ベストセラー1位の「配達員ドライバーの尿」、ドキュメンタリー番組も公開予定!?

  • 文:大村朱里

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問題の発起人である、ジャーナリストのウーバー・バトラーさん。

ある男性が「アマゾン配達員の尿が入ったボトル」をアマゾン公式サイトで販売し、エナジードリンクとしてベストセラー1位になった。この前代未聞の事件、この背景には大きな意味が込められていた...

「ドライバーの尿が入ったボトル」、ベストセラー1位に

イギリスでジャーナリストとして活躍するウーバー・バトラーさん。彼は以前、ある番組で自宅の物置小屋を世界最大の口コミサイト「トリップアドバイザー」で、ロンドンのトップ・レストランに仕立て上げるなど、世間に衝撃を与えるような“お騒がせ”人物として名を馳せている。

彼は先日、イギリスのチャンネル4で放映される最新作ドキュメンタリー『The Great Amazon Heist』を制作。同番組は、アマゾンの配達員が道端に捨てたという尿の入ったペットボトルを集め、同サイトで販売し、ベスト・セラーにするというものだった。ウーバーさんは「RELEASE」と名付けた、黄色のデザインに大胆なフォントで目を惹くパッケージの同商品を作成。Viceによると、彼は“食品・飲料を扱う許可証”を持っていないため、“詰め替え用ポンプディスペンサー”のカテゴリーで出品をしたという。

しかし、英国のアマゾンは許可証の有無を確認せず、RELEASEを勝手にエナジードリンクの飲料水カテゴリーに分類。同サイトは販売を止めるどころか、商品は「ビターレモン味・飲料水」のカテゴリーでベストセラー1位になってしまった。

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アマゾンは労働者の膀胱など気にしていない

「RELEASEの発売には、アマゾンの配送ドライバーに力を与えるという意味が込められています。彼らは、厳しいスケジュールをこなすという、計り知れないプレッシャーに直面している、名もなきヒーローなのです」

同製品の説明欄には、このように記載されている。このメッセージが語るように、ドキュメンタリー制作の背景には、アマゾンの配達員の過酷な労働環境の実態が隠されているという。以前から、アマゾンの配達員たちの不可能なほどのタイトな配達スケジュールや過酷なノルマは大きく問題視されていた。配達中にトイレに行くことができず、ボトルの中で排尿するほどだ。

実際に、ウーバーさんがイギリスにあるアマゾンのフルフィルメント・センターに行くと、施設の周りにいくつもの尿が入ったペットボトルが落ちているのを見つけたと『Vice』誌で語っている。また今年5月、米コロラド州のアマゾン配達員が、配送トラックの中で飲料ボトルに排尿することを強制され、深刻な健康被害を受ける危険を冒して労働させてられていると集団訴訟を起こしている。

この現状にウーバーさんは注目し、厳しい納期に間に合わせるためにボトルに排尿させられたという労働者を含め、同社が社会に与えている影響に光を当てるために、ドキュメンタリーを制作。そこで、アマゾンでボトルを出品しようと決めたと語っている。

このドキュメンタリーにアマゾンは...

Wiredによると、アマゾンの広報担当者はウーバーさんの行動に対して「下品な行為」と指摘し、このような製品が販売されないための対策を打っていると語った。

「安全性はアマゾンの最優先事項であり、アマゾンストアで提供される商品はすべて、法律や規制を遵守するよう求めています」

「私たちは、安全でない商品が出品されるのを防ぐために、業界をリードするツールを導入しています。これらのポリシーに違反する販売者は、処分を受けることになります」と続けた。

しかし、ウーバーさんはこの製品をサイトに掲載するのは「驚くほど簡単」だったと語り、実際のユーザーにはこの商品を販売しなかったが、購入しようとした顧客は10人ほどいたと推定されるとInsiderに語った。

アマゾンは世界最大のマーケットプレイス。早くて、便利で、まるで魔法のように私たちの手元に届く。しかし、その裏には過酷なドライバーたちの悲しい現実が見受けられる。このドキュメンタリーは、そんな彼らが置かれている環境に人々の目を向ける、助けの手になったのではないだろうか。現在、この商品はアマゾンのマーケットプレイスから削除されている。

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メディアの取材に答えるジャーナリストのウーバー・バトラーさん。

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ジャーナリストのウーバー・バトラー自ら、道に捨てられた尿入りペットボトルを回収する姿も。