戦争で破壊された…ウクライナ人男性のレコード・コレクション修復に支援の輪広がる

  • 文:山川真智子

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Vespa-Shutterstock ※画像はイメージです

長年にわたって収集してきた貴重なレコードの数々が、ロシア軍により破壊された…。ソーシャルメディアでこんな悲しいウクライナ男性のエピソードを知った人々が、彼のコレクションを元通りにするため立ち上がった。支援の輪はネット上で組織化され、男性のもとには世界各地から続々とレコード盤が届いている。

ロシア兵が名盤をめちゃくちゃに…テレビ番組が紹介

ビジネス・インサイダー誌によれば、ことの発端は、ウクライナの国営放送「サスピリン」のテレビ番組だったという。番組は、ロシアに占領された村で地元民のヴァシル・ソリャニクさんにインタビュー。ソリャニクさんは自宅をロシア兵に占拠にされており、兵士たちが去ったあとに残された、大切なレコード・コレクションの残骸を取材班に見せていた。

ソリャニクさんは1982年から500枚に及ぶレコードを収集。その中にはBBキングやマンフレッド・マンといったミュージシャンたちの、レアな輸入盤も含まれていたという。

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米掲示板型メディアでニュース拡散 提供者続々登場!

「サスピリン」が紹介したこの悲しい話は、米ソーシャルニュースサイトRedditのウクライナに関する掲示板に投稿され、ユーザーたちがすぐにコレクション修復のため支援に動き始めたという。海兵隊の退役軍人であり、レコード・コレクターでもあるミッチェル・ヒンドラムさんが、「ヴァシルのためのレコード盤」というスレッドを立ち上げると、事態は急展開。ユーザーによってソリャニクさんの連絡先が突き止められ、コミュニケーションが進み、レコードの受け渡し方法も決まった。

グーグルシートには、失ったレコードの多くがリストアップされ、名前の記入欄が設けられた。ここだけでディープ・パープル、ビートルズ、ピンク・フロイド、オジー・オズボーン、ローリング・ストーンズなどの作品を含む数十枚のアルバムの提供者が現れている。同様の動きは、フェイスブックでも広がっているという。

最後の1枚まで探す! ウクライナ支援の象徴に

X(旧ツイッター)に投稿したウクライナのメディアによれば、すでにアメリカ、イギリス、ポーランド、またウクライナ各地からソリャニクさんに100枚近くのレコードが送られてきたという。一人で数百ドル相当のレコードを送ってくれる人や、レコードプレーヤー等の音響機器、現金まで届ける人もおり、ソリャニクさんは「どうしたらこんなことに…」と驚いているという。

支援のスレッドを立ち上げたヒンドラムさんは、残りのレコードもすべて見つけるつもりだとビジネス・インサイダー誌に語っており、ソリャニクさんのコレクションの再生への努力は、ウクライナ支援の力強いシンボルだと述べている。

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支援が集まっているというウクライナメディアの投稿。汚れたレコードが悲しい。

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「サスピリン」記者の投稿。

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インタビューに答えるソリャニクさんの映像。