クワイエットラグジュアリーな高級アイテムをさりげなく織り交ぜるのが大人ならではの仕上げ。

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ストライプテーラードJK+タートルネックセーターのクラシックコーデに、アディダスのジョガーパンツでユーモアをプラス。ただし足元は高品位なレユッカスのブーツで引き締めた。90年代ストリート調のナイキを頭に被り、スーパーカルチャーミックスが完成。
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往年のスキーヤーや冬山のロッジのような服装を演出したアディダスの古着シャカシャカパンツ。マウンテンルックや90年ストリートが流行するいま、シャカパンがスウエットパンツに代わる新定番イージーパンツになってきたようだ。

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スポーツメッシュで仕立てた次世代ドレスパンツ

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メッシュ生地を本格ドレスパンツに使った斬新な切り口のパンツ。まさしくスポーツ×ドレスの傑作。2色ともに¥36,300(税込)。

ニートの2024年春夏コレクションのうち西野さんご自慢の一本。なんとスポーツウエア用メッシュ素材をドレスパンツに応用!同生地の2枚重ねにより透け感をシャットアウト。通気性も抜群によく、暑い日々が続く春夏シーズンを心楽しくしてくれるパンツだ。

NEAT
www.instagram.com/neat_tokyo/

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レトロシックを極める大人の“ハズした”エレガンス/レショップ店長 渡邉浩貴

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上下ともに古着の私物コーデ。ピエール・カルダンのジャケットに無名パンツを組ませたレトロなフレンチシック。サングラス、インナーにチラ見せした派手なベスト、ラフなヘアスタイルもさすがのセンス。
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「すごく愛用してます」と渡邉さんが語る私物コットンパンツ。デニムと共通するディテールで気軽に穿ける一本だ。

古着から先端ウエアまで、“ヒトクセしかない”アイテムばかりを取り揃え、マニアックな服好きの心をがっちり掴む「レショップ」。海外買付けも行う店長の渡邉浩貴(わたなべ・ひろたか)さんが示してくれたのは、パンツで工夫するコーデのバランスだ。
「イチオシは裾が広がったフレアパンツです。日本人は体型で欧米人に敵いませんから、脚長に見せるのにフレアパンツが便利です。まだ穿く人が限られるかもしれませんが、レショップでは強く打ち出してますね」
60~70年代気分も最近のレショップの傾向だ。フレアパンツに敷居が高い人は、ダボッとしたワイドパンツを選ぶ手もある。細身の服やシャープな靴と組ませて、緊張感のあるメリハリコーデを。

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真冬にロングコートを脱いだときのライトなコーデ。「男性にもウィンターホワイトを」と渡邉さんが提案するワイドパンツは、春夏まで穿き続けられる薄手のもの。着こなしのコツはトップスを細身にして動きのある全身バランスにすること。
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ビンテージチノの各ディテールをミックスしてデザインされたリパーパスのコットンパンツ。ウエストは40インチ展開のみで、細身の人はベルトでギュッと絞って穿く。¥41,800(税込)。

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フレンチブランドのフレアデニム

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腰回りをフィットさせジャストサイズで穿きたいフレアデニム。¥55,000(税込)。

新品で探しにくいフレアデニムもレショップで取り扱っている。薄い色も形も70年代からタイムスリップしたようなパンツだ。フレンチクラシックを追求するパリブランドであるハズバンズのデニム。イタリア・ナポリで修行したフランス人によるハズバンズには、テーラリングの魅力も息づく。

L'ECHOPPE
https://lechoppe.jp/

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オーセンティックのその先にあるモダン/アーチ南青山店長 小島惇史

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ビジネスウエアにもなるグレーフランネルのスラックスを、ラフなスウェットシャツで着崩し。インナーにタートルネックセーターを重ね着して上品さをアップ。上下で揃えたミニマルな色使いがスタイリッシュさの鍵。

アーチ南青山は大手セレクトショップの販売員たちがプライベートで買い物に来るほどコアな品揃えの名店。ミリタリーやワークの古着も多数置かれたこの店の小島惇史(こじま・あつし)さんによる着こなしは、オーセンティックなパンツを現代的に解釈したもの。
「男性の定番パンツはグレーフランネル、デニム、カーゴが3本柱でしょう(カーゴでなくチノでも)。その基本を踏襲するのがアーチの考えです。それでも時代感はあり、このうち2本のパンツを自分流に穿いてみました」
ドレスとカジュアルの境界線を曖昧にする着方が、現代的であり日本的でもある。いますぐ取り入れられるコーデの技が満載だ。

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ドメスティックブランドのモヒートの定番パンツをウール素材に変えたアーチ別注品。2タックでベルトループが下がったクラシックさと、カジュアルなディテールが融合した逸品。¥59,400(税込)。

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「ブルーデニムを街着にするときは、ほかを黒でまとめます」と小島さん。ラギッドなデニムこそ、シックな服装の“差し色”として使うと洒落た印象に。前写真のコーデとは別のメガネに変えたセンスにもご注目を。
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小島さん着用のデニムは何度か洗い色落ちさせた私物。こちらはワンウォッシュの新品。「日本ブランドのボンクラのものです。いろんなデニムを扱ってきたなかで、いま店に置く新品はボンクラに絞ったほど完成度の高い品です」と小島さん。¥38,500(税込)。

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トレンドのカーゴ、アーチの定番はフランス軍のM47

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ワイドシルエットがモダンな着こなしを生むM47カーゴパンツ(前期)の実物。コットンツイル生地もクラシックな味わい。¥41,800(税込)。

Y2Kトレンドで若い女性を中心に人気が続くカーゴ。持っている人はいまこそ再び穿く絶好のタイミングだ。アーチが主に扱うのはシルエットが美しいフランス軍M47のデッドストック。現在の在庫はウエストサイズが大きいものが多いが、モノにより実寸がバラつくらしいので店で実際に穿いて確かめよう。

ARCH南青山
https://lit.link/ARCHMINAMIAOYAMA

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【画像】パンツ選びが着こなしの鍵!プロ3名が指南する今どきパンツ事情【着る/知る Vol.168】

スポーツウエアの格上げ&着崩しの異素材コーデ/ニートデザイナー 西野大士 

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パンツは西野さん自身がデザインしたニートのウール素材ドレスパンツ。ブルゾン、シューズ、ニットキャップをスポーティに揃え、パンツの力で大人ムードに格上げしたコーデ。跳ね上げ式サングラスの洒落た小物使いも効いている。
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分厚いウールサージで余計なシワも出ずすっきり穿けるドレスパンツ。ハリがある太めシルエットは日本人男性に合うバランスだ。ボトムにボリュームを出せるので、頭の大きな人の視覚的体型カバーにも役立つ。写真の品は西野さんがこの冬愛用する私物。¥110,000(税込)。

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ストライプテーラードJK+タートルネックセーターのクラシックコーデに、アディダスのジョガーパンツでユーモアをプラス。ただし足元は高品位なレユッカスのブーツで引き締めた。90年代ストリート調のナイキを頭に被り、スーパーカルチャーミックスが完成。
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往年のスキーヤーや冬山のロッジのような服装を演出したアディダスの古着シャカシャカパンツ。マウンテンルックや90年ストリートが流行するいま、シャカパンがスウエットパンツに代わる新定番イージーパンツになってきたようだ。

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スポーツメッシュで仕立てた次世代ドレスパンツ

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メッシュ生地を本格ドレスパンツに使った斬新な切り口のパンツ。まさしくスポーツ×ドレスの傑作。2色ともに¥36,300(税込)。

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レトロシックを極める大人の“ハズした”エレガンス/レショップ店長 渡邉浩貴

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上下ともに古着の私物コーデ。ピエール・カルダンのジャケットに無名パンツを組ませたレトロなフレンチシック。サングラス、インナーにチラ見せした派手なベスト、ラフなヘアスタイルもさすがのセンス。
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「すごく愛用してます」と渡邉さんが語る私物コットンパンツ。デニムと共通するディテールで気軽に穿ける一本だ。

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真冬にロングコートを脱いだときのライトなコーデ。「男性にもウィンターホワイトを」と渡邉さんが提案するワイドパンツは、春夏まで穿き続けられる薄手のもの。着こなしのコツはトップスを細身にして動きのある全身バランスにすること。
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ビンテージチノの各ディテールをミックスしてデザインされたリパーパスのコットンパンツ。ウエストは40インチ展開のみで、細身の人はベルトでギュッと絞って穿く。¥41,800(税込)。

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フレンチブランドのフレアデニム

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腰回りをフィットさせジャストサイズで穿きたいフレアデニム。¥55,000(税込)。

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オーセンティックのその先にあるモダン/アーチ南青山店長 小島惇史

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ビジネスウエアにもなるグレーフランネルのスラックスを、ラフなスウェットシャツで着崩し。インナーにタートルネックセーターを重ね着して上品さをアップ。上下で揃えたミニマルな色使いがスタイリッシュさの鍵。

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ドメスティックブランドのモヒートの定番パンツをウール素材に変えたアーチ別注品。2タックでベルトループが下がったクラシックさと、カジュアルなディテールが融合した逸品。¥59,400(税込)。

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「ブルーデニムを街着にするときは、ほかを黒でまとめます」と小島さん。ラギッドなデニムこそ、シックな服装の“差し色”として使うと洒落た印象に。前写真のコーデとは別のメガネに変えたセンスにもご注目を。
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小島さん着用のデニムは何度か洗い色落ちさせた私物。こちらはワンウォッシュの新品。「日本ブランドのボンクラのものです。いろんなデニムを扱ってきたなかで、いま店に置く新品はボンクラに絞ったほど完成度の高い品です」と小島さん。¥38,500(税込)。

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トレンドのカーゴ、アーチの定番はフランス軍のM47

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ワイドシルエットがモダンな着こなしを生むM47カーゴパンツ(前期)の実物。コットンツイル生地もクラシックな味わい。¥41,800(税込)。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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