食べ物や日用品までさまざまなものが揃っている、便利なコンビニエンスストアだが、中国に「最も不便なコンビニ」があるのはご存知だろうか?
利用者は約90分かけて崖をよじ登る
10月上旬、中国のソーシャルメディア、Weiboに投稿されたのは、中国湖南省・新牛寨にある崖の中間にぶら下がる木造の小屋。その名も「最も不便なコンビニエンスストア」だ。
国営英字紙チャイナ・デーリーの報道によると、なんと地上120メートルの高さの崖につくられた2平方メートルほどの店舗は、登山客に飲み物や軽食を補給している。店舗は、全長800メートルにおよぶロッククライミングルート「ビア・フェラータ」の途中にあり、この店舗を利用するには、崖に取り付けられた鉄の階段と固定されたケーブルを約90分ほどよじ登る必要がある。この店は、2018年に1年間の工事を経てオープンした際に話題を呼んだというが、最近、中国在住のインフルエンサーがSNSで取り上げたことで再び脚光を浴びた。
中国国営メディアCCTVによると、この店舗では飲み物やポテトチップスなどの軽食が取り揃えられている。価格もオープン当初から値上げされず、ボトル入り飲料水の価格は2元(約40円)で販売されているという。しかし、想像を遥かに超えた立地のコンビニに対して「絶対無理だろ笑」「コンビニって、便利なものじゃなかったっけ??」「店員さんは毎日ここまで出勤してるの??笑」「どれだけ給料を貰ってもやりたくない」といった声が集まった。同メディアによると、勤務する従業員は常に1人。毎朝開店前にスタッフは数十本の飲料をリュックに入れて、店舗に商品を補充しているという。従業員は「どの新入社員も最初はかなり怖がっているが、みんなすぐに慣れる」とCCTVの取材に答えている。唯一の難点をあげるとすれば、それはトイレなのだそう。
「唯一の問題はトイレです。トイレに行くために何度も何度も上り下りするのは疲れるので、あまり水を飲まないようにしています」どうしてこんな不便なところに作ったのかとツッコミを入れたいところだが、店長である宋慧舟さんはこの店舗で働くことへやりがいを感じているのだそう。
「この店はあまり利益が出ていませんが、登山者達からはとても感謝されているので、私たち全員が自分たちの仕事にとても意味があると感じています」
コンビニを利用するのにケーブルを身につけて崖をよじ登るなんて、我々にとっては「最も不便なコンビニ」。しかし、登山者にとっては登山の途中で一休みできる「便利なコンビニ」なのかもしれない。
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