フェイクニュースや加工された画像、AI によって生成されたコンテンツが急増する中、なにが本当でなにが嘘なのかを見分けることは、個人にとって困難になっています。
今回は、消費者が「AI」に対していまなにを感じているか、ゲッティイメージズのビジュアル調査「VisualGPS」の調査結果を踏まえながら考察していきます。
ゲッティイメージズは、世界的な市場調査会社MarketCastと連携し、26 カ国 13 言語で 1 万人以上の消費者と専門家を対象にした調査を行い、「いま、求められているビジュアルコンテンツ」を具体的な数字とともに明らかにした「VisualGPS」と呼ばれるガイドラインを作成しています。
6 割の人々が、本物と AI 生成画像は「見分けつかない」と回答している
AIに関する人々の感情は多面的で、不安と期待が混在しています。AI が生成した画像が出回るようになり、本物の画像と AI が生成した画像を見分けることに、消費者は不安を感じるようになっています。日本、米国、英国、フランス、オーストラリア/ニュージーランドなどの地域では、潜在的な雇用の奪い合いや誤った情報の拡散を懸念し、特にそのような傾向が顕著になっています。
そのため、消費者にとって「画像の透明性」は最も重要な関心事となっています。VisualGPS の調査結果によると 6 割の消費者が「本物の画像と、操作や加工が施された画像との違いを簡単に見分けることができない」と回答していて、生成 AI の技術が本物に近いものであると認識していることがわかりました。
その一方で、世界でも日本でも、消費者の 9 割近くが「画像が AI によって生成されたものであるかどうかを知りたい」「画像が加工されている場合、どのように加工されているのか具体的に示してほしい」などと回答しており、透明性に対する要求が高まっていることも明らかになりました。
消費者の中で高まる、「テクノロジー依存」への不安感
このように「不透明さ」が顕著に見られるような生成 AI 技術を含めた、未来のテクノロジーへの依存が高まるなか、VisualGPS の調査結果によると、グローバルの消費者の半数近くが将来、世界がテクノロジーに大きく依存することについて不安を感じています。さらに日本の消費者を見てみると、5 割が「テクノロジーの進化に圧倒されている」ことがわかっており、特に「AI」については多数が「AI を利用しなければ社会についていけなくなる」と恐れているのです。
一方で、このような不安感にもかかわらず、消費者はテクノロジーは自分たちの生活と幸福全般を豊かにする可能性を秘めているという信念を持ち続けていることも分かりました。
AI 技術活用による「生産性向上に期待」
消費者の大部分は、AI 技術の大きな利点として「生産性の向上を約束してくれる」ことに期待を寄せている調査結果も出ています。生成 AI に対する前向きな姿勢が現れていることもわかりました。特に若い頃からテクノロジーに触れているZ 世代は、AI 技術に関して楽観的でポジティブです。生活の様々な側面を改善する可能性に期待しています。
<後編に続く>
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Getty Images/iStock クリエイティブ・インサイト マネージャー
ビジュアルメディアの学歴を持ち、映画業界に従事。2016年からはGetty Images/iStockのクリエイティブチームに所属。世界中のデータや事例をもとに、広告におけるビジュアルの動向をまとめた「Creative Insights」を発信。多くのクリエイターをサポートしながら、インスピレーションに満ちたイメージ作りを目指している。
ビジュアルメディアの学歴を持ち、映画業界に従事。2016年からはGetty Images/iStockのクリエイティブチームに所属。世界中のデータや事例をもとに、広告におけるビジュアルの動向をまとめた「Creative Insights」を発信。多くのクリエイターをサポートしながら、インスピレーションに満ちたイメージ作りを目指している。