映画の舞台裏やスターの素顔をとらえた、ユル・ブリンナーの写真展が開催中!

  • 写真・文:石川博也

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ライカギャラリー東京、ライカギャラリー京都、ライカプロフェッショナルストア東京では、現在、ユル・ブリンナー写真展「Yul Brynner's Photography: An Extraordinary Vision」を同時に開催中だ。ユル・ブリンナーとは映画『王様と私』でアカデミー主演男優賞に輝いた往年の名俳優で、同作品の舞台ではトニー賞を受賞。ほかにも映画『十戒』や『荒野の七人』など数多くの人気作品に出演し、世界中の映画ファンの心を掴んできた。

そんなユル・ブリンナーが、実は熱心なフォトグラファーでもあったことをご存じだろうか? 撮影現場にカメラを持ち込んで、映画の舞台裏の光景や共演者のオフショットなどをとらえてきたり、プライベートでもたくさんの写真を撮影してきた。

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ユル・ブリンナーの娘、ヴィクトリア・ブリンナーさん。向かって左の写真の手前に写っているのは子どもの頃のヴィクトリアさんだ。

そんなユル・ブリンナーを父にもつヴィクトリア・ブリンナーさんが来日。自分でも写真を撮るヴィクトリアさんに、フォトグラファーとしてのユル・ブリンナーや写真展の魅力について話を聞いた。

もともとはテレビ番組のディレクターをしていて、その頃に写真を撮り始めたユル・ブリンナー。役者を始めてからは映像の仕事ができなくなったため、自らの創造性、芸術性を追求する一環として、それまで以上に撮影に力を入れ始めた。

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5台のカメラを一度に持ち歩くユル・ブリンナー。

「父は複雑なメンタリティをもっていて、いろいろなことに興味があり、物事を深く考えるなど哲学的なところもあった人でした。仕事の時だけでなく、プライベートでもいつもカメラを首から下げて写真を撮っていましたね。カメラに関するものも大好きで、小さな子どもがおもちゃを集めるようにレンズやカメラにまつわる小物をたくさんコレクションしていました」

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会場には映画の撮影現場やプライベートなどさまざまなシーンで撮影された貴重な写真が並ぶ。

そんな父の姿を見ていたヴィクトリアさんが写真を始めたのは、人から借りたカメラで撮った写真を父に見せたことがきっかけだった。

「父はその写真になにかを見出したようで、私に写真を撮るように勧めてくれて、カメラも買ってくれたんです」

そこからアンリ・カルティエ=ブレッソンやアンドレ・ケルテス、エルンスト・ハースなど著名な写真家の写真集を一緒に見ながら、ヴィクトリアさんは父からいろいろなことを学んでいく。中でも印象に残っているのは構図の大切さで、彼女が今でも撮影の時に意識することだ。

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グロリア・ギネスの写真はヴィクトリアさんがお気に入りの作品のひとつ。Gloria Guiness,Palm Beach,1960©Yul Brynner

ヴィクトリアさんから見た父の作品の魅力はどんなところだろうか?

「父は自分の作品について、スナップ写真や風景写真を最高傑作だと思っていたかもしれませんが、私が発見した彼の写真の素晴らしさは、人々の写真にあると思います。被写体になった人たちがリラックスしていて構えたところがまったくないんです。自然な姿、人となりがちゃんと写っているんですね」

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手にウイスキーグラスを持ったまま、ヘリコプターで仕事現場に現れたフランク・シナトラ。Frank Sinatra,Hollywood,1964©Yul Brynner

例えば、フランク・シナトラを写した写真について、ヴィクトリアさんはこう話す。

「フランク・シナトラが父やディーン・マーティンなどと一緒にパームスプリングスで週末を過ごした翌日の写真です。夜中まで騒いだあとにウイスキーを手にしたままヘリコプターで現場に現れた時の姿を写しています。父の作品のおもしろいところは、こんな風に当時のスターたちの生活の一端が垣間見られるところにもありますね」

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ヴェネチアでのオードリー・ヘプバーンの写真は、独特の構図にも注目したい。Audrey Hepburn,Venice,1965©Yul Brynner

今回の写真展では、ほかにもエリザベス・テイラーやオードリー・ヘプバーン、イングリッド・バーグマンなど伝説のスターを写した写真が数多く展示されている。それらはただ有名人が写っていることに重きを置いたプロマイド的な写真ではなく、人として自然体の姿をとらえているからこそ価値があるし、ユル・ブリンナーだからこそ撮れた写真だ。

「会場で見ていただければわかると思いますが、構図も完璧だしディテールもちゃんと表現した、アート作品としての父の写真をぜひ楽しんでいただければと思います」そう話すヴィクトリアさん。フォトグラファーとしてのユル・ブリンナーのアーティスティックな作品をぜひ間近で鑑賞したい。

ユル・ブリンナー写真展「Yul Brynner's Photography: An Extraordinary Vision」

会期:〜3月3日(日)
会場:ライカギャラリー東京、ライカギャラリー京都
ユル・ブリンナー写真展は、ライカプロフェッショナルストア東京でも同時開催中。
会期:~1月13日(土)
会場ではそれぞれ異なる作品が展示されています。