飛行機のキャビンを埋め尽くす蚊の大群、殺虫スプレーも効かず…2時間遅れで出発  

  • 文:青葉やまと
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Matej Kastelic-shutterstock ※画像はイメージです

メキシコで旅客機の出発が、定刻より2時間遅れる事態に。その原因は、機内に侵入した大量の蚊だった。

10月6日、現地の航空会社・ボラリス航空が運航するVOI221便が、中部グアダラハラで国内便の離陸準備を進めていた。首都・メキシコシティへの飛行を予定しており、乗客は着席し終わり機内では離陸準備が進む。ところがこの段階で、ドアの閉じた機内に蚊の大群がいることが発覚。乗客たちは悲鳴を上げ、客室乗務員はスプレーを撒くなど対応に追われた。

同便は出発予定時刻の午後4時30分を大幅に超え、午後6時59分にようやく離陸している。米USAトゥデイ紙は、機内で「カオスな光景」が繰り広げられたと報じた。逃げ場のない機内で襲い来る蚊の大群に乗客たちは苦しんだようだ。

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スプレーの噴霧で乗り切ろうと…

米ニューヨーク・ポスト紙が公開した動画には、混乱状態の機内の様子が収められている。

至るところ蚊だらけとなった機内に対処しようと、男女1名ずつの客室乗務員がそれぞれ小型の虫除けスプレーを噴射しながら、キャビン前方から後方へと素早く歩いている。互いに「目を閉じよう」と声をかけ合いながらスプレーを勢いよく撒くと、キャビンには白い霧状の薬剤が拡散した。

乗客のなかには、機内での珍事をスマホで撮影し、旅の途中のアクシデントとして思い出に残した人々もいたようだ。動画ではアクシデントを楽しむ笑い声が聞こえる。一方で、繰り返し撒かれるスプレーを手で扇いでやり過ごそうとする人々など、さまざまな反応が見られた。

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乗客たちは「ブラボー」の歓声

客室乗務員たちが通路への散布を進めるにつれ、蚊に耐えかねていた乗客たちから「ブラボー!」の歓声が上がる。やっと出発できるのかと、安堵がにじみ出るようだ。ある乗客は「わぁこれは効いたね、本当に」とつぶやいている。

ところがスプレーの散布は、かえって事態を悪化させてしまったようだ。地元メディアのエル・ソル・デ・レオン紙は、スプレー騒動によって蚊は一時的に興奮し、さらに活発になったと報じている。

そこでキャビンアテンダントが機転を利かせ、機内を暗くすることで事態を収めたという。乗り合わせた乗客のエリザベス・コロナさんは、米ABCニュースに対し、最終的には機内の照明をすべて消すことでやっと落ち着き、その後離陸したと語った。通常であれば1時間30分ほどのフライトだが、思わぬ足止めを食ってしまったようだ。

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蚊の大量発生事件、以前にも起きていた

グアダラハラ国際空港の付近には淀んだ水や植物の生い茂った地帯が広がっており、蚊が繁殖しやすい環境にある。2019年にも同空港を出発する便で、機内に蚊の大群が舞い込む事例が発生している。

乗客は2019年6月、ソーシャルメディアのX(当時のTwitter)に、蚊だらけだったとする機内の動画を投稿している。映像では細かな蚊は十分に確認することが難しいが、それでもときおりカメラの前を黒い虫のようなものが横切る様子がみられる。一部の乗客は機内に備え付けのパンフレットを振り回し、蚊を追い払おうとしているようだ。

この投稿によると航空会社は、「(空港の)周囲に滞留している水が多いため蚊が多く、会社には制御できない状況になっている」と説明したという。1匹でもやっかいな虫刺されを引き起こす蚊だが、大群となると乗客を大いに悩ませたようだ。

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機内に蚊の大群が舞い、虫除けスプレーで対抗しようとした。

 

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同空港では似た事件が2019年にも起きている。