アメリカ・アラバマ州在住のケルシー・ハッチャーさん(32歳)は現在妊娠38週目を迎えている。妊娠しているのは「双子の女児」…と聞くと「ごく普通の妊娠」のようだが、ハッチャーさんの妊娠は世界的に報道されるほど話題となっている。
その理由は、この妊娠が「5000万分の1」という驚くべき確率で起った「奇跡的な妊娠」だからだ。
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5000万分の1の確率と言われる「稀な妊娠」
Fox Newsの報道によると彼女には先天性の子宮奇形があり、体内に二つの子宮と二つの子宮頸部をもつ「重複子宮(子宮ディデルフィス/完全重複子宮とも言う)」の持ち主である。
今回、彼女は2つの子宮それぞれに1人ずつ妊娠しているという状態だ。
すでに3人の子ども(6歳、4歳、2歳)をもつハッチャーさん夫妻。ハッチャーさん自身は17歳のときに自身の重複子宮について知ったが、先の3人の子どもたちの妊娠出産には問題なく、3人とも自然分娩で出産した。
今回の「各子宮に1人ずつ」の双子妊娠について夫妻が知ったのは5月23日。2人共信じられなかったという。
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ハッチャーさんの担当医であるアラバマ大学バーミンガム産婦人科のシュエタ・パテル医師も、今回の妊娠を「非常に驚くべきこと」と述べている。
Gurdianの報道によると、重複子宮は0.3%の女性に見られる形態であり、スタンフォード大学産婦人科ヘイリー・ミラー医師は「両方の卵巣が同時に、あるいはほぼ同時に排卵したという事実はかなり驚くべきこと」と語っている。
またヒューストンのベイラー医科大学産婦人科のロバート・ズラウィン医師がScientific Americanに語ったところによると、重複子宮の女性が各々の子宮に妊娠する確率は約5000万分の1だという。
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重複子宮の双子出産。伴うリスクは?
重複子宮の双子出産にはリスクもある。具体的には、胎児は別々の子宮からでてくるが、両方の子宮に同時に陣痛が起こるのかは分からない。さまざまな状況を鑑み、出産のタイミングや帝王切開の可能性も考えておく必要がある。
地元ニュース局WVTMによると、ハッチャーさんの出産予定日はクリスマス当日とのこと。自然分娩を望んでいるハッチャーさんだが、分娩誘発が必要な場合、クリスマス前に自宅に戻れるよう、12月18日か19日に行うようリクエスト済みとのことだ。
心配はあるものの、2人の胎児はともに体重が7ポンド(約2.7kg)を超えている。現在のところ母子ともに健康、37週の検診も無事通過した。
もうすぐ5児の母となるハッチャーさん。今はただ無事の出産を願うのみだが、出産後、また大きく報道されるはずだ。
【次ページ:動画あり】取材に答えるハッチャーさん夫妻
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