元祖「フィフティ ファゾムス」から考える、ダイバーズウォッチのデザインにおける4つの注目ポイント

  • 写真:宇田川 淳
  • 文:並木浩一
  • スタイリング:石川英治(TABLEROCKSTUDIO)

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本格的なスポーツウォッチのデザインは、それ自体が躍動的で能動的、そして身体的である。それぞれの秀逸な機能やスペックは、オリジナリティ豊かな“カタチ”として具現化されている。1953年に誕生し、モダンダイバーズウォッチの元祖と言われるブランパンの「フィフティ ファゾムス」を例に、ダイバーズウォッチにおけるデザインのポイントをおさらいしよう。

Pen最新号は『腕時計のデザインを語ろう』。腕時計の「デザイン」に焦点を当て、たどってきた歴史やディテールを振り返るとともに、プロダクトとしての魅力をひも解く。同時に、つくり手である人気ブランドのデザイナーにも話を訊いた。デザインの“本質”を知ることで、腕時計はもっと面白くなるはずだ。

『腕時計のデザインを語ろう』
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ブランパン「フィフティ ファゾムス オートマティック」/ブラックのダイヤルと逆回転防止ベゼル、太いゴシック体の大きなアラビア数字表記、トライアングル・スクエア、太い線の目盛りなど。1950年代のオリジナルモデルの特徴を活かしつつ現代的にアップデートした、モダンダイバーズウォッチの原点にしてロングセラーのデザイン。自動巻き、SSケース、ケース径45mm、パワーリザーブ約5日間、シースルーバック、セイルキャンバスストラップ、300m防水。¥2,112,000/ブランパン ブティック銀座 TEL:03-6254-7233 

人命を優先する機能がディテールとして具現化した、ダイバーズウォッチのデザイン

ダイバーズウォッチのデザイン要素は、必要のために考案され、定着していったものが多い。普通の腕時計に加えてはっきりと目立つディテールの機能美は、そもそも「窒息して生命の危機を招かない」「潜水病による身体への深刻な影響を避ける」といった明快な目的が存在している。基本的にタンクからの酸素供給に頼るダイビングでは、自ずと潜水可能な時間が決まってくる。そのため時刻表示と同等あるいはそれ以上に、潜水開始からの経過時間の計測が重要な要素になってくる。

時間単位では大雑把すぎ、秒単位では細かすぎるため、最も重要なのは分=ミニット単位での計測である。そのためにダイバーズウォッチは、可変的にスタート時間を固定できる回転ベゼル=逆回転防止ベゼルや、ロック機能の付いたインナー回転ベゼルを装備し、それがダイバーズウォッチのアイコンとして認識されている。

しかも海中での用途から、すべての視認指標=インデックスは、陸上ではオーバーに思えるほど大きく、かつドットやバー、トライアングルなどに単純化された上で15分ごと(3・6・9・12時のアワーマーカー)の形状を変えているのが一般的だ。そして針やインデックスに厚めの夜光塗料を塗るのも定石。人命を優先する機能そのものがデザインに昇華した最たる例といえるだろう。

ダイバーズウォッチの4つのデザインポイント

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デザインポイント1:インデックス
潜水時に把握しやすい5分ごとのインデックス。ドットやバーなどわかりやすい形状と大きさ、蓄光塗料による暗所での視認性確保がコード。
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デザインポイント2:ダイビングスケール
潜水開始時間にセットする四角形や三角形のマーカーは目立つように刻印される。サファイアクリスタルのベゼルで、視認性と耐傷性が高い。
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デザインポイント3:リューズガード
浸水防止のためのねじ込み式リューズ。損傷や誤作動防止のためのリューズガードもブランドによってデザインの差が出るポイント。
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デザインポイント4:蓄光針
分針には時刻を示す以上に潜水の経過時間を示す用途があるので特に太くデザインされ、 海中の暗さに対応するため蓄光塗料の面積も広い。

 

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