「コラボレーション」をコンセプトに、2021年に京都でスタートしたアートフェア「Art Collaboration Kyoto(ACK)」が、10月30日までの3日間、開催されている。会場は国立京都国際会館(ICC Kyoto)。市内でも何ヶ所かで連携プログラムが展開しているので、作品の購入を求めて会場を訪れるのに加え、この期間だけの作品体験の場があることも魅力的だ。ICC Kyotoから見ていきたい。
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国内外のギャラリーが共鳴する26のブース。
ACKが提示するコラボレーションは、国内と海外、行政と民間、美術とその他の領域など、さまざまな領域に及ぶ。ICC Kyotoに設けられるのは、日本のギャラリーと海外のギャラリーが共同でブースを運営する「ギャラリーコラボレーション」と、京都にゆかりのある作家や京都にインスパイアされた作品と出会える「キョウトミーティング」のふたつのセクション。
「ギャラリーコラボレーション」には国内外から53のギャラリーが参加するのだが、ACK以外の日本のアートフェアには参加していないようなメジャーなギャラリーも名を連ねていることもあり、ふたつのセクションともに初回から大きな反響を得ている。
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キョウトミーティングにも豊かなバリエーションが展開。
京都出身や在住の作家はもちろんのこと、京都の数ある美術大学出身者や、あるいは京都の哲学にインスパイアされた作家など、幅広く京都にゆかりのある作家たちを紹介する「キョウトミーティング」のセクション。東京のギャラリーも多く出展し、さまざまなメディアの作品が展示されているが、一番の話題は、やはり先ごろ高円宮世界文化賞の彫刻部門で受賞したオラファー・エリアソンがこのセクションに出品していることだろう。ギャラリーは、ベルリンで1994年に創業したneugerriemschneider。京都の禅寺の庭園に表現された円環の哲学から大きな影響を受け、モチーフに円などを採用するエリアソンの作品を活動初期から扱ってきたギャラリーだ。
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一方で、京都を拠点に制作を続ける作家たちの作品も充実している。大阪のアートコートギャラリーでは、「具体」の呼び名で近年再評価の著しい具体美術協会の最後の展覧会に出展した福本潮子の藍染作品と、宙空や自然現象をテーマに、ステンレスやチタンの構造美を立体作品に用いる西野康造の立体作品が共鳴する。キョウトミーティングのセクションにおいても、多様なメディアで制作された注目作品の数々が出品された。
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伝統ある神社仏閣など、連携展示のロケーションも多彩。
ICC Kyoto内のギャラリーの展示も充実しているが、街中の連携プログラムに目を向けるとさらに表現が広がる。京都芸術センターを会場に山中Suplexとの共催で行われているのは、台北を拠点とするアーティスト・コレクティブ・鬼丘鬼鏟(ゴースト・マウンテン・ゴースト・ショベル)による個展『時間的臨摹(じかんのりんぼ)』。来場者は米国製の暗視ゴーグルを装着し、真っ暗闇の空間で歩き回りながら自由にパフォーマンスを鑑賞する。いや、単なる鑑賞ではない。自分がどれだけの広さの部屋で、どれだけの範囲をあるているのかも確信も持てないまま歩き回り、パフォーマーと鑑賞者の垣根がなくなり、鑑賞しながら自分が作品の一部になっていることにふと気付かされる。出演者の身体が動き、音や光(圧倒的に闇だが)を駆使した30分ほどで、暗闇との向き合い方も変わってくるはずだ。
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平安神宮に向かうと、普段は一般公開していない尚美館がインスタレーションの会場になっている。作家は、近年活躍の著しいCOIN PARKING DELIVERY。世界的人気キャラクターであるピンクパンサーをテーマに、TIP drawing(Transformable intellectual property drawing / 変形知的財産)によって制作した作品が展示されている。
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COIN PARKING DELIVERY × PINK PANTHER“ANIMISIM”/“アニミズム” 左に横たわるのがCOIN PARKING DELIVERY。TM&©︎ 2023 MGM / ©︎ CPD
国内外を問わずアートフェアの数が増え続ける現在、独自のプログラムで着実に存在感を高めるACK。アートコレクターはもちろんのこと、これからアートを知っていきたい層までも楽しませ、満足させるこのフェアを秋の京都巡りの目的地に加えてみてはいかがろうか。
Art Collaboration Kyoto 2023
開催期間:2023年10月28日(土)〜10月30日(月)
会場:国立京都国際会館
京都府京都市左京区宝ヶ池