アメリカ・ニューヨーク州で“100年に一度”規模の記録的な豪雨が発生。緊急事態宣言が発令されるほどの深刻な洪水の被害が相次ぐ中、市内各地で驚くべき光景があちこちで見られはじめた。
飼育場からアシカがプチ脱走?
9月29日に発生した大洪水は、家屋を浸水させ、多くの人が立ち往生するなど街は大混乱。そんな中、ニューヨーク州にあるセントラルパーク動物園の飼育場から1匹のアシカが脱走した。The Washington Postによると、逃げ出したのは「サリー」と名付けられたメスのカリフォルニアアシカ。3頭のアシカが飼育されていた水槽が冠水した隙に逃げ出したとみられる。
サリーは逃走後、興味津々な様子でプールの周りを探検し、すぐに2頭の仲間が待つ慣れ親しんだプールへ戻っていったという。飼育員はすぐにサリーの逃走に気がつき、動物が脱走した時に備えた第2次境界線を突破することもなかったため大惨事にはならなかった。アシカは、この洪水を喜んだ唯一の存在だったかもしれない。
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街中が大混乱
ニューヨーカーにとっては、この大雨はたまったものじゃない。道路は車の窓あたりまで水没し、多くの人が立ち往生。また、少なくとも150以上の学校が浸水し、ラガーディア航空は全面閉鎖されたという。
特に酷かったのは市内の地下鉄だ。ソーシャルメディアでは、地下鉄の階段で滝のように水が流れ出ている様子や、女性が腰の高さまで浸水した駅構内を歩きプラットフォームへ向かう姿など、目を疑うような光景が多く投稿されていた。街は、まるで巨大なプールのようだった。ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は「命を脅かす危険な豪雨だ」として非常事態宣言を発令。エリック・アダムス市長は、この異常事態に対し、「すべてのニューヨーカーに言いたいのは、今は警戒を強め、細心の注意を払ってください。家にいる人は家から出ないで。職場や学校にいる人は、とりあえずその場に避難していてください」と住民に外出を極力控えるよう市民に呼びかけた。
「これは危険な気象状態であり、まだ終わりません。大雨が一時的に止むかもしれませんが、絶対に油断しないでください」と続けている。
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インフラの影響
ニューヨークは2021年にもハリケーン・アイダにより街全体が洪水し、クイーンズで11人が亡くなるという大惨事が起きている。この背景には、街のインフラによる影響があるという。The New York Timesによると、現在ニューヨーク市の排水システムは、1時間当たり1.75インチ(約44.4ミリ)の雨を処理することができるが、近頃の気候変動による影響で限界以上の雨が降り、このような被害が多発しているという。先日の洪水も1時間当たり2インチ(約50.8ミリ)以上の雨が降ったため、下水管が処理できなかった水が一斉に溢れ出し、街中にこの惨事をもたらせた。
ニューヨーク市環境保護局長官のロヒット・アガルワラ氏は「この大雨は気候変動の結果です。残念ながら、インフラが対応できるよりも早く気候が変化しているのです」と語っている。
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