アーチー君の“肌の色”に言及した差別主義者は誰? イギリス王室暴露本で明らかになった2人のロイヤルとは

  • 文:宮田華子
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@MirrorRoyal – Xのキャプチャ画像

去る11月28日、オミッド・スコビー氏・著のイギリス王室暴露本「エンドゲーム」がイギリスおよび世界数カ国で同時発売となった。この本を巡り、現在大騒動が勃発している。

この騒動の発端は、2021年3月にメーガン妃がオープラ・ウィンフリーのインタビューで発言したあるコメントに遡る。メーガン妃によると、第一子・アーチー君の誕生前に、「生まれてくる子の肌の色」について「どれぐらい黒いのか?」と(少なくとも一人の)王室メンバーに聞かれたことを告白した。これは王室内に人種別的意識が存在していた可能性を示唆し、このインタビューにおけるハイライトでもあった。

インタビューを見た世界中の視聴者が「この発言をした王室メンバーは一体誰???」と思ったことをきっかけに、「王室内の差別主義者」探しが展開されることとなった。

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オープラ・ウィンフリーによるメーガン妃へのインタビューは大きな話題を呼んだ。@ITVNews - YouTubeのキャプチャ画像

このインタビューから2年8カ月。スコビー氏は「エンドゲーム」出版直前の取材で、“2人”の王室メンバーが「肌の色への懸念」にまつわる会話に関わっていると語った。

 

オミッド・スコビー氏。

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2人の王室メンバーの名前は暴露しないはずが…

しかし、スコビー氏は著書の中にその「2人の王室メンバー」の名前を記しておらず、その理由について「イギリスの法律により、彼らが誰であるかをレポートすることは禁じられている」と語った。

そう言われると「2人の王室メンバーは誰?」「知りたい!」と思うのが人間の性だが…。その後この2人の名前が実にあっさりと明るみになった。イギリス版と同時に発売となった「エンドゲーム」のオランダ語版に、その2人の名前が書かれていたからだ。

オランダ王室ジャーナリストであるのリック・エヴァーズ氏が、この点について指摘する動画をSNSに投稿したことで世界的に知られることとなった。

 

リック・エヴァーズ氏。

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差別発言をしたのは誰?

エヴァーズ氏はオランダ語版「エンドゲーム」の2か所を取り上げ、「2人の王室メンバー」について説明している。

まず128ページにメーガン妃とチャールズ国王の間で交わされた手紙の内容が紹介されており、「悪意や偏見なく」「肌の色への懸念」についての会話に参加した人物がチャールズ国王であったことが書かれている。

また334ページには、もう一人この会話に参加した人物の名前が書かれている。その人物とは…なんとキャサリン妃! 

 

仲良しだった時代もあったのに…。

しかしキャサリン妃についてはチャールズ国王ほど明確には指摘されておらず、ただ会話に参加したとしか書かれていない。よって実際にキャサリン妃が何らか差別的と思える内容のコメントをしたのかは定かではない。

ロイヤル内部の人間関係や雰囲気について外部からは計り知れないが、公務を粛々とこなす印象の2人だけに「ちょっと意外…!?」と思う人も多いだろう。

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なぜオランダ語翻訳版でだけで「名前がリーク」されたのか?

もう一点、「なぜオランダ語版で名前がリークされたのか?」という疑問も残る。

スコビー氏は出版後のインタビューでも一貫して「自分は書籍に2人の名前を書いていない」と主張している。11月29日にイギリスの大手民放テレビ局「ITV」の情報番組「This Morning」に出演したスコビー氏は改めて同じ主張を明言したが、同時に「この2人」が誰なのか、メディア関係者は皆知っていることであるとも語っている。

「This Morning」に出演したスコピー氏。

英語からオランダ語に翻訳される過程で、一体何が起こったのだろうか?

「エンドゲーム」の翻訳者であるサスキア・ピータース氏は「オランダの出版社Xander Uitgeversに渡されたものを訳しただけ」と語っている。確かに翻訳者自身が重要人物の名前を加筆することはありない。仮にそうであったとしても、出版に至るまでに編集者や校閲者等何人もの専門家による確認作業があったはずだ。

 

翻訳者のサスキア・ピータース氏(左)と著者のスコビー氏(右)。

つまり今回の出来事は、スコビー氏による初期段階の草稿には「2人の人物」の名前が書かれており、その原稿がオランダの出版社に渡ってしまった。そして最後まで削除されることなく出版に至ったと考えられている。

出版社Xander Uitgeversはこの件が明るみになると、ただちに初版の回収と出版停止を決定。12月8日に「2人のロイヤル」の名前が削除された修正版が発売されるという。

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今後、王室側はどう出る?

この件に関し、イギリス王室はまだ何もコメントしていない。ウィンフリー&キャサリン妃のインタビューが話題となった2021年、イギリス王室はメーガン妃が語った「肌の色への懸念」について「フィクションである」と主張した。今回チャールズ国王とキャサリン妃の名前が出たことに関する王室側の出方はまだ不明だが、敏腕弁護士を抱えているイギリス王室だけに何らかの法的措置を取る可能性もある。

今後の動き、そして問題が終息に向かうのかはまだ見えない。しかしこの一件で、ヘンリー王子&メーガン妃夫妻とイギリス本国の家族との間の溝がさらに深まったことは間違いないだろう。

 【次ページ:動画あり】今回の騒動はココから始まった!オランダの王室ジャーナリストのYouTubeを紹介。

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オランダ語版を見せながら解説するリック・エヴァーズ氏(YouTubeの字幕自動生成機能を使用すると、日本語字幕が表示される)。